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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2024/3/28

先生との仲の良さが生徒の学校の成績や生活態度に影響する!?

・学校の先生と折り合いがつかない。 ・先生と仲良くして意味はあるのか? ・先生と生徒の関係は大事なのか? 学校の先生とよくケンカする生徒はいますが、逆に学校の先生と仲の良い生徒もいます。 肌間では、学校の先生とケンカする生徒は不良や勉強が苦手な子が多く、逆に先生と仲の良い生徒は勉強ができてお利巧な子が多い印象です。 そもそも学校の先生との関係性が子どもの発達に影響するのか? 実は、勉強成績だけではなく、多方面に影響します。 今回は、心理学の実際の研究をもとに、そんな学校の先生と生徒の関係性が生徒にどのよう ...

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不眠症の症状と特徴

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2024/3/7

あなたは何個当てはまる? 不眠症になりやすい人の心理学的特徴

・なかなか寝付けない。 ・睡眠の質が低い。 ・寝ても目が覚める。 睡眠でお悩みの方は多いです。 夜に寝るのが遅くなり、朝までぐっすり眠れない…。 それは、実は不眠症と関係しているかもしれません。 今回は、心理学の論文をもとに不眠症になりやすい人の特徴を解説しました。 もし当てはまるものが多ければ、医療機関に相談するのもありです。 睡眠に悩む方にもどうやったら良い睡眠がとれるのか、そのヒントにもなります。 ぜひ下記動画をご覧ください↓ スポンサーリンク

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2024/2/11

仕事と家族: どっちを優先すれば幸福度が高いか?心理学のアドバイス

・仕事が第一優先だ! ・家族が最優先だ! ・仕事と家族のどっちが大切なの? 社会人は、仕事と家族の両立が求められます。 しかし、なかなか両立することは難しいです。 身近な例だと、家族を優先して育休を取得したのに、育休明けに左遷されたなんて話もあります。 では、仕事と家族のどちらを優先すれば幸福度や生活の質が高くなるのでしょうか? そんな衝撃的な心理学の研究を解説しています。 ぜひご覧いただいて、ご自身の参考にしてみてください! スポンサーリンク

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

仲良くなるためのコミュニケーションの心理学:自分のことを話して親近感UP

・あの子と仲良くなりたい。

・コミュニケーションが苦手です。

・友達ができる簡単な方法はないの?

コミュニケーションンは人間の永遠の課題です。

学校でも社会でもコミュニケーション力は必要とされます。

コミュニケーションが取れないと気になるあの子と仲良くなれません。

友達もまずは親密なコミュニケーションから始まります。

「コミュ障」という言葉に代表されるように、私も含めコミュニケーションが苦手な方は多いです。

そこで今回は、他人と仲良くなるための心理学的コミュニケーション術を解説します。

キーポイントは、自分のことを話すこと(自己開示)です。

本記事では以下のことが学べます。

1. 自分のことを話す(自己開示)とは何か?

2. 自己開示はコミュニケーションの鍵であること

3. 自己開示の心理学的な様々な効果

4. 自分のことを話すと健康につながる。

5. 有意義な会話をする方法

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①自分のことを話す自己開示とは何か?女性の方が男性よりも自己開示する!?

心理学では意外にコミュニケーションの研究は少ないです。

その中でも、多く研究されていて、コミュニケーションに有効なのが自分のことを話す自己開示です。

では、自己開示とは何でしょうか?

自己開示(self-disclosure)とは、心理学辞典によりますと、「他者に対して、言語を介して伝達される自分自身に関する情報、およびその伝達行為をいう」と定義されています。

