心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

マインドフルネスとは?心理学と脳科学から見るその効果と副作用

・マインドフルネス(瞑想法)って何?

・マインドフルネスって流行っているけど効果あるの?

・マインドフルネスって簡単そうだけどなんか怖い。

最近流行している心理療法として、認知行動療法が挙げられる。

数年前から保険適用されるようになった唯一の心理療法である。

その認知行動療法の中でも、第三の認知行動療法と呼ばれているのが「マインドフルネス」である。

マインドフルネスは、そのやり方や方法の簡便さと効果から非常に人気がある心理療法である。

最近では、本格的とも言えるビジネス書も販売されている。

この書籍『世界のエリートがやっている最高の休息法ー「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』はたまたま書店で見かけたのだが、参考文献がちゃんと載せられており、内容が物語り風なので全く難しくなくマインドフルネスを学ぶことができるオススメの書籍である。

 

 

しかし、これほどまで広まっている(ブームになっている)マインドフルネスとは何かと尋ねられると困るという方は結構いらっしゃるのではないのでしょうか?

また、マインドフルネス瞑想を発展させたものだが、瞑想なんか効果あるのかと疑っている方も多いのではないでしょうか?

実は私もその一人です。

理由は後述しますが、マインドフルネスにも限界がありますし、療法なので副作用もあります

特に、世に広まっているマインドフルネスはその長所ばかりが目立っていて副作用についてはあまり言及されていません

理由は、研究自体が少ないからというのが私の印象です。

では、マインドフルネスとは何か?マインドフルネスの効果はいかほどのものか?

そして、副作用とはどのようなものがあるのか?早速見ていきます。

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①マインドフルネスとは何か?

まず初めに、マインドフルネスとは何かというところからお話します。

マインドフルネスの定義は、実はあまり心理学・神経科学(脳科学)の研究でもまとまっていないのです。

しかし、Tang et al.(2015)によると瞑想の定義として「注意力や感情の自己抑制などのような個人の核となる心理的な能力を改善するメンタル・トレーニング」だとしており、さらに、マインドフルネス瞑想においては、「現在のこの瞬間の体験を何の判断も入れずに注意を集中すること」と記述されています。

つまり、マインドフルネスとは、「現在のこの瞬間に意識を集中させて、心理的な能力を改善させる心理的なトレーニング法」と簡単に定義できそうです。

この定義は、マインドフルネスの生みの親とされているジョン・カバット・ジンという人の提唱していることと同義だと思われます。

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②マインドフルネスの効果!心理編と物理編

では、このマインドフルネスにはどのような効果があるのでしょうか?

実は、マインドフルネスの研究は最近出てきた研究でありながら、膨大な研究報があります(Tang et al., 2015)。

例えば、不安や抑うつ気分の軽減、中には精神疾患の治療法としても応用されているくらいです。

今回は、すべて取り上げるのは不可能ですので、キーとなる研究を取り上げます。

「マインドフルネスとは?」のところで見たように、マインドフルネスとはメンタル・トレーニングの一種です。

なので、まずはマインドフルネスの心理面への効果について見ていきましょう。

Sevic et al.(2019)の研究によると、マインドフルネスには、ストレスの減少感情抑制機能の向上不安の軽減の三つの効果があるといいます。

実験としては、上図のように、マインドフルネスをする前と後でその効果の検証を行っています

ちなみに、統制群として、運動療法(SME)を取り入れています。

運動療法は普通の療法ですが、この普通の療法とマインドフルネスとを比べることによって、マインドフルネスの本当の効果を見ようとしているのです。

すると結果が以下のようになります。

左の図が、ストレス、真ん中の図が感情の自己抑制力、そして右の図が不安です。

特に、感情の自己抑制と不安に関して、マインドフルネスの後で効果が明確に現れています

つまり、マインドフルネスには、感情を抑える力をつける効果と不安を軽減する効果があるということです。

ストレスに関しては、運動療法(SME)でも効果が現れていますので、どっこいどっこいですね。

マインドフルネスが感情に効果があることが示されました。

では次に、物理的にどのような効果がマインドフルネスにあるのかを見ていきます。

ここで言う物理的効果とは、特に「痛み」に関してです。

ちなみに、痛みに関しては、少し違う痛みの記事を過去に書きましたので、ご興味があれば「神経科学(脳科学)により明らかになった仲間外れにされた人の心の痛み―社会的痛み(Social Pain)の研究序説」もご覧ください。

Zeidan et al. (2011)は、物理的痛みに関しても同様に、マインドフルネス前後の反応を見て効果を判断しています。

この研究では、統制群として呼吸に単に集中する方法をとっています。

研究結果は以下のようになりました。

左側が痛みの度合いで、右側が痛みをどれくらい不快に感じたかです。

白い棒とグレーの棒に注目すると、単なる呼吸への集中よりも、マインドフルネスの方が明らかに痛みに効果が出ています。

つまり、マインドフルネスは痛みを緩和するということ。

面白いのは、このときの脳活動の結果です。

下の図は、痛み刺激を与えられているときの体性感覚野の領域の活動を示しています。

体性感覚野は、体に物理的刺激を受けたときに活動する部分だと認識していただければ結構です。

単に休んでいる時に痛み刺激を受けると赤く活動していますが(左)、マインドフルネスをしている時には、活動が見られません(真ん中)

