心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

書くことでストレス解消!心理学が提唱する最も手軽なストレスマネージメント

writing effects

・いろんなストレス解消法があるけどどれが効果的なのかな?

・今すぐにでもできるストレス解消法はないのかな?

・手軽なストレス解消法を知りたい

ストレス解消や心の健康は誰もが望むこと

そのため、たくさんのストレス解消法が提案されているけれど、どれをしたらいいのかわからない

しかも、どれが効果的なのかもわからない

中には、怪しいモノや何時間もかかるものもある。

効果的で手っ取り早いストレス解消法はないのだろうか?

そんな疑問に心理学は答えます。

今回の記事では、今すぐその場で20分程度でできるストレス解消法をご紹介します。

過去の記事「ストレス解消の脳科学!正しいメカニズムを知ってストレス発散」では、ストレスのメカニズムとストレス解消法の原理を解説しました。

他方で、「仕事のストレスでイライラするあなたへ:心理学的な簡単ストレス解消法」の記事では、特に仕事のストレスに焦点を当てて仕事のストレス解消法を解説しました。

合わせて読んでいただけると幸いです。

本記事では以下のことが学べます。

1. 手軽にできるストレス解消法

2. 書くことの効果

3. 書くストレス解消法の効果と持続期間

4. 書くストレス解消法の注意点

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①最も手軽なストレス解消法:書くこと(エモーショナル・ライティング)

ストレス解消には様々な方法があります。

世間一般的に言えば、運動や海岸で叫んだり、カラオケや趣味に没頭したり。

以前の記事「仕事のストレスでイライラするあなたへ:心理学的な簡単ストレス解消法」では、公園や森林を散歩することがストレス解消になります。

けれども、いずれの方法も、結構時間がかかりますし、場所が限られていたり、そもそも、ストレス解消に効果的なのかが科学的にわかりません。

実は、心理学は、この問題に取り組んでいて、ワイズマン『その科学が成功を決める』という本の中でも同様の疑問を考察しています。

私が探した中で最も手軽なストレス解消法は、まさに「書くこと(エモーショナル・ライティング)」です。

この方法が行われたのは、1986年の論文でした。

その後膨大な研究がありますが、それらに共通しているのが以下の点です。

  • 自分の深い感情やトラウマとなった出来事などを詳細に書くこと
  • 20分間ほぼ書き続けること
  • できるだけ感情を込めて書くこと

この三つです。

この三つを踏襲すれば、ストレスや気分の落ち込みなどに効果的であることが言われています。

例えば、Mosher & Danoff-Burg (2006)は、20分間感情を込めて書く場合と単なる出来事を書く場合とに分けて、感情を込めて書いた人の方が心理学的に良い効果があることを示しました。

writing effect stress

この図の、Positively Focused Writing Groupが感情を込めて書いた群(感情群)

Control Groupが出来事を書いた群を示しています(コントロール群)