難しそうに書いていますが、要は、「言葉を介して自分の感情や考えなどを相手に伝えること」を指します。

いろんな研究でも、この定義が使用されています。

例えば、Dindia & Allen (1992)は、様々な研究を集めて分析し直すメタ分析という手法を使って、自己開示の男女差を明らかにしました。

ちなみに、メタ分析の詳しい解説は「メタ分析とは何か?心理学論文から見るメタ分析の方法と限界

合わせて読んでいただけると幸いです。

結果が下図です。

self-disclosure sex differences

この図で注目するべきところは、dという指標です。

この指標は、プラスになるほど女性が自己開示しやすいことを、マイナスになるほど男性が自己開示しやすいことを示しています。

dの欄のどの値もプラスになっており、女性の方が男性よりも自己開示しやすいことが分かります。

この図は、それ以外にも多くの興味深いことを示しています。

Sex of targetは、話し相手が誰かという欄です。

話し相手が、女性(female target)だと、女性はより自己開示します。

話し相手が同性の場合(same sex)、異性(opposite sex)のよりも、女性は自己開示しやすいこともわかります。

男性が相手の場合(male target)、女性は自己開示をあまりしなくなります。

他にも、Relationship to targetは、話し相手との関係を示している欄です。

話し相手が知らない相手(stranger)よりも、友達やパートナーや親の方が女性は自分のことを話す傾向があります。

まとめると、女性は、知らない男性には極端に自分のことを話さなくなります

逆に、女性が自分のことを話すようになってくれると、仲良くなった証拠かもしれません。

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②自己開示は心理学的に相手と親密な仲になれる究極のコミュニケーション法

自己開示は、単に自分のことを話すだけですが、自己開示するだけで、相手との距離が一気に縮まります

Laurenceau et al. (1998)は、実験参加者に、誰かと会話した後、自分がどれだけ自己開示できたか、どれくらい親密になれたのかを記録させました。

それを集めてきて分析した結果が以下の図です。

self-disclosure path

この図は、見てそのままですが、Self-Disclosureが自己開示。

Partner Disclosureが相手も自己開示したかどうか。

そして、Intimacyは親密度を表します。

自己開示から親密度にプラスの矢印が伸びています

つまり、自分のことを話すほどその会話で相手と仲良くなれたことを示しています。

さらに、Sprecher et al. (2012)は、実験参加者にSkypeで会話してもらい、自己開示の効果を確かめました。

すると以下のようになりました。

self-disclosure conversation

この図の1のみ注目してください。

縦軸のLikingは好感度。

Enjoymentは会話が楽しかったか。

Closenessは仲良くなれたかを示します。

横軸のInitial recipientは自己開示を受ける側。

Initial disclosureは自己開示する側です。

すると図より、自己開示を受ける側の人は自己開示する側の人よりも、相手への好感度も高く、会話も楽しいと判断し、仲良くなれたことが示されています。

つまり、自分のことを話しているのを聞いている方が、話している人への好感度が上がり、会話も楽しんでいて、仲良くなれたと思うのです。

自己開示は、話し手にも聞き手にも良いコミュニケーション術なのです。

自分のことを話すと聞き手である相手も心を開いてくれるかもしれません。

なんでもいいです。

失敗談でも、単なる身の上話でも。

自分のことを話すことで相手の好感度も上がります。

ただし、注意が必要なのが、聞き手の態度です(Laurenceau et al., 1998)。

self-disclosure path mediation

図のように、自己開示は親密度につながりますが、それは、聞き手の態度(Perceived Partner Responsiveness)が良い場合に限ります

聞き手は、傾聴の姿勢を忘れないことが会話を充実させることの必須条件です。

つまり、関係性としては、

自分のことを話す→聞き手が聞き上手→仲良くなる

という構造です。

確かに、聞き手の配慮も大事ですが、自分のことばかり話すのも問題です。

聞き上手の聞き手も傾聴しきれなくなり、会話は破綻してしまいます。

お互いがほどよく自分のことを話すことができれば、会話は最高に楽しくなります。

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③自己開示の様々な心理学的効果:差別感情と健康

自分のことを話す自己開示には、話し相手との距離を縮める効果以外に様々な効果が知られています。

例えば、昔の研究で、HIV患者さんが自分の病気のことを自己開示するとストレス度が下がったりする研究もあります。

ここでは、差別感情と健康について取り上げます。

A. 自己開示は、差別感情を緩和させる。

自分のことを話すと、自分以外のグループの人への差別感情が緩和されます(Turner et al., 2007)。

self-disclosure outgroup path

この図は、自己開示(self-disclosure)が、自分以外のグループの人をどう思うのか(explicit outgroup attitude)にプラスの影響を与えることを示しています。

どういう論理過程でそうなるのか?

