心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

もうあくびが出ない!心理学的に相手に伝わる話し方4つのコツ

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・なかなか自分の話が相手に伝わらない。

・なんかみんな納得していない。

・間違って言葉が伝わってしまう。

言葉を伝えることはコミュニケーションの基本であり、最も難しいこと。

皆何かしら言葉を伝えることに苦労している。

そこで、今回は心理学の研究を参考に、どのようにしたら上手く言葉が相手に伝わるのかについて考えます。

本記事では以下のことについて学べます。

1. 言葉を上手く誤解なく伝える方法

2. 相手の言葉を誤りなく聞く方法

3. 言葉を聞くときどのように人間は処理しているのか

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①言葉から連想されるイメージを具体的にすると伝わりやすい

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まずご紹介したいのが、言葉のイメージについてです。

このイメージとは、例えば、「卵」という言葉を聞いてどのような映像を思い浮かべるかということ。

一言で「卵」と言っても、ゆで卵のように殻に入った状態や目玉焼きのように広がった状態など、状況や場所などによってイメージが異なります。

このイメージを明確にした方がいいと主張しているのが、Zwaan et al. (2002)です。

彼らは、実験参加者に文章を読んでもらって、後に提示された絵と文章の内容が合っているのかを判断させました。

例えば、「ある女の子が空を飛ぶタカを見つけました」という文を読んで、羽を広げているタカの絵を見せられます。

この場合、文と合っているので「合っている」と答えます。

反対に、同じ文書を読んで、羽をたたんでいるタカの絵を見せられた時は、文章と合ってないので、「合ってない」と答えます。

この課題をさせた時の反応の速さを測定しています。

実験結果が下図になります。

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この図のMatchが文章と絵が合っている時。

Mismatchが文章と絵が合っていない時です。

両者のReaction time(反応時間)の欄を見ると、Matchの方が反応が早いことがわかります。

この研究から、文章や他人の言葉から想像するイメージが文章内容と合っている方が理解もしやすいということが分かります。

教訓としては、できるだけ同じ物でも状態がはっきりわかるように話すと相手も理解しやすいということ。

例えば、お料理するときに「卵を用意します」ではなく、「割った状態の卵を用意します」の方が聞き手にもやさしいということです。

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②物事の時系列に沿って起こりえそうなことを順に言うと伝わりやすい

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次の研究は、物事の説明の仕方についてです。

例えば、ある事件や面白かったテレビ番組などを友達に説明するときに、どのように伝えればより理解してくれるのでしょうか?

それを調べたのが、van der Meer et al. (2002)です。

物事を説明する時には順序があります。

例えば、「噛む」→「咀嚼する」という順で説明する場合(chronological)の方が、「消化する」→「飲み込む」という順で説明する場合(reverse)より理解しやすいです。

このように物事の時系列と伝わりやすさについてvan der Meer et al. (2002)は研究しました。

実験参加者に、前情報が与えられて、次にターゲットとなる単語が提示されます。

その時に、ターゲット語が前情報と適合的か(合っているか)どうかを判断させました。

こちらも判断する早さを見ています。

実験結果は以下のようになりました。

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注目すべき点は、白い棒とねずみ色の棒です。

白が時系列の順番通り(chronological)で、ねずみ色が時系列と逆の順番(reverse)で提示しています。

この図のように、物事が起こる時系列通りに情報が与えられたときの方が反応が早くなります。

時系列に沿った説明の方が伝わりやすいということ。

このことを応用すると、例えば物語のように流れがスムーズな説明は聞き手が理解しやすいのです。

逆に、急に過去の回想とかが入って時系列が乱れる物語があまり好まれない理由がこの研究からわかります。

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③真似をすると言葉の理解力は上がる

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次は、ある話を聞いたときにどのようにすれば理解力が上がるのかを調べた研究です。少し話は逸れます。

Adank et al. (2010)は、ある言葉の母音が全く異なる言葉を聞かせた時に、どのようにすれば理解が促進するのかを確かめました。

考えた理解方法は6つあります。

1) Baseline: 特に何もしないグループ

2) Listening: 話し手が何を話しているのかを予想しながら聞くグループ

3) Repeating: 話し手の真似をするのではなく、話された言葉を正常の母音に直してもう一度話を繰り返すグループ

4) Transcription: 聞いたとおりに筆記するグループ

5) Imitation: 話し手が話したことを一言一句違わず繰り返すグループ

6) Imitation plus noise: 5)と同様だが話を聞いている時にノイズが入るグループ

この6つの方法を試しました。

実験結果は以下のようになりました。

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この図は、これらの方法を試す前(Pretest)と試した後(Posttest)とのパフォーマンスの良さを比べています。

