・習慣化ができた人の思考と特徴を知りたい。
・習慣化の心理学的事実
習慣化は誰もが悩むことです。
勉強を習慣化したいけど三日坊主で終わる。
最初はダイエットを意気込んで張り切るも、途中でやめてしまう。
そんなことはよくあります。
習慣化が上手くできれば、人生が上向くことは間違いありません。
勉強が継続できれば、志望校に合格しやすくなります。
ダイエットが成功すれば、理想の体型になれて異性にモテます。
習慣化は人生の幸福度に直結するのです。
では、習慣化ができた人はどのような考え方をするのでしょうか?
今回は、心理学的に習慣化ができた人の頭の中をのぞいてみます。
本記事では以下のことが学べます。
2. 習慣化できた人の行動と特徴
3. 習慣化によってマイナスになることもある!?
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①習慣化ができたかどうかを客観的に知る方法と習慣化に成功した人の特徴
習慣化の研究は結構古くからあります。
習慣化の研究でも「習慣化ができたかどうかを客観的に知る方法」は一大トピックになっています。
要は、習慣化できた人の行動的な特徴ですね。
Aarts & Dijksterhuis (2000)の研究は、習慣化できた人と習慣化できていない人とを比べて行動の違いを調べた初期の研究です。
彼らは、「自転車に乗る」ことが習慣になっている人となっていない人に実験課題を行い、習慣化できた人の特徴を調べています。
どんな実験課題なのか?
まず二つの群に分けています。
一つ目は、外出の際に目的を持たせる実験群です。
この群では、「90㎞先の町に行くのに何で行きますか?」という問いの文章に答えさせて、外出の目的と手段を頭に思い描いてもらいます。
その後、移動場所と移動手段(電車・バス・自転車)の両方が呈示されて、その組み合わせが現実的かどうかをできるだけ早く判断させます。
もう一つの群は、外出の目的と手段を頭に思い描く課題はなく、移動場所と移動手段の課題だけする対照群です。
この二つの群と自転車が習慣化している人としていない人の4つの条件で、移動場所と移動手段の判断がどれだけ早くできたかを比較しています。
結果は以下の図のようになりました。
※以下の図は、論文の数値を元に筆者が作成しました。
まず、縦軸は反応速度を表します。
下に行くほど反応速度が速いことを示します。
左半分が自転車を習慣化していない人で、右半分が自転車を習慣化している人です。
青が目的を意識させていない対照群で、オレンジが目的を意識させた実験群です。
すると、全体的に、自転車が習慣化していない人よりも、習慣化している人の方が反応速度は速いという結果でした。
また、大事な点は、習慣化している人でも目的を意識していない青では習慣化していない人と反応速度は変わりませんが、目的を意識させたオレンジでは習慣化している人は反応速度が一番早いことです。
自転車に乗ることを習慣にしている人は、移動場所と移動手段に関する判断が早いです。
論文の解釈では、普段から移動に慣れているため、移動場所と移動手段に関する知識が自動的に活性化して、判断が早くなっているとのことです。
習慣化できている人は、習慣に対する反応が鋭くなっていると思われます。
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②習慣化できた人の特徴と習慣化によるデメリット
先ほどの研究では、習慣化できた人とできていない人とで、習慣に対する反応の違いが生じることがわかりました。
このゆえにか、習慣化できた人の特徴として別の行動もあることが報告されています。
Luque et al. (2020)は、以下の図のような学習課題を用いて、習慣づいている人の行動的特徴を調べました。
この図の上の図Aをご覧ください。
これは実験参加者に行った実験課題です。
まず、真中を見つめているとクッキーが表示されます。
次に、そのクッキーを緑の星人かオレンジ色の星人のどちらに渡すかを決めます。
その後、ダイヤモンドが表示されて、報酬ポイントがもらえます。
単純な課題ですか、この課題でしないといけないことが結構あります。
一つは、クッキーには四種類あるのですが、どの星人にどのクッキーを渡せば最も高得点を取れるのかを試行錯誤して学ばないといけません。
二つ目は、課題の途中で特定のクッキーを渡しても0点になるという条件が追加されるので、今まで高得点を取れた星人とは異なる星人にクッキーを渡すように臨機応変に選択を変えなければなりません。
なので、やることはまず最も得点が高くなるクッキーと星人のペアを覚えて、次に0点になると言われたら今までのペアに拘らずに選択を変えられるようにしなければなりません。
結構難しい課題で、何日もかけて実験を行っています。
実験の初めの方と後の方では、クッキーと星人とのペアが習慣化している度合いが異なります。
もちろん、実験の後半になればなるほど何度もトライしているので習慣化ができてきます。
この両者の差を見比べているのです。
結果は以下のようになりました。
この図の実線のみ注目してください。
縦軸は反応速度の早さで、下に行くほど早く選択できていることを示します。
横軸は実験のテスト日数で、右に行くほど実験の後半を示します。
青と赤も無視で構いません。
すると、実線が両方とも実験が後半に進むにつれて上へと緩やかに上がっています。
つまり、実験の後半になってクッキーと星人のペアが習慣化したため、0点にされると言われた時の反応速度が遅くなっていると解釈できます。
習慣化するとクッキーと星人のペアの反応は一つ目の研究と同様に早くなります。
これは、クッキーが呈示されて星人が自動的に思い浮かぶからです。
しかし、自動的に思い浮かぶからこそ、別の反応をしないといけない時に、その自動的な反応は邪魔になります。
なので、習慣化した頃に、「別の反応をしろ」と言われると反応速度が遅くなるのです。
自動的に反応できることは習慣化ができている証拠ですが、臨機応変に柔軟に行動を変える時には邪魔になってしまいます。
悪い癖が正しいことを行う時に邪魔になるのと同じですね。
この場合、悪い癖を直したり隠したりするのに、かなり努力が必要になります。
それを示した貴重な研究だと思います。
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③まとめ
以上より、習慣化できた人の行動特徴をまとめると以下のようになります。
- 習慣化できた人はできていない人に比べて、習慣化した行動への反応が早い。
- 特に、習慣化できた人はできていない人に比べて、目的意識をもった場合に反応が鋭くなる。
- 習慣化できた人は習慣化できているがゆえに、習慣以外の行動に柔軟に反応を変えるのが少し苦手。
習慣化できた人の特徴としては、以下の二つです。
1) 習慣化した行動の反応が鋭くなる。
2) 習慣化した行動以外の反応が少し鈍い。
習慣化できた人の行動特徴はわかりましたが、そもそもどうやって習慣化をすればいいのか?
そのお話をセミナー見逃し配信動画で解説しています。
習慣化の心理学の研究をかなり調べたので、このセミナーでしか聞けない有意義なお話だと思います。
ぜひ下記のメールアドレスからセミナー見逃し配信動画視聴希望の旨をお送りください。
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参考文献
Aarts & Dijksterhuis. (2000). Habits as Knowledge Structures: Automaticity in Goal-Directed Behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 78(1), 53-63.
Luque et al. (2020). Measuring Habit Formation Through Goal-Directed Response Switching. Journal of Experimental Psychology: General, 149(8), 1449-1459.
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