・右脳トレーニングをすれば頭が良くなります
・アドラー心理学で嫌われる勇気を持ちましょう
今や聞かない日がないくらい人気の学問となった心理学。
人気なゆえに誤解されていることが多いです。
例えば、現在の心理学では、フロイトやユングをほとんど(全く)勉強しません。
もちろん、専門にしている方はいますが、基本的には深く勉強しません。
今回はそんな心理学の主な三つの誤解について見ていこうと思います。
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衝撃の事実① 血液型性格診断
世間では、「B型は自己中」「AB型は変人」などのように血液型によって性格タイプが分かれると言われます。
また、血液型同士の相性も本でちらほら見かけます。
しかし、久保&三宅(2011)の研究では、血液型と性格の間には関係性を見出してはいません。
この図は血液型ごとに、BIG 5という有名な性格検査の指標を比べた図です(久保&三宅, 2011)。
血液型ごとに見てみると、性格検査のどの項目でも血液型による違いはあるとは言えません。
次の図は、血液型ごとに当てはまらないと答えた項目についてです。
いずれにしろ、血液によって性格項目に違いがあるとは言えません。
どの血液型も性格項目の数値で特別高い項目はありません。
O型項目だけ若干違いはありますが、むしろ、O型の人がO型項目を「当てはまる」と答えた人が少ないことを示しています。
血液型と相性に関する研究はないと思われますが、血液型と性格に関係があるとは言えない以上、血液型で人間同士の相性もあるとは言えないと思われます。
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衝撃の事実② 脳トレ
「脳を鍛える」というような脳トレの広告が町中やインターネットには溢れています。
メディアや書籍媒体で、高齢者のための脳トレグッズや脳トレクイズなど様々なものがあります。
しかし、Owen et al. (2010)の研究では、いわゆる「脳トレ」は効果があるとは言えないと結論づけられています。
この図は、最低でも週三で一日10分間の脳トレを6週間続けた人の脳トレ前(青)と脳トレ後(赤)の認知機能テストの結果です。
一番右の”control group”は比較するために脳トレをしなかった人たちの成績です。
青いバーが脳トレ前の成績。
赤いバーが脳トレ後の成績。
どの検査でも脳トレをした人と脳トレをしていない人の間で差がありません(Owen et al., 2010)。
ただし、自分が練習した項目では成績は上がります。
例えば、テトリスをやっていたらテトリスだけやたらと上手くなるとかです。
脳トレをしても全体的な能力が向上するとは主張できず、俗に言う「頭がよくなる」とは言えません。
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衝撃の事実③ アドラー心理学
最近流行りのアドラー心理学ですが、学術的にはアドラー心理学を取り上げる研究を心理学専攻者はほとんど見たことはないと思います。
そもそもアドラーの名前すら載っている教科書はまれです。
それこそ、アドラー心理学に特化した専門書くらいです。
臨床心理学でも亜流の位置だと思います。
なぜ取り上げられないかというと、私の推測ですが、アドラー心理学の方法論は臨床現場で使えなかったからだと思われます。
なぜかビジネス界隈では、アドラー心理学の本が飛ぶように売れ、アドラー心理学が世間で独り歩きしています。
ちなみに、かの有名な科学哲学者カール・ポパーは『推測と反駁』でアドラー批判を行っています。
論理が明快で読んでいても面白いのでぜひご興味のある方はそちらをご参照ください。
ただし、私は、アドラー心理学を学ぶ意義が全くないとは思いません。
その辺だけご理解を頂けたら幸いです。
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参考文献
久保&三宅(2011)「血液型と性格の関連についての調査的研究」吉備国際大学研究紀要 社会福祉学部 (21), 93-100.
Owen et al. (2010). Putting brain training to the test. Nature, 465(7299): 775–778.
カール・ポパー『推論と反駁』
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