失敗から立ち直るレジリエンス

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2024/12/19

【心理学の研究】レジリエンスがないと負け続ける!?見返す気持ちと向き不向き(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第三十六回目)

・落ち込んで立ち直るまでのレジリエンスの心理学的メカニズムを公開! ・レジリエンスの低いスポーツ選手は、負け続ける可能性が高い! ・「次はやってやろう」と見返す気持ちの有無でスポーツに向いているかがわかる⁉ 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 今回のトピックは、「失敗から立ち直るレジリエンス」 普段よく耳にする「レジリエンス」。 それって何なのか ...

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赤ちゃんの語彙力が上がるコツ:集中力が高い赤ちゃんは語彙力も豊富⁉

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2024/12/16

【心理学の研究】子どもの○○力は実は将来の語彙力向上につながる⁉(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第三十回目)

・一つの物事にずっと取り組める集中力は、語彙力向上に効果があるのか? ・多くの家庭の赤ちゃんの能力を調べた実験を紹介! ・聞くだけでわくわくするその実験内容とは? 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「赤ちゃんの言葉の語彙力」です。 赤ちゃんの語彙力の心理学シリーズの第三弾として「集中力の高い赤ちゃんは語彙力も豊富」を心理学のエビデンスをもと ...

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失敗から立ち直るレジリエンス

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2024/12/13

【心理学の解説】聞いたことはあるけど知らない「レジリエンス」って何?(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第三十五回目)

・心理学のレジリエンスの二つの意味。 ・スポーツ界でのレジリエンスは、筋肉の伸び縮で戻る力のこと! ・レジリエンスにはあの芸人さんのネタが関係している⁉ 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 トピックは、「失敗から立ち直るレジリエンス」 普段よく耳にする「レジリエンス」。 それって何なのか? 何の役に立つのか? レジリエンスの意味とスポーツでの役割 ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

仕事にも影響する上から目線がムカつく厄介な感情【軽蔑の心理学】

・上司の上目線がムカつく

・あの人は人として軽蔑する

・侮蔑されてイライラする

人間は一人では生きていけません。

しかし、それでも他人を軽蔑します。

人として尊敬できない人、態度の悪い人、素行の悪い人。

こういう人を見ると軽蔑を覚えずにはいられない

他方で、軽蔑の別の形が上目線です。

上司だけではなく、同僚や知り合いにも相手を下に見る人はいます。

上目線も人によってはかなりムカつきます。

しかし、どうしたらいいのかわかりません。

そこで今回は、軽蔑という感情について心理学的に理解を深めようと思います。

軽蔑がどういう感情なのか?

軽蔑が他人にどういう影響を与えるのか?

これらを知ることで上目線や軽蔑に対処することができるようになるかもしれません。

本記事では以下のことが学べます。

1. 軽蔑とはどのような感情か?

2. 軽蔑が生まれる心理メカニズム

3. 軽蔑が仕事やパフォーマンスに影響すること

4. 軽蔑されると人間の行動が変化すること

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①軽蔑とはどういう感情か?心理学的な定義

軽蔑とは複雑な感情です。

英語で言うと「contempt」になります。

嬉しいや悲しいなどの喜怒哀楽とは異なります。

それゆえちゃんとした研究は結構最近になってからです。

Fischer & Roseman (2007)は、実験参加者に怒りと軽蔑を覚えた体験を思い出させて、怒りと比較して軽蔑を定義しようとしました。

contempt definition

この図は、怒りと軽蔑を比較した図です。

注目するべきは、以下の指標です。

Other-blame(他人の非難)

Intimacy(親密)

Verbal attack(言葉の攻撃)

Derogation(傷つける)

Reconciliation(調和)

Rejection(拒絶)

Coercion(抑圧)

Social exclusion(社会的排除)

