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天気は我々の気分に影響を与えるのか?天候の心理学・精神医学

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なんか今日はだるいな

こう思う日が一年に何度かありませんか?

雨の日、特に梅雨の時期やになるとよく思うことが個人的にあります。

このように日常感覚では、天気・天候・季節によって私たちの気分や気持ちに変化が起きるように思えます。

中には、天気によって仕事へのモチベーションや、はたまた仕事上のタスクにも影響が及ぶと感じている方もおられるかもしれません。

精神疾患であるうつ病には、季節性のものがあり、SAD(seasonal affective disorder)という名前も存在するくらいです。

天気や天候、季節は、肌感覚だと我々の気分や認知に影響するように思えますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

本記事では、エビデンスを基に天気と心について考えたいと思います。

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①古くからある天気と気分の研究

天気・天候・季節と気分の関係を調べた研究は結構古くからあります。

中には、1970年代の研究もありますが、気分を調べる正式な質問紙の開発や公式の天候記録が整備されたのは比較的最近のこと。

そこで、それらが整備されていて比較的信頼性の高い研究が、Howarth & Hoffman(1984)の研究です。

彼らは、1980年11月10日~12月10日まで実験参加者に気分の質問紙に回答してもらい、この期間の公式天候記録と合わせて、天気と気分の関係性を調べました。

その結果が、下の図になります。

アスタリスクがついているのが、統計的に関連性のあるものを示しています。

この図によると、例えば、日照時間(Sun)が多いほど心配(Anxiety)が減ったり気温(Temp.)が高いほど心配がなくなったり湿度(Humid.)が高いほど集中力(Concentration)が低下したりすることがわかります。

この結果は、我々の日常で体験する天気と気分との関係性と整合的です。

天気が良いと気分が晴れる」という言葉は結構当たっているということです。

逆に雨の日は仕事のタスクに影響するというのもこの研究から分かります。

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②錯綜する天気と気分との関係

冒頭で述べたSADのように、天気が悪いと気分が憂鬱になるというのは本当にあることなのでしょうか?

これをうつ病の尺度で天気との関連性を調べたのが、Huibers et al. (2010)です。

彼らは、季節と抑うつを訴える頻度との関係を調べました。

その結果が下図です。

一つ目の図は、季節と抑うつを訴える頻度との関係性を表し、二つ目が季節と悲しい気分との関係を表しています。

これらの図から、抑うつを訴えたり悲しい気分になったりすることが多いことがわかります。

しかし、日照時間・気温・降雨時間という天候と気分(抑うつと悲しみ)との関係性を調べてみると、統計的に有意な関係性は見られませんでした

彼らの研究は、一万人以上もの人を対象にしており、信頼性は高いです。

では、天気と気分とは関係しないのでしょうか?

そう考えるのは早計です。

というのも、彼らの研究では、天候の尺度が少ないことが弱点として挙げられるからです。

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③個人差や天気の他の要因が影響している

先ほど指摘しましたが、天気の尺度も重要ですが、その他の要因も研究結果に影響します。

例えば、Keller et al. (2005)は、外出時間という要因によって、天気が気分や認知に異なる影響を与えることを示しました(下図)。

この図のように、外出時間30分未満(<30 min outside)か以上(>30 min outside)かで、天気の影響は真反対になります

この図の中で、上の二つの図は縦軸が気分の値で、下の二つの図は縦軸が左側が記憶力、右側が情報収集力をそれぞれ表しています。

さらに、Klimstra et al. (2011)は、天候と気分との関係性を、「夏が好き」というような個人差要因によって変わることを示しました。

また、彼らの研究では、Huibers et al. (2010)の研究では見いだせなかった他の天気の要因と気分の関係性とを見出しています。

これらのことを考慮すると、天気と気分・認知(心)は関係すると言えそうです。

ただし、天気という要因の影響があまりにも微弱に作用するため、研究結果として出にくいのと、Keller et al. (2005)のように外出時間という他の要因が絡んでくる場合があります。

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④まとめ

以上から、天気と気分は大いに関係するということが言えそうです。

これらの研究で重要なのは、天気によって人の活動が変わることだけではなく、うつ病などの精神疾患の方は天気によって病状が作用される可能性があるということです。

よく精神科医は、「梅雨の時期は患者が多くなる」と言ったりしますが、上記のような研究を見ているとそれは十分あり得ることだとわかります。

精神疾患の理解のため、また精神疾患の辛さを緩和するためにも、天気と気分の関係性はこれからも注目するべきトピックかもしれません。

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参考文献

Howarth & Hoffman. (1984). A multidimensional approach to the relationship between mood and weather. British Journal of Psychology, 75, 15-23.

Huibers et al. (2010). Does the weather make us sad? Meteorological determinants of mood and depression in the general population. Psychiatry Research.

Keller et al. (2005). A Warm Heart and a Clear Head: The Contingent Effects of Weather on Mood and Cognition. Psychological Science, 16(9), 724-731.

Klimstra et al. (2011). Come Rain or Come Shine: Individual Differences in How Weather Affects Moods. Emotion, 11(6), 1495-1499.

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