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コズルい「ブラック企業」の特徴と見分け方

・ブラック企業の被害にあいたくないです。

・どうしたらブラック企業とホワイト企業とが分かりますか?

・ブラック企業とそうでない企業との違いを教えてください。

近年問題視される「ブラック企業」。

その概念と存在は今や日本で認められています。

ブラック企業大賞ブラック企業ランキングなどもあり、ブラック企業は後を絶ちません。

本来、ブラック企業という言葉は、ネットスラングでした。

しかし、近年では学術の場でも「ブラック企業」という言葉が広く使われるようになっています(今野, 2015)。

ブラック企業は、その企業に所属する人たちだけの問題ではありません。

というのも、ブラック企業から去った社員もことごとく精神を病み、時には命までも失うことがあるからです。

この状況は、社会的にも人財が失われることであり、人手不足に拍車をかけます。

さらに、社会的資本として重要な戦力を失うことになるのです。

他方で、ブラック企業から去った若者は、本来得られたであろう人生設計が狂い、将来への見通しも立たなくなります

そして、新卒ブランドを失った状態で就職活動を再開するという博打にも似た莫大なコストを負担しなければならなくなります。

今回は、ブラック企業の被害者を一人でもなくせるように、経営学と経済学をフルに活用してブラック企業の基本的な特徴をご紹介します。

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①「ブラック企業」の特徴と定義

ブラック企業の定義としては、今野(2015)によると以下の定義でほぼ固まっています。

狭義には『新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業』であると定義できます・・・中略・・・「ブラック企業」を広義にとらえると、『違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業』であると定義できます。

今野(2015)はこの定義を短くまとめて、「大量採用→使い潰し(選別・使い捨て)→大量離職」という図式で捉えています。

ブラック企業の特徴として、今野(2015)は上図のように記述しており、さらに、

『ブラック企業』の労務管理は、しかしながら偶発的な現象ではない。むしろ、高度に洗練され開発された労務管理の『技術』であるといってもよい

とまで述べています。

そのため、一見普通に見える企業が実はブラック企業であったという現象が生じるのです。

「ブラック企業」の代表的な特徴として、残業代を基本給に含める「固定残業代」制度がよく取り上げられています(今野, 2015)。

この「固定残業代」制度がやっかいな問題点は、

採用内定時や本採用時、あるいは入社後に真の労働条件が明示され、これに労働者が同意してしまっている場合

が非常に多い点です(今野, 2015)。

よくある体験談として、入社しての新入社員研修の時に、本当の基本給が提示されて、そこに残業代が含まれていることに気づくパターンが多いです。

しかも、大企業ゆえ大勢の新入社員の前という文句を口にするのがはばかられる状態で提示されることが多い。

悪質かつ巧妙な手口だといえる。

そして、もしブラック企業を辞めようとしても、「就職(転職)活動をやり直さなければならない」というコストが生じるため、なかなか辞められない。

上記のように、ブラック企業の定義はほぼ現在では確定してきているといえます。

そして、ブラック企業の手口は、単なる近視眼的な幼稚な手口ではなく、かなり巧妙で悪質であり、一見しただけではブラック企業だとは分からないように偽装しているのです。

実際に、ブラック企業の経済的分析を行った寺崎(2015)による下記の図を見ると大卒後三年離職率と成長率が正の相関関係を示している

つまり、離職率が増えるとその企業の成長率が増えているのです。

これはまさに、若者の使い捨てを間接的に示しています。

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②「ブラック企業」がなぜここまで横行しているのか?

この疑問には、鈴木(2015)による回答が的を射てます。

鈴木(2015)によると、

キャリアを積むことを望む従業員が経営者の労働過程の専制支配に対して『念願的合意』をもつこと、このような『合意』の根拠が崩れて離職する者が多く出ても、離職者の補充や厳しい労働条件に適応する一定の労働者の存在により『ブラック企業』の労働過程が再生産

されると指摘しています。

つまり、質より量をとって生き残った者のみ重宝するという論理です。

そして、この生き残りには、「ブラック企業」の厳しい労働条件にも絶えたという自負心が生まれ、新しく入ってくる者に自分の成功体験を重ね合わせて過労死に近い労働条件を迫ります。

まさに、鈴木(2015)の回答は現状のブラック企業を反映してます。

さらに、この合意の過程に、上記で示した「離職時の就職活動」というコストもあります。

それゆえ、辞めにくい状態に追い込まれて、潰れるまでブラック企業にいいように使われ続けるのです。

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③「ブラック企業」への対処

様々な対処方法が過去の研究から示唆されていますが、最も現実的なのが、労働組合による内側からの経営者への圧力です。

他には、法の意識を教育により、若者に啓発したり、企業のことについて知ってもらったりするという方法がありますが、①で述べたように、ブラック企業の論理は巧妙です。

入社する者の心意気如何でどうにかなるレベルを超えていると言わざるを得ません。

また、労働組合を組織するのも現実的ではありません。

現状では、確固とした対策がないです。

しかし、ブラック企業がどういう企業なのか、その特徴を知れば少しでもブラック企業を避けることはできます。

ブラック企業の被害者が少しでも減りますように。

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参考文献

今野 晴貴(2015)「『ブラック企業問題』の沿革と展望:概念の定義及び射程を中心に」大原社会問題研究雑誌, 681, 6-21.

鈴木 玲(2015)「『ブラック企業』の普遍性と多面性:社会科学的分析の試み」大原社会問題研究雑誌, 682, 30-43.

寺崎 克志(2015)「ブラック企業の経済学」目白大学総合科学研究, Vol. 11, 19-40.

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