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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 精神医学/Psychiatry 記事/Article

2025/6/19

睡眠不足は認知症につながる⁉ 睡眠の心理学と精神疾患の関係

・アルツハイマー型認知症はなぜなるの? ・睡眠不足が認知症とどう関係するの? ・睡眠を多くとるほど認知症予防になるのか? 近年、アルツハイマー型認知症の罹患率が増えていると言われています。 政府統計でも、そのことは言及されているほどです。 しかし、認知症は一度罹ってしまうと、今の医療では治すことができません。 せいぜい症状を遅らせることくらいです。 では、どのようにすれば認知症を防ぐことができるのでしょうか? いくつかありますが、その一つ「睡眠」だと心理学では話題です。 睡眠不足は心理学では万病のもとです ...

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2025/6/10

【心理学】あなたは安定型?不安定型?愛着の4タイプ(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第四十九回目)

・親子の愛着を形成する実践的な方法は、子どもを受け止めてあげること。 ・心理学では、愛着が安定型か不安定型かを決める方法がある! ・心理学で提唱されている愛着の4タイプを紹介! 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、保育歴8年でシンママ保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「親子の愛着形成の心理学」です。 子どもと親の信頼関係や家族愛など、愛着は親子ともども影響し合います。 では、どうすれば愛着を上手く親子で形成でき ...

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2025/6/10

試合本番の緊張をほぐす4つの方法(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第五十一回目)

・試合本番中に緊張するのは、心理学的に二つの原因がある! ・本番であたふたして慌てるタイプか、自分に注意を向けすぎているタイプか? ・試合本番中にすぐできる緊張のほぐし方もたくさん紹介しています。 現場の専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 今回のトピックは、「試合の緊張をほぐす方法」です! スポーツ選手なら必ず参加する試合。 練習を重ねてきても、スポーツの試合では緊張する ...

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精神医学/Psychiatry 記事/Article

カウンセリングはうつ病に効果があるのか?抗うつ薬と心理療法との比較

・カウンセリングは意味あるの?

・カウンセリングはそもそも心の病に有効なのか?

・抗うつ薬治療や心理療法と比べてどうなの?

人が心や対人関係で悩んだ時に利用するのがカウンセリングです。

カウンセリングは、話を聞いてもらって心の健康を回復させるイメージがある。

では、近年増え続けるうつ病にもカウンセリングは効果的なのでしょうか?

精神科に通って抗うつ薬治療をするものの、医師には薬の調整をしてもらうだけで長時間話を聞いてもらえない。

そんなうっぷんが溜まっている人も多いと思います。

それなら、カウンセリングでもしうつ病にも効果があるのなら、話も聞いてもらえるし一石二鳥ですよね。

今回はそんなカウンセリングのうつ病への効果についてエビデンスを基に考えます。

本記事では以下のことがわかります。

1. そもそもカウンセリングはうつ病に効果的なのか?

2. カウンセリングは抗うつ薬治療と比べて有効なのか?

3. カウンセリングは他の心理療法と比べてどうなのか?

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①カウンセリングはうつ病患者のうつ病度合いを下げるのに効果的である。

そもそもカウンセリングを含めた心理的治療はうつ病に有効なのか?

多くの論文を集めて分析しなおし、その研究分野の方向性を探るメタ分析という手法を使って、心理的治療がうつ病に有効なのかを調べたのが、Cuijpers et al. (2006)である。

