教育や医療系のニュースでよく聞く「発達障害」。
特に「自閉症」は、最近では「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)」と呼ばれるようになりました。
以前は、同じ自閉症でも、「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」という三つの分類がありました。
現在ではこの三つを一括して「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder, ASD)」という名称になりました。
しかし、三つとも名前を聞いたことはあるけど、どう違うのかよくわからないという方が多いと思います。
そこで本記事では、この三つの違いを簡単に説明します。
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①ASD(自閉症スペクトラム障害)の区別ポイント

区別のポイントは上の図のように「知能(IQ)が低いのか」と「言葉の発達に遅れがあるのか」の二点です。
三つともASDの診断基準(社会的コミュニケーションの障害と限局的な興味・関心)を満たしていることが前提です。
その上で、「IQ」と「言葉の発達」で三つに分かれます。
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②「知能(IQ)の低さ」とは何か?
IQは、世界的に認められている知能検査で測定します。
IQは100を平均として、大体70~120の間に入りますが、「知能が低い」とは精神医学的にIQ70以下のことを指します。
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③「言葉の発達の遅れ」とは何か?
次に、「言葉の発達の遅れ」ですが。一言で言えば、「初語や二語文がなかなか出てこない」ことです。
赤ちゃんは産まれて一年で初語(ブーブーやマンマなど)が出て、二歳くらいで二語文(「ブーブー(車のおもちゃ)、取って」など)を話すようになります。
「言葉の発達の遅れ」とは、初語が二歳以降にやっと出てきたり、二語文が三歳を過ぎても出なかったりすることです。
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④ASD(自閉症スペクトラム障害)の区分の意味
言葉の意味は確認できました。
ようやく「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」の違いについて説明します。

1) 「自閉症」は、「IQが低い」と「言葉の発達の遅れ」の両方が症状として現れます。
そのため、三つの中では最も社会生活を営むのが難しいのです。
2) 「高機能自閉症」は、「言葉の発達の遅れ」はありますが、「IQの低さ」はありません。
つまり、IQが70以上で言葉が遅れて出てくるのが「高機能自閉症」です。
「高機能」というのは「知能に問題がない」ことを示します。
3) 「アスペルがー症候群」は、「IQの低さ」も「言葉の発達の遅れ」もありません。
つまり、ASDの診断基準のみを満たした状態です。
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⑤まとめ
以上が、三つの概念の違いです。
この三つは、現在の診断基準ではASDと一括りにされていますが、実は症状が異なることがあります。
特に支援の仕方が異なるので、ASDの方々が社会で暮らしやすくなるためにも違いを把握し、対応の仕方を考えないといけません。
ASDの方々が環境に上手く適応できるためにも、上司や先輩や周りの人が正確な知識を得ることが第一だと私は思います。
ASDとそうでない人が幸せに暮らせることを願っております。
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