・クラウドファンディングで上手く資金集めができない。
・クラウドファンディングで資金を効率よく集めたい。
最近登場したクラウドファンディング。
クラウドファンディングが登場するまで、会社やプロジェクトを起こすための資金は、主に銀行や知り合いの会社などでした。
しかし、銀行や企業は審査が厳しくなかなか資金が集まりません。
そこで注目されているのがこのクラウドファンディングです。
負担も少なくかつ資金集めができる新しいプラットフォームとして誕生しました。
このクラウドファンディングという言葉はよく聞きますが、具体的に何でしょうか?
今回は、そんなクラウドファンディングにまつわる疑問と問題を解消します。
本記事では以下のことが学べます。
2. クラウドファンディングを通した資金集めを成功させる要因
3. クラウドファンディングの資金集め成功パターン
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①クラウドファンディングとは何か?
クラウドファンディングって何?
クラウドファンディングとは、大衆や群衆を意味する「crowd」と資金調達する「funding」が合わさった言葉です。
クラウドファンディングは、読んで字のごとく、「インターネットを通じて不特定多数の資金供給者から少額ずつ資金調達する仕組み」(藤原, 2019)のことです。
簡単に言えば、インターネット経由でたくさんの人からちょっとずつお金をもらって、目標金額まで資金調達することです。
最近の例で言えば、例えば、火事で焼け落ちてしまった首里城の再建支援プロジェクトなどが当てはまります。
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クラウドファンディングの簡単な歴史(藤原を参考に)
クラウドファンディングは、1990年代にアメリカでアーティスト活動の資金をインターネット経由で募集あるいは寄付する形で集めたのが最初だと言われています。
もともとは、文化事業などを支援する取り組みだったのです。
その方法が波及して、日本でも、2014年の金融商品取引法等の改正により始まるようになりました。
クラウドファンディングが注目を浴びたのが、東日本大震災の時に被災した事業者を支援する取り組みでした。
当時は、民間の金融機関を含めた公的なサポートが不十分で、お酒やお醤油の醸造所の再建のためにクラウドファンディングを通じて資金調達したのです。
そして現在では、クラウドファンディングの市場規模は2000億円を超えています。
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②クラウドファンディングの資金調達成功要因
このように、クラウドファンディングではインターネット経由で銀行や企業を介さずに資金集めができます。
しかし、いくら負担が少ないと言えども、目標金額まで資金調達できる例はそれほど多くありません。
いくつかの論文でも示されていますが、成功確率は大体50%弱です。
つまり、半分以上のプロジェクトや団体が目標金額まで資金を集めることができずに終わります。
そこで重要なのが、どうしたら資金がより集まるのか、その成功要因を知ることです。
クラウドファンディングには、サイトによりますが基本的に以下のようなプラットフォームがあります。
普通のサイトのように、文章・画像・動画などを載せることができます。
このプラットフォームが魅力的かどうかが資金集め成功に大きく関わります。
Koch & Siering (2015)は、成功要因として以下の三つを挙げています。
・ビデオの有無
・ちゃんとアップデートしているかどうか
・契約目標数値
他方、Paolo & Tobias (2014)は、他にも以下の成功要因を挙げています。
・画像の量
・ブログを登録しているか
・ファンの数(Facebookの友人数)(Mollick, 2014)
また、資金を提供してくれた人へのお礼として以下の物を提供すると資金を集めやすくなります。
・社会的イメージの提供:例えば、資金提供者として名前を載せてもらうなど
・商品の提供
・服飾の提供:例えば、資金提供者に限定Tシャツをプレゼントするなど
他にも、成功要因はありますが、主なものが、以上9つの要因です。
これらの要因をちゃんとプラットフォームで明記したり記載したりすれば、目標資金の調達に成功しやすくなります。
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③クラウドファンディングの資金調達成功パターン
次に、プラットフォームを完成させて、いざ資金調達する時にその動向に注目すると見通しが立ちます。
過去の研究では、資金調達に成功した企業と失敗した企業とで、資金調達動向に明確な違いが現れることが指摘されています(Paolo & Tobias, 2014)。
この図は、成功事例の資金調達の動向パターンを示しています。
縦軸が契約数。
横軸がプロジェクト掲載期間です。
見てわかるのが、募集開始時と募集期限間際に資金が多く集まります。
なので、初めに資金提供者が殺到しなければなんらかの改善はしないといけません。
