母親の話しかけの効果とと子どもの語彙力

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2024/11/21

母親が話しかける時に一工夫するだけで赤ちゃんの語彙力が上がる(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第二十四回目)

・母親は赤ちゃんが満足に話せなくても話しかけることが大事! ・親の語りかけを一工夫するだけで語彙力向上につながるかも。 ・保育士も実践している語り掛けの例を紹介! 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「赤ちゃんの言葉の語彙力」です。 赤ちゃんの語彙力の心理学シリーズの第二弾として「お母さんの語りかけの効果」を心理学のエビデンスをもとに、赤ちゃ ...

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試合前に緊張や不安であがるのはなぜか。あがり現象の対処編

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2024/11/17

運動指導者が教える「選手のルーティンの作り方と使い方」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第二十九回目)

・ルーティンは、ルーティンを作ることを目的化せず、促す感じで作る。 ・ルーティンはコーチや監督に見られている中でも普段の練習でもする! ・「他人に見られている意識」を持つことが、スポーツ選手として強くなる秘訣の一つ! 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 今回のトピックは、「試合前に『あがる』のはなぜ?心理学を応用した対処編」 日常で経験する、緊張や不安で「あが ...

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dark triad workplace eyechatch

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2024/11/15

仕事ができないのに職場クラッシャーの性格「ダークトライアド」の心理学

・心理学的に採用してはいけない性格の人とは? ・経営者はサイコパスが多い。 ・サイコパスとかは仕事ができるのか? 経営者や人事の方のお悩みの一つが、「採用してはいけない人を決めること」です。 でも、たった一時間の面接で、その人の仕事能力や生産性、職場での態度などわかるはずもありません。 しかし、心理学では、そんな採用してはいけない性格の人をある程度特定しています。 それが、ダークトライアドと呼ばれる三つの性格傾向の人です。 ダークトライアドとは、サイコパス・ナルシスト(ナルシシズム)・マキャベリズムの三つ ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

コミュニケーション(話し言葉の理解としゃべるとき)の脳科学:聞き違いの元は協力不足

・他人の話を理解するのに苦労します。

・他人と上手くしゃべられないです。

・コミュニケーションが苦手(コミュ障)です。

人間はコミュニケーションをしないと生きていけないです。

全くしゃべらずに社会生活を過ごすのはほぼ無理といっても過言ではありません。

しかし、相手の話を聞いてしゃべることはかなり高度な能力です。

それゆえ、コミュニケーションが苦手な方が多い。

日本では、「コミュ障」なんて俗語も流行っている。

そこで今回は、脳科学の視点から円滑なコミュニケーションを行う秘訣を考えます。

特に、相手の話を理解する研究としゃべる時の脳活動に焦点を当てて、知見をご紹介します。

本記事では以下のことが学べます。

・言語は左脳だけではなく、右脳も必要

・相手の話を理解する時としゃべる時の脳内メカニズム

・コミュニケーションの成立には、話し手と聞き手の脳の同期が重要

・相手の話を理解するには準備が必要

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①言語脳は左脳だけではない。左脳と右脳の交流が相手の話の理解には不可欠。