まとめると、

怒り>軽蔑の場合

言葉の攻撃、調和、抑圧の三つです。

言い換えると、怒りの感情は、「人との調和のための他人に抑圧的な感情」であると言えます。

怒るっている人は他人を威圧します。

それでも、人間の関係性を調和する一時的な感情といえるでしょう。

逆に、軽蔑>怒りの場合

他人の非難、親密度の減少、傷つける、拒絶、社会的排除の五つです。

言い換えると、軽蔑とは、「他人を非難して傷つけ親密度を減らすことで、他人を拒絶して社会的に排除しようとする感情」だと言えます

軽蔑は、他人を完全に拒否します。

「フッ」と嘲笑された時、人は突き放されるような感情になります。

あの感じに似ています。

自分からの排除を軽蔑は意味しています。

contempt anger duration

この図は、怒りと軽蔑の目的とどれくらい両方の感情が続くのかを示しています。

軽蔑に注目すると、Exclusion(排除)がAttack(攻撃)よりも高いです。

軽蔑を感じている期間(Duration of contempt)の間も、排除が高いです。

以上より、軽蔑とはどのような感情なのかが分かります。

つまり、軽蔑とは、「他人を非難することで、親密な関係を壊し、他人を拒絶し排除する感情」だと定義できます

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②軽蔑が生まれる心理的メカニズム

では、この軽蔑感情はどのようにして生まれるのでしょうか?

実は、心理学的にまだ決定的な軽蔑のメカニズムの研究はされていませんが、暫定的な軽蔑発生のメカニズムを唱えた人たちがいます。

Norton et al. (2007)は、ある人を知る時の情報量と自分と似ているかどうかが、その人を好きになるのかを調べました。

すると以下の図のようになりました。

contempt mechanism

この図は、ある人の情報量(Knowledge)が高くなるほど好き(Liking)が減ることを表しています。

そして、この関係には、自分と似ているか(Similarity)が媒介していることも示しています。

つまり、

「情報量→似ているか→好き」

という関係性です。

ある人を知る時に、その人の性格などの情報量が多ければ多いほど、「なんか違う」と思うようになり、好感度が下がります。

この「なんか違う」というのは、自分と似ていないということに繋がります。

そして、よく知られているように、自分と似ている人とは親密になるのです。

なので、上の公式は、

情報量が多い→似ていない→好きにならない

とも言い換えることができます。

そして、これを裏付ける実験も彼らはしています。

彼らは、実験参加者に、デートサイトで実際に「いいな」と思った人とデートしてもらって、デート前後の印象を尋ねました。

すると以下のような結果になりました。

contempt data

この図は、縦軸が各指標の大きさを示しています。

白い棒グラフがデート前。

ねずみ色の棒グラフがデート後です。

すると、デート前では、相手の情報量(Knowledge)が少なく、好き度(Liking)や類似度(Similarity)は高いです。

一方、デート後では、相手の情報が多くなり、好き度と類似度は下がりました

ある種相手と会わず突き放すような状態になります。

これは、①での軽蔑と少し似ています。

つまり、軽蔑とは、相手のことを知るほど生まれてくる感情であることが分かります。

そして、自分と「同じだ」という類似度がなくなることでも軽蔑が生じます

軽蔑のメカニズムとして、「相手のことを知るようになり、自分と同じという感覚がなくなり、嫌いになる」ということが仮説として浮かび上がります。

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③軽蔑された人間の反応:仕事のパフォーマンスや階級の違いに注目して

これまで軽蔑自体に焦点を置いてきました。

では、軽蔑されると人間はどうなるのでしょうか?

これも心理学が解明しています。

言葉の暴力と仕事のパフォーマンスについて

Melwani & Barsade (2011)は、実験参加者に製品のエッセイを書いてもらい、そのエッセイのフィードバックとして軽蔑される条件をいれることで軽蔑の人間への効果を調べました。