一つ目は、上のEmpathyです。

つまり、共感性が高まります。

二つ目が、真中のImportance of contactです。

つまり、接触の重要性ですが、会話の重要性が増します。

三つ目が、下のIntergroup trustです。

つまり、グループ間の信頼関係が良くなります。

この三つの経路を介して、自分以外のグループの人を良い人たちだと認識するようになります。

つまり、

自分のことを話すと→お互い共感し、会話が充実し、グループ間の信頼が生まれ→差別感情が緩和され、他のグループの人も良い人たちだという認識が生まれる

こういう流れになります。

他のグループの人は知らない人です。

分からないという不可思議さが差別感情を生み出します。

だから、自己開示してお互いを知れば、「なぁーんだ。同じ人間じゃん」となるのです。

お互いをしるきっかけに自己開示はなります。

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B. 自己開示は、睡眠の質を向上させ人を健康にします。

最後に、自分のことを日頃話していると睡眠の質が向上するという研究があります(Kane et al., 2014)。

これは、研究結果を見てもらう方が早いです。

self-disclosure sleep

この図は、縦軸の指標がどのくらい横軸の指標に影響するのかを示しています。

アスタリスク*がついている指標が統計的に意味のある指標です。

重要なところだけをご紹介すると、Subjective sleep qualityが主観的な睡眠の質です。

WASOは、眠った後夜途中で起きるかどうかを示しています。

この二つの指標がself-disclosureと有意に関係しています。

主にWives妻の睡眠の質についてですが、主観的な睡眠の質と自己開示はプラスの関係にあり、自己開示するほど主観的な睡眠の質は向上します

また、自己開示とWASOとはマイナスの関係であり、自己開示するほど、途中で目を覚ますことが減ることが示されています。

どちらも、睡眠の質を向上することを顕著に示しています。

睡眠は、健康への大事な要素。

その睡眠が、自分のことを日頃他人に話すだけで改善されるのは、健康法としてとても簡単です。

自己開示すると、会話を楽しめてなおかつ健康にもなります。

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④まとめ

以上より、自己開示には多面的な効果が期待できます。

まとめると以下のようになります。

  • 自己開示は、女性で多く、話し相手や話し相手との関係性によって多さは異なる。
  • 自己開示は、仲良くなるための第一歩であり、会話相手との親密度が上がる。
  • 自己開示された相手は、自己開示する人よりも、相手への好感度が高く、会話を楽しいと感じ、より仲良くなったと感じる。
  • 自分のことを話すことの効果は、聞き手の傾聴いかんによって変わる。
  • 自己開示は、差別感情を緩和し、他グループの人間に好感を持つようになる。
  • 自己開示は、睡眠の質を向上させ、健康へとつながる。

自分のことを話すことは、最初は恥ずかしいかもしれません。

しかし、一度さらけ出してしまえば、自ずと相手と仲良くなれます。

自己開示は、健康にもつながります。

今のところ、心理学的には至れり尽くせりなコミュニケーション術だと思います。

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参考文献

Dindia & Allen (1992). Sex Differences in Self-Disclosure: A Meta-Analysis. Psychological Bulletin, 112(1), 106-124.

Kane et al. (2014). Daily Self-Disclosure and Sleep in Couples. Health Psychology, 33(8), 813-822.

Laurenceau et al. (1998). Intimacy as Interpersonal Process: The Importance of Self-Disclosure, Partner Disclosure, and Perceived Partner Responsiveness in Interpersonal Exchanges. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238-1251.

Sprecher et al. (2012). Effects of self-disclosure role on liking, closeness, and other impressions in get-acquainted interaction. Journal of Social and Personal Relatiohships, 30(4), 497-514.

Turner et al. (2007). Reducing Explicit and Implicit Outgroup Prejudice Via Direct and Extended Contact: The Mediating Role of Self-Disclosure and Intergroup Anxiety. Journal of Personality and Social Psychology, 93(3), 369-388.

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