感情群はコントロール群よりも以下の四つの効果を得ました。

  • 睡眠の質の向上
  • 病気で動けない日にちの減少
  • ポジティブな感情が増加
  • ネガティブな感情の低下

これら四つの効果が出たと述べています。

ネガティブな感情には、ストレスや抑うつ感情などが含まれています。

このような研究から、実際に鉛筆やペンを持って自分の感情を書きなぐることがストレスや精神衛生上効果的であることがわかります。

ちなみに、メタ分析という過去の研究を集めて一定の結論を出す研究でも、書くことはストレスやネガティブな感情に効果的であることが示されています

メタ分析については、「メタ分析とは何か?心理学論文から見るメタ分析の方法と限界」の記事で詳しく解説しておりますので、あわせて読んでいただけると幸いです。

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②書くことは、ガン患者の症状緩和や心理的ケアにも効果的

次に、書くことは実際の医療現場でも効果的であることが示されています。

Low et al. (2010)は、末期がんの患者さんが感情を書くことで、症状の緩和や気分の向上などの効果があることを示しました。

writing effect cancer

この図は、EMOが感情を書いた場合

CTLは出来事などを書いた場合です。

CESは抑うつ感情を表したもので、EMOの方が下がっています。

IES-Intrusionは、ガンについてずっと考えすぎてしまうことです。

この指標でもEMOの方が下がっています。

PSQIは、睡眠の質を測る指標で、EMOの方が質が良くなっています。

このように、医学的にも書くことはセラピーになると言われるくらい効果的です。

ただし注意が必要なのが、書くことの効果は感情的にサポートがない方に効果的である点です。

writing effect emotional support

この図は、縦軸が、IES-Intrusionでご紹介したがん患者さんの症状を表します。

横軸のlowとhighは、誰かの感情的なサポートがない場合とある場合です。

感情的なサポートとは、論文では明記されていませんが、自分の感情を誰かに相談出来たりすることだと思われます。

図より、EMOが効果的なのが、lowの場合です。Highの場合は効果がありません。

よって、感情的に不安定な方の方が、書くことの効果が出ると言えます。

感情的に安定している方に、そもそも書いたりストレス解消したりする必要はありませんからね。

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③書くことでストレス解消する効果はどれくらい?

これまで、書くことがストレスや感情面でプラスに効果的であることがわかりました。

では、この書くことの効果はどれくらい続くのでしょうか?

それを調べたのが、Sloan et al. (2009)です。

彼らは、感情を書いた群(Disclosure)と出来事を書いた群(Control)のその後6か月にまでわたって感情の状態を評価しました。

すると、以下のような結果になりました。

writing effect durability

縦軸は、抑うつ感情の高さを表します。

横軸は時間軸です。

図を見ると、2か月目のところで効果的なのがわかります。

その後は、両群とも変化なしです。

つまり、書くことの効果は、約二か月だということがわかります

一度20分間自分の感情を書きなぐるだけで二か月も効果があるということです。

最後に、書くことの効果に関する注意喚起を行った研究をご紹介します。

Niles et al. (2014)は、これまでご紹介した研究と同様に、書くことの効果について調べました。

すると、全く書くことの効果が見られなかったのです。

そこで詳しく分析してみると、感情がどのくらい込められていたのかが大きなポイントだということが分かったのです。

writing effect individual differences

この図は、縦が不安の高さを表します。

左の図は、感情が込められていない人たち

右の図は、感情が込められていた人たち

真中が全実験参加者のデータです。

横軸の1と2は書く前と書いた後を示しています。

●の傍線が出来事を書いた群

▲の点線が感情を書いた群です。

すると、右の図のみ、感情を書くことの効果が出ていることが分かります。

つまり、同じように感情を込めて書いたとしても、どれくらい感情を込められるかで書くことの効果が異なるのです。

もちろん、自分の奥深くにある真の感情を書く方が心理学的に効果的です。

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④まとめ

以上より、心理学的に、書くことがストレス解消に有効だということがわかりました。

まとめると以下のようになります。

  • 20分間自分の奥深くにある感情やトラウマ的な出来事を書くとストレス解消になる
  • 末期がんの患者さんの研究から、書くことは、医学的にもセラピーの代わりとしての効果もある
  • 書くことの効果は、約2か月程度
  • 書く場合は、感情を良く込めないと意味がない

冒頭でご紹介したワイズマン『その科学が成功を決める』でも、書くことの効果を認めています。

最近では手書きで書くことが少なくなりましたが、ストレス解消や感情コントロールのためには、手で書くことが心理学的にお勧めです。

最も、手軽でその場ですぐできるストレス解消法だと思います。

ストレスや感情コントロールに悩む方に少しでも貢献できれば幸いです。

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参考文献

Low et al. (2010). A Randomized Controlled Trial of Emotionally Expressive Writing for Women With Metastatic Breast Cancer. Health Psychology, 29(4), 460-466.

Mosher & Danoff-Burg (2006). HEALTH EFFECTS OF EXPRESSIVE LETTER WRITING. Journal of Social and Clinical Psychology, 25(10), 1122-1139.

Niles et al. (2014). Effects of Expressive Writing on Psychological and Physical Health: The Moderating Role of Emotional Expressivity. Anxiety Stress Coping, 27(1)

Sloan et al. (2009). The durability of beneficial health effects associated with expressive writing. Anxiety Stress Coping, 22(5), 509-523.

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