tips of flexible control

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2022/8/12

柔軟に考え行動するための脳科学的秘訣とは?報酬とポジティブ感情。

・柔軟な頭になりたい。 ・凝り固まった狭い思考から抜け出したい。 ・社員の柔軟性はどうやって高められるか? 私たちの日常は意志決定の連続です。 お仕事では多くの決断を下しています。 そのため、何かを決める時は、いろんな側面から多面的に柔軟に考えられることが大切です。 しかし、そのような思考や行動の柔軟性はどうやって上げたらいいのでしょうか? 以前の記事では、柔軟な意志決定の際に知っておくと便利なことを脳科学の知見を基に話しました。 Theories:アカデミアをあたりまえに Academia for Al ...

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the counselling effect on depression

精神医学/Psychiatry 記事/Article

2022/7/26

カウンセリングはうつ病に効果があるのか?抗うつ薬と心理療法との比較

・カウンセリングは意味あるの? ・カウンセリングはそもそも心の病に有効なのか? ・抗うつ薬治療や心理療法と比べてどうなの? 人が心や対人関係で悩んだ時に利用するのがカウンセリングです。 カウンセリングは、話を聞いてもらって心の健康を回復させるイメージがある。 では、近年増え続けるうつ病にもカウンセリングは効果的なのでしょうか? 精神科に通って抗うつ薬治療をするものの、医師には薬の調整をしてもらうだけで長時間話を聞いてもらえない。 そんなうっぷんが溜まっている人も多いと思います。 それなら、カウンセリングで ...

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flexible decision making

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 精神医学/Psychiatry 記事/Article

2022/7/8

柔軟に意志決定をするのが苦手な理由:心理学と脳科学による疾患研究の見解

・ものごとを柔軟に考えたい。 ・いざという時に、思考が凝り固まってしまう。 ・正解や良い決定をするのが苦手 私たちは、日常生活でもお仕事でも、多くの意志決定をしています。 夜ご飯は何を食べようか? 明日の休みは何をしようか? という行動レベルの意志決定から、 どの選択が最も効率が良いのか? など長期的に影響する大切なことまで様々です。 しかし、意志決定に際しては多角的に柔軟にできないと今の世の中では生き残れなくなってきました。 それでも、別の選択肢を考慮して柔軟に意志決定をすることが苦手な方は多いのではな ...

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精神医学/Psychiatry 記事/Article

カウンセリングはうつ病に効果があるのか?抗うつ薬と心理療法との比較

・カウンセリングは意味あるの?

・カウンセリングはそもそも心の病に有効なのか?

・抗うつ薬治療や心理療法と比べてどうなの?

人が心や対人関係で悩んだ時に利用するのがカウンセリングです。

カウンセリングは、話を聞いてもらって心の健康を回復させるイメージがある。

では、近年増え続けるうつ病にもカウンセリングは効果的なのでしょうか?

精神科に通って抗うつ薬治療をするものの、医師には薬の調整をしてもらうだけで長時間話を聞いてもらえない。

そんなうっぷんが溜まっている人も多いと思います。

それなら、カウンセリングでもしうつ病にも効果があるのなら、話も聞いてもらえるし一石二鳥ですよね。

今回はそんなカウンセリングのうつ病への効果についてエビデンスを基に考えます。

本記事では以下のことがわかります。

1. そもそもカウンセリングはうつ病に効果的なのか?

2. カウンセリングは抗うつ薬治療と比べて有効なのか?

3. カウンセリングは他の心理療法と比べてどうなのか?

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①カウンセリングはうつ病患者のうつ病度合いを下げるのに効果的である。

そもそもカウンセリングを含めた心理的治療はうつ病に有効なのか?