相手の話を聞く時のしゃべる時にも共通しているのが言語です。

基本的には言語の処理には左脳が優位です。

それゆえ、巷では「言語脳」とも呼ばれています。

確かに、左脳が優位ですが、右脳を全く使っていないというとそうではありません

それを示したのが、Friedrici et al. (2007)です。

彼らは、ストレス等で右脳と左脳の情報を交換する領域である脳梁という部分を損傷した患者さんと健常者とを比べて、話の理解に差が生じるかを調べました。

corpus callosum brain

この図は、赤く光っている部分が損傷個所である脳梁です。

脳梁は中段の図の白い部分全体を指します。

かなり広い脳領域です。

彼らの研究では、脳梁の部分でも、前の方を損傷した方(図の左側)と後ろの方を損傷した方(右側の図)とで比べて損傷個所の違いも考慮しています。

脳波の研究を行い、文章の理解を調べた結果が以下の図です。

speech comprehension EEG

この図のAが健常者。

Bが脳梁の前の部分を損傷した患者さん。

Cは脳梁の後ろの部分を損傷した患者さんの脳活動です。

重要なのは、図ので示されている部位の脳活動で、N400という成分です。

このN400は、言葉の文章・文脈・意味に関係する成分です。

この成分が出ているほど、話し言葉の理解ができていることを示します。

すると、健常者と脳梁の前の方を損傷した患者さんでは、N400の成分が見られるのに、脳梁の後ろの方の部分を損傷した患者さんでは見られませんでした。

さらに、健常者に対して脳梁の前の方を損傷した患者さんを比べると、後者の方がN400成分の活動が低いことが分かります。

つまり、右脳と左脳の交流部位を損傷すると相手の話の理解に影響するということです。

実際に行動指標でも言葉の理解に差があることが示されていますので、言語の理解は左脳だけで成立するわけではないことがわかります。

過去の脳活動の研究でも、左脳が優位ですが右脳の活動が見られないわけではありません。

しかし、ここまで明確に左脳と右脳の両方が話し言葉の理解に大事だと示したのは珍しいです。

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②話し言葉の理解としゃべる時の脳内メカニズム

左脳と右脳の両方が大事だと分かったところで、次は話し言葉を理解しているときとしゃべっているときに脳内でどのようなことが生じているのかを見ていきます。

話し言葉の理解としゃべっている時の脳活動は共通している。

Awad et al. (2007)は、話を聞いているときとしゃべっているときとで同じ領域の活動が見られることを示しました。

両者の脳活動を示したのが以下の図です。

speech comprehension and production brain

図の左側が、話し言葉を理解しているときの脳活動。

図の右側が、しゃべっているときの脳活動です。

まず、話を理解しているときの脳活動を見ますと、

上の図の1と2と3の領域が重要だとわかります。

下の図は見方を変えただけです。

1は側頭葉を示し、「他人の話をちゃんと聞くための心理学と脳科学:話の処理の脳活動と聴覚と視覚」でもご紹介した話を聞いているときに重要な脳領域です。

2は側頭葉-頭頂葉の間の領域で、「錯覚の脳科学:錯視の脳内メカニズムと原因と意味を解明!」でもご紹介した情報の統合領域です。

3は前頭葉の領域で、ワーキングメモリや言語や抑制機能など様々な能力に必要な領域です。

すると、相手の話を理解している場合には、聞くための側頭葉と、言葉のストックと相手の話を合致させて統合する側頭葉-頭頂葉の間の両機の活動がより重要になりそうです。

次に、右側のしゃべっている時の脳活動です。

多くの領域の活動が見られますが、重要なのは、同じく1と2と3の領域です。

これらは、先ほど話を理解している時に活動する脳領域と同様の領域です。

つまり、話を理解しているときとしゃべっているときとではある程度脳領域が共通しているのです。

他に重要なのは、6の領域で、前頭葉でも少し後ろの方になります。

この領域はしゃべるときに重要な脳領域として有名です。

この領域が損傷することで、言葉は理解できるけれども上手くしゃべられなくなる失語症が生じることが報告されています。

他の領域は、実は運動に関係する領域が多いです。

5や4の領域はいわゆる運動野と呼ばれる領域です。

こうして見てみると、話し言葉を理解する時としゃべっている時では、運動野以外結構共通しています。

speech comprehension and production brain temporal parietal

この図は、両者の共通領域の活動を示します。

聞いて理解することにもしゃべるときにも重要な領域です。

上の図が、側頭葉。

下の図が、側頭葉-頭頂葉の間の領域です。

縦軸は活動量の高さ。

横軸は実験条件を示しています。

グレーが左脳側で白が右脳側です。

左端の条件が、話し言葉を理解している条件。

左から二番目が、しゃべっている条件です。

いずれの脳領域でも条件でも他の条件に比べて活動が高くなっています。

右脳の方が若干活動量が低いですが、それでも左脳と同様のパターンを示しています。

この研究からでも、左脳と右脳の両方が大事であることがわかります。

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コミュニケーションは、話している人と聞いている人の脳の同期活動が重要