つまり、痛み刺激を受けてないような状態なのです。

これらの二つの研究から、マインドフルネスが我々の体と心にいかに効果があるのかが実証されています。

特に、ストレス感情の自己抑制力不安痛みに関しては、他にも膨大な研究結果がありますので、上の研究は比較的頑健な知見だと言えそうです。

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③マインドフルネスの副作用と限界

最後に、これまでメディアや本などであまり取り上げられていないマインドフルネスの副作用についてお話します。

一般的に、療法と名のつくものには必ず副作用が存在します

一番有名なのは、薬物療法、お薬の副作用ですね。副作用は、心理療法にも例外なくあります

マインドフルネスも心理療法の一種ですから副作用はもちろんあります

この点を注意しないといけません。

ただし、マインドフルネスの副作用に関する研究はかなり少なく、まだ確定的なことが言えない状態です。

今回ご紹介する研究も、質問紙調査を主体としたものですので、少し研究としての信頼性は実験よりも低くはなります。

それでも、マインドフルネスの実体を捉えていることには変わりないので、参考になるかとは思います。

Cebolla et al.(2017)の研究では、質問紙を送り、342人からの回答を基に、マインドフルネスの実体と副作用の検証を行っています。

まず、上記の図のように、回答を得た342人の内25.4%の人が、マインドフルネスの好ましくない効果(影響)を感じていると回答しています。

マインドフルネス実施者の4人に1人はマインドフルネスの副作用を経験しているということ。

これは予想以上に多い数です。

では、どのような副作用なのか?

最も多いのが、Symptomsの欄に書かれてあるように、不安症状です。

先ほどのご紹介した研究で、マインドフルネスには不安症状の改善効果があると申しましたが、逆のことも生じるみたいです。

次に多いのが、脱人格化感覚と非現実感です。

これは論文の例を述べると、自分の呼吸に意識を集中させると、空間的な意識がとても早く移動する感覚があるということや、自己意識がとても私にとって近く感じたり、自分の周りのすべてのものがとても遠くにあるような感じを受けたりするみたいです。

つまり、自己意識がふわふわと浮いているような感じと現実感が全くないような感じを受けるということでしょうか。

確かに、マインドフルネスは瞑想の一種であるため、現実感の喪失は、マインドフルネスをすればするほど感じるかもしれません。

次に、自由回答ではなく、チェックリストの結果を見てみましょう。

この中で最も多いのが、社会からの疎外感です。

次に、現在の世界に違和感を覚えるであり、何かが欠けている感覚もあるみたいです。

これも、上で見た現実感の喪失と言えそうですね。

これらの症状は、いずれもマインドフルネスによる弊害だと言えそうです。

現実感の無さは、やるせなさやむなしさにも関連すると思われます。

もしかしたら、精神疾患にもつながってくるかもしれません。

現に、マインドフルネスで不安感を感じるようになっているというのはそれを裏付けているような気もします

この研究は、他にもいろいろなマインドフルネスの効果と副作用が書かれていますので、もしご興味があれば是非原著を当たってください。

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④まとめ

以上が、マインドフルネスとは何か。

そしてその効果と副作用についてです。

最後に私見ですが、マインドフルネス研究の難しさについて一言。

実験研究を挙げましたが、本当に実験場面でマインドフルネスができているかは客観的にはわかりません

上記の研究は、いずれも、プロのアドバイスを受けてトレーニングする前後を実験として見ています。

トレーニング期間としては、大抵は数週間でほんとうにそれでマインドフルネスをちゃんとできるようになっているのかは神のみぞ知るです。

しかも、本人ができていると思いこんでいるだけかもしれないという大きな限界があります。

実は、最後の副作用をご紹介した研究の中で、何の指導も受けずに独学でやっている方が40%以上いるという報告もあります。

もしかしたら、この独学者が副作用を訴えているだけかもしれませんが、副作用はあります。

マインドフルネスの効果に関しての実験には懐疑的である方がいいと思われますし、マインドフルネスの効果自体についても注意が必要でしょう。

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参考文献

Cebolla et al.(2017). Unwanted effects: Is there a negative side of meditation? A multicentre survey. Plos One, September 5.

Sevnic et al.(2019). Strengthened Hippocampal Circuits Underlie Enhanced Retrieval of Extinguished Fear Memories Following Mindfulness Training. Biological Psychiatry.

Tang et al. (2015). The neuroscience of mindfulness meditation. Nature Reviews Neuroscience.

Zeidan et al.(2011). Brain Mechanisms Supporting the Modulation of Pain by Mindfulness Meditation. Journal of Neuroscience, 31(14), 5540-5548.

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