多くの論文を集めて分析しなおし、その研究分野の方向性を探るメタ分析という手法を使って、心理的治療がうつ病に有効なのかを調べたのが、Cuijpers et al. (2006)である。

ちなみに、メタ分析の詳細は以下の記事に詳しく書いております。

合わせてお読みください。

彼らは高齢者のうつ病患者を対象にしています。

彼らの研究結果は以下の図の通りです。

the psychological treatment effect on depression

この図は、様々な研究報告の効果度をそれぞれ示しています。

■が右に行くほど効果的だということが示されています。

大事なのは、一番下のFixedの欄で、全体の効果度合いを総括している指標です。

すると、0.72くらいの数値ですが、これはまあまあ大きな効果がある数値です。

なので、心理的治療自体はうつ病に有効なのがわかります。

ちなみに、同研究で抗うつ薬治療と心理的治療との効果の違いも比較分析しています。

結果は、抗うつ薬治療と心理的治療とでは統計的な差があるとは言えず、同程度くらいうつ病度合いを下げる効果がありそうです。

しかし、心理的治療の中でも、カウンセリングや他の心理療法などを分析してみても、特に差は見られなかったという結果です。

要は、カウンセリングでもそれなりにうつ病度合いを下げるのに有効そうですが、過去の研究を調べるといくつか注意が必要そうです。

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②カウンセリングがうつ病に有効だとする知見への注意点

まず大切なのは、カウンセリングが抗うつ薬治療と比べて有効とされる条件です(Menchetti et al., 2014)。

それは…

1. うつ病の重症度が比較的軽度であること

2. 記憶や注意など他の認知機能に支障がきたしていないこと

3. 不安障害などの合併症がないこと

などです。

特に上記の条件に当てはまる場合で、抗うつ薬治療よりかはカウンセリングの方がうつ病度合いを下げるのに有効だとMenchetti et al. (2014)は主張しています。

研究によっては、もう少し条件が変わりますが、だいたいこれらのことが共通しています(Magnani et al., 2016)。

一方、カウンセリングと他の心理療法との比較はどうでしょうか?

特に日本でも保険点数化されている認知行動療法(CBT)という心理療法と比べた研究がPybis et al. (2017)です。

彼らの研究では、100以上のサイト(施設)で3万人以上ものデータを分析しています。

すると、カウンセリングは認知行動療法と同程度うつ病度合いを下げる効果があると示されています。

まとめると、確かに、抗うつ薬治療や認知行動療法と比べてカウンセリングはうつ病患者さんのうつ病度合いを下げる効果があるかもしれません。

しかし、カウンセリングによって「どれくらいのうつ病患者さんが治ったのか?」「うつ病が再発しないのか?」といって大切な指標はあまり過去の研究では扱われていない印象です。

なので、カウンセリングはうつ病度合いを下げるけれども、根本治療できるのかは疑問です。

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③まとめ

以上より、カウンセリングがうつ病に有効なのかを見てきました。

まとめると以下のようになります。

  • カウンセリングには一定程度うつ病患者のうつ度合いを下げる効果がある。
  • カウンセリングは抗うつ薬治療と同じくらい効果的である。
  • しかし、それにはいくつか条件があると思われる。
  • カウンセリングは認知行動療法という他の心理療法と同じくらい効果的だと思われる。
  • しかし、以上の知見は全てうつ病患者のうつ度合いを調べているだけで、根本的な治療になるのかどうかは謎のまま

今後、カウンセリングの長期的な研究が必要とされています。

これはカウンセリングの可能性でもありますが、純粋に生物学的医学的な問題であるうつ病にどれくらい効果的なのかはまだまだわからないことが多いです。

私のスタンスとしては、うつ病手前までのグレーゾーンであればカウンセリングでも構わないと思いますが、うつ病の診断が下れば精神科医に任せた方が良い気がします。

それくらい、カウンセリングのうつ病への効果のエビデンスはまだ弱いと思います。

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参考文献

Cuijpers et al. (2006). Psychological treatment of late-life depression: a meta-analysis of randomized controlled trials. International Journal of Geriatric Psychiatry, 21, 1139-1149.

Magnani et al. (2016). Treating Depression: What Patients Want; Findings From a Randomized Controlled Trial in Primary Care. Psychosomatics, 57, 616-623.

Menchetti et al. (2014). Moderators of remission with interpersonal counselling or drug treatment in primary care patients with depression: randomised controlled trial. The British Journal of Psychiatry, 204, 144-150.

Pybis et al. (2017). The comparative effectness and efficiency of cognitive behavior therapy and generic counselling in the treatment of depression: evidence from 2nd Uk National Audit of psychological therapies. BMC Psychiatry, 7: 215.

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