attention maintenance

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2023/5/18

集中力が続かない人の脳科学

・勉強で集中力が続かない。 ・周りがうるさいと集中できないタイプの大人です。 ・どのような対策をすれば集中力が続くのか? 仕事でも勉強でも集中力が続くかどうかは成績に大きく影響します。 時間を忘れるほど没頭できる集中力の持ち主を筆者もうらやましく思います。 周りの音をものともしない天才が出てくる映画や漫画の主人公に憧れますよね。 集中力が続かず、仕事や勉強が進まずに悩まれる方も多いはずです。 では、なぜ集中力が切れるのでしょうか? 今回はそんな集中力が続かなくなる脳のメカニズムを実際の研究をもとに紹介しま ...

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attention brain

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2023/4/25

集中力が高い人は何が違うのか?集中力が続かない原因の脳科学

・集中力が続かないのはなぜ? ・周りの音やノイズによって集中力が切れる。 ・集中力を高める方法はあるのか? 個人的に、心理学をしていて他人に質問される上位が集中力に関するものです。 勉強やお仕事だけではなく、趣味への没頭や他人の話に集中できるかなど仕事とプライベートに関わります。 物事に集中できるかどうかは人生の幸福度に関わると言っても過言ではありません。 そのため、どのようにして集中力を高めたり維持したりするのかは大きな課題です。 今回は、集中力が優れている人を対象にした脳科学の研究から、集中力が高い人 ...

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overgeneralization of fear and anxiety eye

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 精神医学/Psychiatry 記事/Article

2023/4/13

不安や恐怖の対象が広がって一般化する脳のメカニズム

・一回不安になるとどんなことも不安になる。 ・怖いと感じたらどんどん怖いものが増えていく。 ・なんで不安や恐怖は一般化していくのか? 大事な試合やプレゼン前で、失敗の不安や恐怖に駆られて眠れなくなることはよくあります。 その時、普段不安に感じないことでも不安になったりしませんか? あるいは、ホラー映画を見た後は普段は怖くないものも怖くなったりしませんか? このように、不安や恐怖を抱くと普段は不安や恐怖を抱かない対象にまでそれらを感じてしまうことを心理学や脳科学では「一般化」と呼ばれます。 この一般化はどの ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

優越の錯覚とは?―心理学と脳科学による優越感の解明

「あいつはバカだ。俺だったらあんなことしない。」

「俺は平均よりも優れている。」

「世の中は俺以下のバカが多い。」

などとよく口にしたり、このように優越感に浸る方は案外いらっしゃるのではないのでしょうか?

実際、人前で発言しなくても心の奥底では、このように優越感を抱いている人はよくいると思われます。

しかし、そんな考えは、心理学で言うところの「優越の錯覚(superiority illusion)」にすぎないのかもしれません。

本当にあなたの成績は平均以上なのか?

本当にあなたの考えは平均よりも優れているのでしょうか?

心理学の有名な話で、教授クラスの人間にアンケートを実施したところ、ほとんどの人が自分は他の教授や学者よりも優れているという回答がなされたという。

まさに、優越感の錯覚ですす。

今回は、あまり聞きなれないですが、意外と日常生活に関係している「優越の錯覚(superiority illusion)」について軽く考察します。

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①優越の錯覚(superiority illusion)の定義

優越の錯覚(superiority illusion)の研究は、まだ始まったばかりなので、ちゃんとした定義づけは行われていません。

しかし、一般的に言えば、根拠もなく「平均よりも自分は優れている」と思うことです。

優越感を抱いているということですね。

Yamada et al.(2013)の論文では、「優越の錯覚(superiority illusion)は肯定的に自分を評価することであり、知能、認知能力、望ましい性向など様々な要因において平均的な人よりも優れていると自分を判断すること」だと定義づけられています

自分に対してネガティブな人はそんなことはないよと思うかもしれませんし、社会人であれば、自分の身のほどくらいわきまえているよと思うかもしれません。

しかし、実験結果では、上図の真ん中のように、自分は平均的な人間と比べて優れていると評価していることが示されています。

ちなみに、図の右側のグラフは、ネガティブな評価と優越の錯覚(superiority illusion)との関連を示したもので、優越の錯覚(superiority illusion)がある人ほどネガティブな自己評価をしないことが示されています。

この研究では、性格指標で他人よりも優れていると思うモノを選ぶ形式で行われました。

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②モラル(道徳)的な指標においても優越の錯覚(superiority illusion)は生じる

優越の錯覚(superiority illusion)は、一般的によくあることです。

前節では、性格判断で他人よりも優れているという優越感を抱く傾向があることがわかりました。

実は、道徳的な(モラル)を兼ね備えているのかを判断するときにも優越の錯覚(superiority illusion)は生じます(Tappin & McKay, 2017)。

それが、上図です。特にモラリティ(Morality)の欄で自分の方(self)が他者(other)よりも高得点を出している指標が多いことが伺えます。

例えば、誠実さや信頼感、公平性や尊敬されることなど、モラル面で自分の方が他人よりも上だと優越感に浸る傾向があります。

最後に、上図ですが、これは、モラルなどの判断の中でどのくらい理性的に判断できているかを示している図です(Tappin & McKay, 2017)。

上図のMoralityの欄を見ると、非理性的(Irrational)な部分が9割以上占めています。

つまり、道徳特性(モラル)では、優越の錯覚(superiority illusion)は基本的に非理性的に行われることが多いのです。

自分は他の人よりもモラルがあると優越感を抱いている人ほど、非理性的な判断が占めている部分が多い可能性があります。

皮肉なものです。

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③でも、優越の錯覚(superiority illusion)って結構大事

これまで優越の錯覚(superiority illusion)について否定的なことを述べてきましたが、優越の錯覚(superiority illusion)にはプラスの面も大いにあります

例えば、うつ病の方は、自分のことを否定的に考えがちですし、優越感に浸って肯定的に考えられる方が精神衛生上は健康だと言えます。

確かに、プラス面はありますし、優越の錯覚(superiority illusion)は自信にもつながります。

なので、一概に悪い現象だとは言えません。

しかし、自惚れは厳禁です。

優越の錯覚(superiority illusion)は、自覚を促してくれる大切なイリュージョンなのかもしれません。

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参考文献

Tappin. B. M. & McKay. R. T. (2017). The Illusion of Moral Superiority. Social Psychological and Personality Science, Vol. 8, (6), 623-631.

Yamada et al. (2013). Superiority illusion arises from resting-state brain networks modulated by dopamine, PNAS, Vol. 110, No. 11, 4363-4367.

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