数字が低くなるほど成績が良いことを示しています。

アスタリスクがついているところが、前と後とで統計的に意味のある差があったところ。

すると、この図より、ImitationImitation plus noiseの方法が成績が良くなっていることがわかります。

この研究結果より、ある人の話を理解するには、その人の話した内容を一言一句そのまま真似するのが効果的だというのがわかりました。

実際の日常生活で、他人の話をそっくりそのまま繰り返すのは変です。

なので、例えば、英語やドイツ語など新しい言語を学習する時とか録音した講義などを聞くときに使える手段だと思います。

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④言葉の理解の仕方の違いを利用して言葉を上手く伝える

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最後に、脳科学の研究から言葉の理解の仕方の違いを見てみます。

そうすることで、その違いに自分で臨機応変に対応して話せば、相手に自分の言葉が伝わりやすくなります。

「一般的知識と言葉の意味とでは脳の処理が異なる。」

このことを示したのが、Hagoort et al. (2004)です。

彼らは、「オランダの電車の色は黄色」という一般的知識を利用した研究を行いました。

具体的には、

「オランダの電車の色は黄色」(一般的知識も意味も正解)

「オランダの電車の色は白」(一般的知識と異なる)

「オランダの電車の色はすっぱい」(意味的に異なる)

これらのような三種類の言葉を聞かせて、脳活動の違いを見ました。

すると以下のようになりました。

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上は、一般的知識でも意味的にも正解の場合の脳活動。

真中は、一般的知識が異なる場合の脳活動。

下は、意味的に異なる場合の脳活動です。

すると、□で囲まれた部分の活動がそれぞれ異なることが図からわかります。

つまり、一般的知識と言葉の意味とでは異なる処理を脳内で行っているのです。

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「文脈的に次に来そうな単語とそうではない単語とでは脳の処理は異なる。」

最後に、このことを示した研究をご紹介します。

Delong et al. (2005)は、実験参加者に、「その日は風が強かった。だから男の子は外に出て〇〇を飛ばしました」という文章を聞かせ、〇〇の中にどのような単語が入ると文章が整合的かを判断させました。

例えば、

「その日は風が強かった。だから男の子は外に出て凧を飛ばしました」

「その日は風が強かった。だから男の子は外に出て飛行機を飛ばしました」

の二つの言葉の違いをを見ました。

「凧(たこ)」の場合、文脈的に来そうな単語です。

一方、飛行機は、ありえないわけではないですが、文脈的に来そうにない単語です。

実験結果は以下のようになりました。

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この図の右側のように、kite(凧)airplane(飛行機)とでは脳活動が異なります。

この研究結果より、我々は言葉を聞いている時に、文脈から次に来そうな単語を予想して聞いていることがわかります。

この予想とズレると聞き手にとっては理解しづらくなり困ります。

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⑤まとめ

以上が、言葉を上手く伝える時に注意しておいた方がいいことです。

まとめると以下のようになります。

  • 抽象的な言葉のイメージを具体的に明確にして話す。
  • 物事や事件の時系列に沿って伝える。
  • 話を理解する時は話を一言一句真似するといい。(余談)
  • 一般的な知識と言葉の意味とでは脳内処理が異なる。
  • 聞き手は、文脈的に次に来そうな単語を予想して言葉を聞いている。

言葉を間違って伝えるとトラブルの原因になります。

なので、これらのことを踏まえて言葉を伝えれば問題を減らすことができます。

コミュニケーションに悩む方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。

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参考文献

Adank et al. (2010). Imitation Improves Language Comprehension. Psychological Science, 21(12), 1903-1909.

Delong et al. (2005). Probabilistic word pre-activation during language comprehension inferred from electric brain activity. Nature Neuroscience, 8(8), 1117-1121.

Hagoort et al. (2004). Integration of World Meaning and World Knowledge in Language Comprehension. Science, 304, 438-441.

van der Meer et al. (2002). Temporal Order Relations in Language Comprehension. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 28(4), 770-779.

Zwaan et al. (2002). LANGUAGE COMPREHENDERS MENTALLY  REPRESENT THE SHAPES OF OBJECTS. Psychological Science, 13(2), 168-171.

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