・私の生活習慣は規則正しいのかすぐに見分けられないだろうか?
・お金や時間がかかる検査や痛い方法は嫌だな……。
近年、科学の進歩によって、唾液や尿検査で身体の健康状態が分かるようになってきました。
例えば、採取したDNAの遺伝情報をもとに、、将来なりやすい病気などもだんだん分かるようになっています。
しかし、唾液でも尿でも血液でも検査するには採取する必要があり、時には痛みを伴いますし、特定の医療機関に行かないとできません。
また、検査結果が出るまでに時間もかかります。
では、もっと簡単で比較的すぐに結果が出て、面倒ではなく痛くない方法はないのか?
それれが、髪の毛です!
最近の心理学の研究では、髪の毛を分析してストレスなどの心理状態が分かることを示した研究が出てきています。
その中でも、今回は精神疾患と睡眠に代表される生活習慣に焦点を当てた研究を紹介します。
髪の毛で結構いろんなことがわかりますので、これからの検査の主流になるかもしれません。
また、今後の研究しだいですが、髪の毛の状態が悪い原因がもしかしたら心理状態などと関係するかもしれませんね。
本記事では以下のことが学べます。

2. 髪の毛で子どもが精神疾患になりやすいかがわかる?
3. 髪の毛で朝方・夜型などの睡眠の傾向がわかる?
スポンサーリンク
①髪の毛で子どもの精神状態と精神疾患になりやすいことがわかるかも!
子どもを検査する時に、一番難しいのが、検査を嫌がることです。
例えば、血液検査の注射で、子どもがわめいてなかなか検査できないエピソードはよく聞きます。
では、もっと簡単に子どもの精神状態がわかるものはないのか?
それを示したのが、Littlerら(2025)の研究です。
彼らはカナダの2歳~16歳までの子どもの髪の毛を採取し、頭皮から3cmくらいまでの髪の毛に含まれるコルチゾール値を四年間調べました。
コルチゾール値は、ストレスの指標になる代表格です。
すると、コルチゾール値の時間的な変化によって3タイプに分けられることを示しました。
それが以下の図です。

縦軸はコルチゾール値の多さで、上に行くほど多いことを意味します。
横軸は一年ごとの時間経過を示します。
すると、最初から高くずっと高い値を維持する赤色の高コルチゾール群・最初から低い値で赤色よりは低く維持されてい緑色の低コルチゾール群・最初は高い値で急に低くなる青色の波群の三つが見て取れます。
では、この3タイプが何に関係するのでしょうか?
実は、精神疾患の罹患と関係するのです。
それを示したのが以下の図です。

上の図Aは、縦軸が、うつ病・不安障害・社会恐怖症などを合わせた内的な精神疾患の症状をどれくらい示しているかを表しています。
上に行くほど症状が多く深刻な状態です。
下の図Bは、縦軸が、ADHD・行為障害などの行動に現れる外的な精神疾患の症状をどれくらい示しているかを表しています。
同様に上に行くほど症状が多く深刻な状態です。
すると、赤の高コルチゾール群はと緑の低コルチゾール群は統計学的に有意な差はなく、内的でも外的でも精神疾患の症状を示すことが多いです。
一方、青の波群のみ、高コルチゾール群より統計学的に有意に低いことが示されており、精神疾患の症状を示すことが少ないです。
このように、髪の毛を採取するだけでストレスの指標であるコルチゾール値が分かり、タイプや傾向から精神疾患に罹る可能性が示唆されています。
血液検査や尿検査よりもよっぽど簡単で、検査時の負担も少ないですよね。
スポンサーリンク
②髪の毛で睡眠習慣がわかるかも!
実は、髪の毛の研究はコルチゾール値だけではありません。
大人の遺伝子検査などを通して、朝型・夜型などの睡眠傾向(クロノタイプ)も分かるかもしれないとMaierら(2026)は示しました。
彼らは、髪の毛を複数採取し、DNA検査をかけることで、睡眠習慣に関わる遺伝子群を特定しました。
複数の遺伝子群の組み合わせによって、睡眠習慣が分かるかもしれないと示したのです。
その結果が下記の図です。

これは男性(左側の青)と女性(右側の赤)で、朝型か夜型の傾向を調べています。
縦軸は上に行くほど夜型であることを示します。
下に行くほど朝方です。
一般的に男性ほど夜型が多いとされていますが、男性の方が女性よりも統計学的に有意に値が高く、夜型である可能性を示しています。
髪の毛のDNAの組み合わせを調べることで、睡眠習慣やどんな睡眠が合っているのかがわかります。
また、下記の図は平日と休日で睡眠傾向が変動することも示されています。

図Aは、仕事をしている人(左側の青)としていない人(右側のオレンジ)の差を見ています。
一般的に仕事をしている人ほど規定時間がありますから、朝型になり、縦軸の数値は下がります。
図Aから仕事をしている人の方がしていない人よりも統計学的に有意に下がっていて、朝型傾向なのがわかります。
図Bは、平日(左側の青)と休日(右側のオレンジ)を表していて、休日の方が統計学的に有意に高い数値を示しています。
つまり、次の日が休日の場合は夜更かしして夜型傾向になることを示しています。
図Cは、働いている日が長いほど右肩下がりで朝型傾向になっていることを示します。
これらの結果も、過去の研究や日常の生活感覚と合致しており、髪の毛を分析することでその人の睡眠傾向がわかるかもしれません。
スポンサーリンク
③まとめ
以上より、髪の毛と心理状態との関係性の研究を紹介しました。
まとめると以下のようになります。
- 髪の毛で、子どものストレス度合いがわかるかもしれない。
- 髪の毛で、子どもの精神疾患に罹患しているかがわかるかもしれない。
- 髪の毛で、睡眠などの傾向と日常習慣がわかるかもしれない。
髪の毛は論文にも書いてありましたが、身近で簡単に採取できて、痛みもなく、負担が少ないです。
なので、これからの研究が進めば、髪の毛の検査が主流になるかもしれません。
髪の毛でしかわからない病気や疾患の特定などができると、一気に広まるかもしれませんね。
逆に、髪の毛の不調は、何か病気のサインである可能性も今後の研究しだいでわかるかもしれません。
今後の研究が楽しみな分野です。
スポンサーリンク
参考文献
B. Maier,L.K. Pilz,S. Özcakir,A. Rahjouei,A.N. Abdo,J. de Zeeuw,D. Kunz, & A. Kramer. (2026). HairTime: A noninvasive assay for estimating circadian phase from a single hair sample, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (13) e2514928123.
Littler EAL, Butt ZA, Gonzalez A, Ferro MA.(2025). Association Between Hair Cortisol and Psychopathology in Children With a Chronic Physical Illness. Stress Health, 41(4), e70087.
スポンサーリンク