スポーツ心理学「朝練は必要なのか」

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2024/4/14

「朝練の効果にはエビデンスがある!?」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第二回目)

・睡眠を削ってまで朝練するほど効果があるのか? ・朝練が昼のパフォーマンスを上げるエビデンスがある? ・朝練の効果を示したエビデンスは信用できるのか? 学校の部活やスポーツクラブチームなどで、朝練をするところは多い。 早起きで眠たいのに、朝から練習しないといけないつらさがあります。 日中の練習に加えて朝にも練習ができるため、スポーツ技能やパフォーマンス・記録は伸びるはず...。 しかし、本当にそうなのでしょうか? そんなに朝練をガンバルことでスポーツパフォーマンスが伸びるなどというエビデンスがあるのか? ...

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スポーツ心理学「朝練は必要なのか」

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2024/4/7

「朝練とは何か?」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第一回目)

・睡眠を削ってまで朝練することはそんなに大事なのか? ・朝練によって昼のパフォーマンスは上がるのか? ・朝練と睡眠の関係を調べたエビデンスの紹介 学校の部活やスポーツクラブチームなどで、朝練をするところも多いと思います。 早起きして眠たいのに、朝から練習しないといけないつらさがあります。 しかし、日中の練習にさらに朝に練習できるため、スポーツ技能やパフォーマンス・記録は伸びるはず...。 本当にそうなのでしょうか? 今回は、スポーツ現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対 ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2024/3/28

先生との仲の良さが生徒の学校の成績や生活態度に影響する!?

・学校の先生と折り合いがつかない。 ・先生と仲良くして意味はあるのか? ・先生と生徒の関係は大事なのか? 学校の先生とよくケンカする生徒はいますが、逆に学校の先生と仲の良い生徒もいます。 肌間では、学校の先生とケンカする生徒は不良や勉強が苦手な子が多く、逆に先生と仲の良い生徒は勉強ができてお利巧な子が多い印象です。 そもそも学校の先生との関係性が子どもの発達に影響するのか? 実は、勉強成績だけではなく、多方面に影響します。 今回は、心理学の実際の研究をもとに、そんな学校の先生と生徒の関係性が生徒にどのよう ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

薬物はなぜやめられないのか?薬物・危険ドラッグ依存に関する脳科学

最近、危険薬物所持の疑いで芸能人が逮捕されるニュースが後を絶ちません。

「ドラッグは絶対に良くない!」

「危険薬物はやめろ!」

と言われても、どうしても手出してしまうのが薬物依存の患者さんです。

なぜ薬物をやめるのが難しいのでしょうか

今回は過去の脳科学の研究から薬物をやめられない人のメカニズムを考えます。

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①薬物中依存患者は脳の抑制機能が働かない

ごく当然のことからまずは確認します。

薬物依存患者とそうではない健常な方とでは、行動面で大きな違いが見られます。

それが、ある行動をやめようとする抑制機能が劣るという事実です。

Ersche et al.(2012)は、ある信号が出たときに継続中のタスクをストップするという抑制機能を測るテストを行い、薬物依存患者と健常な方とでは明確な違いが出ることを示しました。

それが下図になります。

この図は、ストップの信号が出てどれくらい経って実際にストップすることができたのかという反応の速さを測定しています。

図Aのように、薬物依存患者さん(右)は健常者(左)と比べてストップするまでの反応が遅いことが示されています。

つまり、抑制機能が衰えているということです。

注目すべきは、実は真中のsiblings(兄弟)で、薬物依存患者さんの兄弟も薬物に手を染めていなくても反応が遅くなることが示されています。

つまり、薬物依存が遺伝的にもかかわりうることを示しています。

この時の、薬物依存患者さんと健常者の脳の構造を見たのが、図Bになります。

黄色で示されているように、脳の前の方である前頭葉に関する脳部位で薬物依存患者さんと健常者との間に違いが見られます。

前頭葉は、抑制機能に関わる脳領域ですので、脳と薬物依存との関係が明確に示された研究といえるでしょう。

薬物依存患者さんと健常者との脳構造の違いは前頭葉だけではありません。

下図のように、主に三つの領域も関わっています。

左側は、感情に関する偏桃体(amygdala)の部分。

真中は、報酬系の主要部である被殻(putamen)