すると以下のようになります。

contempt verbal aggression performance

この図は、左端の、Contempt(軽蔑)、Anger(怒り)、Neutral(ニュートラル)がそれぞれフィードバックの時に喚起させた感情です。

Interpersonal aggressionは、フィードバックを受けた時に、批判したり、言葉で罵ったりした回数を示しています。

Task performance qualityは、エッセイのパフォーマンスです。

Roundは、エッセイを提出してフィードバックを受けた時の回数を示しています。

全部で三回行っています。

一回目よりも、三回目に向かう方が感情を喚起しやすいように設定されています。

すると、軽蔑では、回数を追うごとに言葉での批判が増えています

重要なのが、仕事のパフォーマンスです。

仕事のパフォーマンスも実は回数を追うごとに上がっているのです。

軽蔑されて、「ナニクソ!見返してやる」という感情が湧くのだと思われます。

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自尊心の低下

しかし、軽蔑は、仕事のパフォーマンスは上がりますが、心情はよくなりません。

contempt self-esteem

この図は、横軸が回数を示しています。

縦軸が自尊心です。

黒の線グラフが、軽蔑された時で、白が単に間違いを指摘されたときです。

すると、軽蔑されると余計に自尊心が傷ついていくことが分かります。

「ナニクソ!」とは思いながらも、内心は「俺なんて・・・」と傷ついているのです。

ちなみに、自尊心が低くなるとどうなるのかを解説した記事を以前作りました。

心理学が解明!自尊心が低いと何が問題なのだろうか?

ご興味のある方は合わせて読んでいただけると幸いです。

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階級によって軽蔑の効果は異なる

部長か、課長かという階級によって軽蔑されたときの反応が異なります。

contempt status

先ほどと同じ図ですが、左端のHigh statusが地位の高い人。

Low statusは地位が低い人です。

すると、地位の高い人は、軽蔑されると文句は言うくせに、パフォーマンスが下がっていっていることが分かります。

一方、地位の低い人は、軽蔑されても地位の高い人ほど文句も言わず、仕事のパフォーマンスが回数を追うごとに上がっていっています

地位の高い人はプライドが許さないのでしょうか?

重要なのは、単に間違いを指摘されただけでも同様の傾向がみられることです。

地位が高くなるほど、反骨精神がなくなるのか、単に謙虚さがなくなっているのか。

今後の研究に注目です。

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④まとめ

以上より、軽蔑や上目線は人間の行動に多大な影響を与えます。

まとめると以下のようになります。

  • 軽蔑とは「他人を非難することで、親密な関係を壊し、他人を拒絶し排除する感情」
  • 軽蔑発生のメカニズムとしては、「他者のことを知るようになり、自分と違うことが明確に分かるようになり、好きではなくなる」という道順を辿る
  • 軽蔑は、言葉の暴力を増やす
  • 軽蔑は、他者に「ナニクソ!」という反骨精神を与え、仕事のパフォーマンスを上げる
  • 軽蔑は、自尊心を傷つける
  • 軽蔑は、階級によってとらえられ方が異なる

個人的には、軽蔑は他者の自尊心を傷つけますし、他者を排除するような効果があるので、あまり抱かないようにしています。

実際、Matsumoto et al. (2016)は、軽蔑されると、他者との関係性を構築する社会的な言葉(social words)が少なくなることを示しています。

以前「人とつながると健康に!?孤独は危ない!社会関係資本と体と心の健康」の記事で社会的なつながりは健康に繋がることを解説しました。

自分も周りも幸福になるには、できるだけ軽蔑や上目線をしないようにしないといけません。

この記事が、その第一歩となれば幸いです。

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参考文献

Fischer & Roseman (2007). Beat Them or Ban Them: The Characteristics and Social Functions of Anger and Contempt. Journal of Personality and Social Psychology. 93(1), 103-115.

Matsumoto et al. (2016). The effects of incidental anger, contempt, and disgust on hostile language and implicit behavior. Journal of Applied Social Psychology, 46, 437-452.

Melwani & Barsade (2011). Held in Contempt: The Psychological, Interpersonal, and Performance Consequences of Contempt in a Work Context. Jornal of Personality and Social Psychology, 101(3), 503-520.

Norton et al. (2007). Less is More: The Lure of Ambiguity, or Why Familiarity Breeds Contempt. Journal of Personality and Social Psychology, 92(1), 97-105.

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