世の中には多くのビジネス書があります。
今や書店の目玉商品といえば、ビジネス書です。
最近では、学問の入門としてのビジネス書が流行っています。
初学者の方でも、「まずは簡単なものから」とビジネス書コーナーに足を運びます。
しかし、このとき、三つ問題が発生します。
②せっかくお金を払って読むのだから、ちゃんとしたビジネス書を読みたい。でもどれが「ちゃんと」しているのかわからない。
③結局ビジネス書ってうさんくさいのでは?
私も、数々の新書やビジネス書を読んできましたので、このような気持ちはよくわかります。
学生にとっては、たとえ1000円のビジネス書でも出費としては痛いところ。
なので今回は、
現役の研究者から
「この本良かったよ」
「この本は買った」
「この本はオススメ」
と言われたビジネス書を3冊ご紹介します。
なお、この3冊は、研究者にお勧めされた中から、実際に私が読んで厳選したものです。
素直な感想ですが、研究者も意外にビジネス書を読むみたいです。
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1. 松尾豊『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』角川書店
最近よく聞く言葉として「人工知能(AI)」が挙げられます。
「AIが○○を識別した」とか「どこそこの会社がAI事業を立ち上げた」とか、連日ニュースになるワードですね。
でも、人工知能(AI)って結局何なのかわからないという方は多いのではないのでしょうか?
また、ちょっと勉強した方でもなかなか本質がつかめないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そして、会社では、「これからは人工知能(AI)の時代だからうちでも何かしよう」という社長の無茶ぶりがあったり・・・。
それが人工知能(AI)を学ぶ方の悩みだと思います。
そこで、実際に人工知能(AI)関係のシンポジウムや講演会に参加して、研究者の方に聞いてみました。
すると、松尾先生の本がいいという意見が圧倒的でした。
研究者の中には、松尾先生の本を全て持っているという熱狂的なファンもいらっしゃるくらいです。
松尾先生の本の中でも、『人工知能は人間を超えるか』はダントツの人気だと思います。
実際に、日本語の論文でこの本が引用されているくらいです。
では、どんな内容なのか?
一言で言えば、人工知能(AI)の基礎がこの一冊に凝縮されています。
最初に、人工知能(AI)の歴史から始まり、ブラックボックスと言われている人工知能(AI)の中身を簡単に解説していたり、人工知能を語るならまずはこの本と言えるくらいです。
ビジネス書でありながら、学術の話を誤解を与えないで分かりやすく説明しています。
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2. 中室牧子『「学力」の経済学』ディスカヴァー・トゥエンティワン
教育と聞くと、持論を持つ方は多いのではないのではないでしょうか?
教育は、大人であれば誰もが経験していることです。
なので、お酒を飲みながら誰もが語れて、なおかつ日本にとって重要なトピックです。
しかし、いざ、自分の持論が本当に正しいのかと問われると戸惑う方が多いのではないのではないでしょうか?
その持論には根拠があるのかと。
『「学力」の経済学』は、教育経済学という新しい分野のエビデンス(科学的根拠)に基づいた研究を余すところなく紹介しています。
『「学力」の経済学』には、最後の方に参考文献欄が設けられています。
この時点で、内容の信頼性は高まります。
普通のビジネス書だと、何かを根拠にしているけどその出典元があいまいなものが多いですから。
本書はかなり「ちゃんとしている」と言えます。
さらに、教育経済学を扱った論文で、結構引用されているのを見かけます。
引用で「結構見かける」ということは、実際はかなり多くの研究者がこの本を読んでいるということです。
研究書の分類にすら入るかもしれません。
それなのに、統計学の基礎的なところから最新の知見まで数式を使わず、わかりやすく書かれています。
統計学が全くわからない私の友人も、この本で統計の基礎を理解していました。
ヘックマン『幼児教育の経済学』と併せて読むとより面白いと思います。
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3. エリック・バーカー『残酷すぎる成功法則 9割間違える「その常識」を科学する』飛鳥新社
※『残酷すぎる成功法則』に関しては、研究者の言質は取れていません。すみません。
一般に、ビジネス書で展開される「成功法則」には謎が多いです。
例えば、
「早起きしろ」
「夢を100個書け」
「目標を全員の前で発表しろ」
「ネットワーックを広くしろ」
とかが代表的ですかね。
正直、このような方法が、成功するのにどう関連するのかわからないです。
そんな「成功法則」の方法論をバッサバッサと切っていくのが本書です。
『残酷すぎる成功法則』という題名の通り、科学的根拠のない成功法則を一刀両断します。
そして、切った後に、エビデンスに基づいて、科学的に正しい「生き方」や「仕事のやり方」をちゃんと丁寧に書いてくれています。
本書の母体は、実は著者のブログです。
このブログが人気を博して編集者の目に留まり、こうして日本でも出版されるにいたりました。
今ではもうベストセラーです。
心理学等を勉強していた私でも知らなかったことが書いていて、この著者の調査能力には舌を巻きます。
なにより、本書の最後のページに載せてある参考文献の膨大な量を見ると、本書が人気の理由がわかります。
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