プラットフォームを見て、そのプロジェクトに興味を持ってくれていない証拠です。
そして改善した後は、掲載期限ぎりぎりまで待ちます。
そこから、追い込みがあれば成功しやすいのです。
これは、先ほどと同じ図を違った指標で見たものです。
縦軸がどれくらいの金額が集まったか。
横軸が、プロジェクト掲載期間です。
左側が資金調達失敗パターン。
右側が資金調達成功パターンです。
失敗パターンは、全体的にまばらに資金が集まります。
逆に、成功パターンは、先ほどと同じように、最初と最後に資金が殺到します。
次に、成功パターンにもいろんな場合があることが示されています。
縦軸は金額がどれほど集まったか。
横軸がプロジェクト掲載期間です。
左の図は、失敗パターンです。
初めにちょろっと資金提供者が現れるだけです。
真中が先ほどの図を違う角度から見た図ですね。
そして、右側が、圧倒的な人気を得た場合のパターンです。
プラットフォームを掲載した瞬間から資金が一気に集まります。
この場合は、理想的ですがまれだと思われます。
やはり堅実に、真中パターンを目指すのがいいかもしれません。
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④クラウドファンディングの地理的な成功要因
次に、自分の企業や立ち上げるプロジェクトの地理的要因が資金集めの成功に影響するのかを見ます(Mollick, 2014)。
この図は、アメリカの研究です。
現在日本ではこのような研究はありません。
図の円グラフがクラウドファンディングを利用したプロジェクトの数。
円グラフの緑が成功で白が失敗です。
この図を見ると、一概には言えませんが、微妙に都市部(ニューヨークやワシントンなどの東側)の方が成功しているように見えます。
逆に、西部の方は、あまりプロジェクト自体もなく資金集めに成功している企業も少なめです。
この図は、余談になりますが、どのような内容のプロジェクトが成功しているのかを示しています。
例えば、文化事業なのか社会奉仕なのか食なのかと言ったことです。
これも一概には言えませんが、東側と西側で若干分野の違いはありそうです。
この二つの図から、地理的要因が資金調達成功に与える影響は小さいですが、無視できないほどはあることがわかります。
どのような内容のプロジェクトをどこでやるべきなのかは考慮した方がいいかもしれません。
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⑤まとめ:日本の研究と合わせて
最後に、日本ではどうなのかという疑問が出るかと思います。
残念ながら、日本では、欧米ほど研究が進んでいません。
しかし、藤原(2019)は、日本も欧米と同様の結果が出ることを示しています。
この図の横軸は、0がプロジェクト期限日です。
一本ずつの線は、成功パターンを表しています。
線を観察すると、最初に上がってしばらく平行を保ち、最後にまた上がるというパターンが見られます。
このパターンは資金調達成功パターンであり、欧米の研究と整合的です。
以上から、以下のようにまとめられます。
- クラウドファンディングとは、インターネット経由で不特定多数の人から資金を集めること。
- クラウドファンディングを利用した資金集めには、そのサイトのプラットフォームを充実させることが必須。
- クラウドファンディングを利用した資金集めには、その返礼品も選ばないといけない。
- 資金集めに成功するパターンは、プロジェクト掲載時と期限間近で提供資金が増加すること。
- 資金集め成功には地理的要因が関わる。
- 日本のクラウドファンディングの研究も欧米と整合的。
クラウドファンディングは、公的資金に頼ることなく自分の発想を実現できる手段です。
資金集めに成功してプロジェクトを始動させたいですよね。
本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。
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参考文献
藤原(2019). クラウドファンディングの成功要因に関する実証研究.
Koch & Siering (2015). Crowdfunding Success Factors: The Characteristics of Successfully Funded Projects on Crowdfunding Platforms. ECIS 2015 Completed Research Paper 106.
Mollick. (2014). The dynamics of crowdfunding: An exploratory study. Journal of Business Venturing, 29, 1-16.
Paolo & Tobias. (2014). Crowdfunding: Determinants of success and funding dynamics. Jena Economic Research Papers, No. 2014-035.
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