話し言葉の理解としゃべっている時の脳活動について見てきましたが、会話はしゃべるのと聞くの両方の役割を行います。

そのため、コミュニケーションの成立にはしゃべる人と聞く人の両方の協力が不可欠。

このコミュニケーションが成立しているときの脳活動を調べたのが、Stephens et al. (2010)です。

彼らは、しゃべっている時の脳活動を調べ、さらにそのしゃべってもらった内容を他の実験参加者に聞かせて理解できているかどうかを調べました。

その時に、話の内容を理解できている時の脳活動としゃべっている人の脳活動の関係性について調べています。

結論から言いますと、話し手と聞き手の脳活動が一緒のパターンを示す同期活動が重要だということです。

それを脳領域ごとに表したのが以下の図です。

speech comprehension and production brain synchronization

図Aは、話し手の脳活動と聞き手の脳活動が同期している領域を示しています。

この図から、側頭葉(STG)側頭葉-頭頂葉の間(TPJ)前頭葉(dlPFC)の領域が光っていることがわかります。

つまり、先ほどご紹介した、話し言葉の理解としゃべっている時に共通する脳領域が重要で、かつ、コミュニケーションが成立しているときはそれらの領域が話し手と聞き手とで同期活動していることが重要です。

図Bは無視で結構です。

speech comprehension and production brain synchronization precedes

この図は、しゃべる前の数秒と聞く前の数秒での脳活動を示します。

つまり、「今からしゃべるぞ」「今から聞くぞ」という準備期間です。

図Aは、しゃべるときの全体の脳活動と聞いて理解しているときの全体の脳活動を示しています。

図の縦軸は同期活動の高さ。

横軸は0秒が話し言葉が始まったタイミングです。しゃべりだしたタイミングです。

マイナスが話し言葉を発する前で、プラスが話し言葉を理解している時です。

赤が、話し手と聞き手の同期活動。

青が、聞き手と聞き手の同期活動です。

図Aより、話が始まる前から赤でも青でも同期活動が上がっていて、話が始まり、話が終わる時間になるにつれて同期活動が弱まっていくことが分かります。

つまり、コミュニケーションの成立には、話し言葉が発する前の準備期間も重要だということです。

この準備期間の同期活動を示した脳領域が図Bと図Cです。

図Bは、話し手と聞き手の同期活動

図Cは、聞き手と聞き手の同期活動を示します。

色はあまり気にしなくても大丈夫です。

この両方の図から、側頭葉・側頭葉-頭頂葉の間・前頭葉の三つの領域が大事だと分かります。

コミュニケーションの成立には、準備期間とコミュニケーション中の両方の同期活動が重要です。

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③まとめ

以上から、コミュニケーションの脳科学について見てきました。

まとめると以下のようになります。

        • 話し言葉の理解には左脳と右脳の交流が不可欠
        • 話し言葉の理解としゃべるときの脳領域は共通している。
        • 特に、側頭葉・側頭葉-頭頂葉の間・前頭葉がコミュニケーションには重要
        • しゃべるときは、運動野なども関わる。
        • コミュニケーションの成立には、話し手と聞き手の脳活動が同期することが重要。
        • 話し手も聞き手も、コミュニケーションを成立させるためには準備期間から同期していることが必要であり、お互いの協力が不可欠。

コミュニケーションの研究はまだ尾がついたばかりです。

なので、研究もかなり少ないです。

そして、研究方法の弱点も多く、なかなか進みません。

それでも、優れた研究を今回はご紹介しました。

コミュニケーションで重要なのは、結局のところ話し手と聞き手の協力です。

お互いの配慮なくしてはコミュニケーションが成立しません。

コミュニケーションが苦手な方(コミュ障)は、「一生懸命しゃべらないと」と考えるより、「協力する」と心構えた方がコミュニケーションは上手くいきやすいのではないでしょうか?

本記事が、コミュニケーションンに悩まれる方の一助になれば幸いです。

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参考文献

Awad et al. (2007). A Common System for the Comprehension and Production of Narrative Speech. Journal of Neuroscience, 27(43), 11455-11464.

Friederici et al. (2007). Role of the Corpus Callosum in Speech Comprehension: Interfacing Syntax and Prosody. Neuron, 53, 135-145.

Stephens et al. (2010). Speaker-Listener neural coupling underlies successful communication. PNAS, 107(32), 14425-14430.

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