
・夫婦での喧嘩が絶えないけれど、子どもに影響はないかしら?
・夫婦の関係と親子の関係は別物なのか?
夫婦関係(家庭)が上手くいくと仕事が上手くいくのは何となくわかります。
実際に、それを示した心理学の研究もあります。
しかし、家庭内で夫婦の結婚生活が親子の関係や子どもにどのように影響するのかは知らない人が多いです。
心理学では、1990年代くらいの古くから、夫婦関係と親子関係の研究はされてきています。
今回は、夫婦関係が子どもに影響するのか?
そんな心理学のエビデンスを紹介します。
本記事では以下のことが学べます。

2. 夫婦関係は子どもの心理や精神に影響するのか?
3. 夫婦の結婚生活は親子関係にも影響するのか?
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①夫婦関係の良し悪しが子どもの心理や精神に悪影響する⁉ 比較的最近の心理学のエビデンス
夫婦関係が仕事にプラスにもマイナスにも影響するように、夫婦関係の良し悪しが子どもの心理や行動に影響を与えることは心理学では言われています。
それを示した比較的最近の研究が、Goldberg & Carlson(2014)の研究です。
彼らは、700名以上もの子どもとその両親を9年間の長い期間追跡調査しています。
まず、親である夫婦関係の良し悪しは、以下の5項目で測定されています。
1)自分のパートナーが自分をフェアに扱ってくれているか?それとも親身になってくれるか?
2))自分のパートナーが愛や感情を伝えてくれるか?
3))自分のパートナーが、いざとなった時、自分を鼓舞し、助けてくれるか?
4))自分のパートナーが、話し合うべき時に、自分の話を聞いてくれるか?
5))自分のパートナーが、自分が傷ついたことや喜んだことを本当に理解してくれるのか?
以上の5項目です。
この項目の点数が高いほど、夫婦関係はサポート的(支持的)と言われます。
これらの項目と、子どもが精神的・心理的に健康かどうかを9年間調査した結果が下記になります。
1. 夫婦関係が良好でサポート的な両親の子どもほど、不注意や多動・相手を殴るなどの行動が少ない。
2. 夫婦関係が良好でサポート的な両親の子どもほど、ネガティブ感情になりにくく、精神的に安定しやすい。
3. 以前の夫婦関係の良し悪しより、最近の夫婦関係の良し悪しの方が子どもの精神的・心理的健康に影響しやすい。
このように、夫婦間の結婚生活が、子どもの心理的・精神的な部分に影響するのです。
なお、サポート的な両親でないと、子どもの健康面は崩れやすいと考えられます。
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②夫婦関係が親子関係にまで影響する⁉ 衝撃の心理学のエビデンス
先ほどの研究は、子どもにどう影響するかでしたが、子どもと親の仲良さまで、夫婦関係は影響を及ぼす可能性があります。
それを示したのが、Kourosら(2014)の研究です。
彼らは、200組以上の平均13歳(小・中学生の)の子どもがいる夫婦に調査を行いました。
基本的には、父親と母親が別々に14日間(2週間)の日記をつけてもらう形です。
主な調査項目は以下の項目になっています。
【調査項目】
①全体的な関係性:両親が子どもとの情緒的関係性を評価
②うつ病傾向
③全体的な結婚生活満足度
④結婚生活での衝突:最近喧嘩や小競り合いをしたかを評価
⑤子育てスタイル:需要/関与(「問題があれば父親を頼る」など)・厳格/管理(「放課後も親は子どもの居場所を知っている」など)のそれぞれのバランスを評価。
すると結果は以下の図のようになりました。
この図では夫と妻を分けていますが、夫婦関係と親子関係はプラスの関係になっています。
つまり、夫婦関係が良ければ良いほど、親子関係も良い傾向にあるのです。
逆に、夫婦関係が悪ければ悪いほど、親子関係も悪くなるという悪循環も考えられます。
悪循環に陥らないためにも、夫婦関係は良好にしとく方が親子関係も上手く行きそうです。
なお、この研究は動画でも解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ下記のリンクをご覧ください。
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③まとめ
以上より、夫婦関係の子どもへの影響について見てきました。
まとめると以下のようになります。
- 夫婦関係が良好であれば、子どもは心理的・精神的に健康になりやすい。
- 夫婦仲の良し悪しは、過去の良し悪しよりも、今の良し悪しの方が子どもに影響しやすい。
- 夫婦関係が良好であるほど、親子関係まで良くなる可能性もある。
- けれども、逆に悪ければ悪くなることもあるので、子どもの成長・発達のために夫婦関係はお互い話し合って良好に保つ方が良さそう。
今の夫婦関係の方が過去の夫婦関係よりも、子どもの心理的・精神的影響が大きいですが、今の夫婦関係が将来にも影響しうることはGoldberg & Carlson(2014)の研究で示唆されています。
また、母親や父親の心理的・精神的傾向(うつ病傾向)によって、親子関係が変わる場合が、Kourosら(2014)によって示唆されています。
なので、夫婦関係は単に夫婦だけではなく、夫婦の仕事や子どもなど他にも影響を及ぼすのです。
夫婦ともに話し合えて良好に保てるのが一番です。
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参考文献
Goldberg & Carlson(2014). Parents' relationship quality and children's behavior in stable married and cohabiting families.Journal of Marriage and Family, 76(4), 762–777.
Kourosら(2014). Spillover between Marital Quality and Parent-child Relationship Quality: Parental Depressive Symptoms as Moderators. J Fam Psychol, 28(3), 315–325.
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