ちなみに、メタ分析の詳細は以下の記事に詳しく書いております。

合わせてお読みください。

彼らは高齢者のうつ病患者を対象にしています。

彼らの研究結果は以下の図の通りです。

the psychological treatment effect on depression

この図は、様々な研究報告の効果度をそれぞれ示しています。

■が右に行くほど効果的だということが示されています。

大事なのは、一番下のFixedの欄で、全体の効果度合いを総括している指標です。

すると、0.72くらいの数値ですが、これはまあまあ大きな効果がある数値です。

なので、心理的治療自体はうつ病に有効なのがわかります。

ちなみに、同研究で抗うつ薬治療と心理的治療との効果の違いも比較分析しています。

結果は、抗うつ薬治療と心理的治療とでは統計的な差があるとは言えず、同程度くらいうつ病度合いを下げる効果がありそうです。

しかし、心理的治療の中でも、カウンセリングや他の心理療法などを分析してみても、特に差は見られなかったという結果です。

要は、カウンセリングでもそれなりにうつ病度合いを下げるのに有効そうですが、過去の研究を調べるといくつか注意が必要そうです。

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②カウンセリングがうつ病に有効だとする知見への注意点

まず大切なのは、カウンセリングが抗うつ薬治療と比べて有効とされる条件です(Menchetti et al., 2014)。

それは…

1. うつ病の重症度が比較的軽度であること

2. 記憶や注意など他の認知機能に支障がきたしていないこと

3. 不安障害などの合併症がないこと

などです。

特に上記の条件に当てはまる場合で、抗うつ薬治療よりかはカウンセリングの方がうつ病度合いを下げるのに有効だとMenchetti et al. (2014)は主張しています。

研究によっては、もう少し条件が変わりますが、だいたいこれらのことが共通しています(Magnani et al., 2016)。

一方、カウンセリングと他の心理療法との比較はどうでしょうか?

特に日本でも保険点数化されている認知行動療法(CBT)という心理療法と比べた研究がPybis et al. (2017)です。

彼らの研究では、100以上のサイト(施設)で3万人以上ものデータを分析しています。

すると、カウンセリングは認知行動療法と同程度うつ病度合いを下げる効果があると示されています。

まとめると、確かに、抗うつ薬治療や認知行動療法と比べてカウンセリングはうつ病患者さんのうつ病度合いを下げる効果があるかもしれません。

しかし、カウンセリングによって「どれくらいのうつ病患者さんが治ったのか?」「うつ病が再発しないのか?」といって大切な指標はあまり過去の研究では扱われていない印象です。

なので、カウンセリングはうつ病度合いを下げるけれども、根本治療できるのかは疑問です。

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③まとめ

以上より、カウンセリングがうつ病に有効なのかを見てきました。

まとめると以下のようになります。

  • カウンセリングには一定程度うつ病患者のうつ度合いを下げる効果がある。
  • カウンセリングは抗うつ薬治療と同じくらい効果的である。
  • しかし、それにはいくつか条件があると思われる。
  • カウンセリングは認知行動療法という他の心理療法と同じくらい効果的だと思われる。
  • しかし、以上の知見は全てうつ病患者のうつ度合いを調べているだけで、根本的な治療になるのかどうかは謎のまま

今後、カウンセリングの長期的な研究が必要とされています。

これはカウンセリングの可能性でもありますが、純粋に生物学的医学的な問題であるうつ病にどれくらい効果的なのかはまだまだわからないことが多いです。

私のスタンスとしては、うつ病手前までのグレーゾーンであればカウンセリングでも構わないと思いますが、うつ病の診断が下れば精神科医に任せた方が良い気がします。

それくらい、カウンセリングのうつ病への効果のエビデンスはまだ弱いと思います。

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参考文献

Cuijpers et al. (2006). Psychological treatment of late-life depression: a meta-analysis of randomized controlled trials. International Journal of Geriatric Psychiatry, 21, 1139-1149.

Magnani et al. (2016). Treating Depression: What Patients Want; Findings From a Randomized Controlled Trial in Primary Care. Psychosomatics, 57, 616-623.

Menchetti et al. (2014). Moderators of remission with interpersonal counselling or drug treatment in primary care patients with depression: randomised controlled trial. The British Journal of Psychiatry, 204, 144-150.

Pybis et al. (2017). The comparative effectness and efficiency of cognitive behavior therapy and generic counselling in the treatment of depression: evidence from 2nd Uk National Audit of psychological therapies. BMC Psychiatry, 7: 215.

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