そして、右側が、感情や記憶に関わる脳領域です。

これらの領域で薬物依存患者さんは健常者と構造が異なります。

これから見ていきますが、特に、報酬系と薬物とは関連性が強く、報酬系の脳構造が健常者と異なるということが示されたのは大きなことだと思われます。

他方、先ほどの前頭葉の研究を裏付けるのが、Chase et al. (2011)の研究です。

このブログで何度も登場しているメタ分析を行って、薬物依存患者さんが薬物刺激を提示されたときの脳活動を特定しました。

それが下図です。

少し見えにくいですが、図の右側の方が脳の前の部分です。

赤く光っていることがわかります。

つまり、薬物刺激に対して前頭葉の活動が異常に活動していることが示されています。

この研究は、先ほどの前頭葉の構造の異常と整合的ですね。

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②薬物は報酬系に関係する

では、危険薬物やドラッグがどのように脳に作用するのでしょうか?

それらを示した研究をご紹介します。

これからご紹介する研究は、マウスを使った研究になります。

一見、「マウスの研究が人間に当てはなるのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、薬物の研究では、倫理的に人間を調べることは難しいです。

それこそ、先ほどご紹介しましたように、薬物依存になった人の脳の状態をみることでしか研究するすべがないのです。

薬物を投与してどういう影響があるのかというのを見る場合人間にはできません。

なので、動物の研究が重要なのです。

特に、薬物依存の研究の場合、マウスでも人間と似たような行動を取ります

例えば、コカインを与える研究なんかでは、薬物依存患者のような行動をマウスも示します。

なので、薬物依存の動物研究は、人間にも当てはまる可能性が高いのです。

薬物が前頭葉や偏桃体、そして被殻などの報酬系に影響を与えるというのを先ほど見てきました。

しかし、実際に薬物が作用するときに重要となってくる領域が報酬系だと特定したのが、Fuchs et al.(2006)です。

この図の右側の欄を見てください。

この図は、縦の軸がコカインを求めるレバー押しの回数を示しており傍グラフが抑制する脳領域を表しています。黒の棒グラフが、報酬系。縞々の棒グラフが偏桃体。ねずみ色の棒グラフが前頭葉です。

それぞれの活動を抑制したときにどれくらいコカインを求めるのかを見ています。

すると、黒のグラフである報酬系の領域を抑制した時に、レバー押しの回数が減ることがわかります

つまり、ここが働かなくなればコカインを求める行動もしなくなるのであり、報酬系の活動が薬物依存に大きく関係しているとを示しています。

最後に、一言、報酬系の中でも、特にドーパミンに関わる神経細胞が薬物依存のメカニズムの主軸にあるみたいです(Ciccocioppo et al., 2001)。

現在の研究では、ここまでは確実に分かっていることです。

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③まとめ

以上より、薬物依存患者さんの研究と動物研究から、薬物依存には報酬系、特にドーパミン系の神経細胞が関わっていることが示されました。

他にも、薬物は前頭葉偏桃体など報酬系以外の脳部位に悪影響を与えることも判明しました。

ドラッグをやめたくても、報酬系を活動させるのでどうしてもやめられない。

さらに、抑制機能も衰えているので、余計にストップできない。

そんな状態が薬物患者さんの心理になります。

薬物や危険ドラッグは脳に大きな影響を与えます。

その影響は一生涯付きまといます。

なので、危険薬物は絶対にやるべきではありません。

そして、薬物依存のメカニズムから、間違って薬物に手を染めてしまった方へのよりよい治療法が生まれます。

その意味では、今後の研究に期待です。

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参考文献

Ciccocioppo et al. (2001). Cocain-predictive stimulus induces drug-seeking behavior and neural activation in limbic brain regions after multiple months of abstinence: Reversal by D1 antagonists. Journal of Neuroscience, 98(4), 1976-1981.

Chase et al. (2011). The Nerual Basis of Drug Stimulus Processing and Craving: An Activation Likelihood Estimation Meta-Analysis. Biological Psychiatry, 70(8), 785-793.

Ersche et al. (2012). Abnormal Brain Structure Implicated in Stimulant Drug Addiction. Science, 335, 601-604.

Fuchs et al. (2006). Different Neural Substrates Mediate Cocaine Seeking after Abstinence versus Extinction Training: A Critical Role for the Dorsolateral Caudate-Putamen. Journal of Neuroscience, 26(13), 3584-3588.

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