試合前に緊張や不安であがるのはなぜか。あがり現象の対処編

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2024/11/17

運動指導者が教える「選手のルーティンの作り方と使い方」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第二十九回目)

・ルーティンは、ルーティンを作ることを目的化せず、促す感じで作る。 ・ルーティンはコーチや監督に見られている中でも普段の練習でもする! ・「他人に見られている意識」を持つことが、スポーツ選手として強くなる秘訣の一つ! 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 今回のトピックは、「試合前に『あがる』のはなぜ?心理学を応用した対処編」 日常で経験する、緊張や不安で「あが ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2024/11/15

仕事ができないのに職場クラッシャーの性格「ダークトライアド」の心理学

・心理学的に採用してはいけない性格の人とは? ・経営者はサイコパスが多い。 ・サイコパスとかは仕事ができるのか? 経営者や人事の方のお悩みの一つが、「採用してはいけない人を決めること」です。 でも、たった一時間の面接で、その人の仕事能力や生産性、職場での態度などわかるはずもありません。 しかし、心理学では、そんな採用してはいけない性格の人をある程度特定しています。 それが、ダークトライアドと呼ばれる三つの性格傾向の人です。 ダークトライアドとは、サイコパス・ナルシスト(ナルシシズム)・マキャベリズムの三つ ...

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絵本の読み聞かせの語彙力への効果

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2024/11/15

保育士も納得!心理学で示されている理想の絵本の読み聞かせ方(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第二十三回目)

・絵本の読み聞かせの習慣がない地域でも絵本の読み聞かせをすると子どもの語彙力向上に効果あり! ・絵本の読み聞かせをすると子どもの集中力も上がる⁉ ・保育士と心理学専門家の両方が納得の絵本の読み聞かせ方6選 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「赤ちゃんの言葉の語彙力」です。 赤ちゃんの語彙力の心理学シリーズの第一弾として「赤ちゃ ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

【脳科学が解明】仲間外れにされる人の心の痛みと脳のメカニズム

 

現代社会で生きるには、人との交流が欠かせないです。

それゆえ、昔から言われている村八分のように、人間を人間集団から仲間外れにする(排除する)行為は最大の罰です。

仲間外れにされる人には大きな心の痛みが伴います。

大きな集団ではなく、我々は友達や恋人など対人関係を築き生活しています。

何気ない日常の些細なすれ違いで、友達と疎遠になったり、恋人と別れたりすることは人間誰しもあること。

その時感じる「心が痛む」という感覚は、文化問わずあるように思えます。

今回は、この仲間外れにされたときや他人と別れた時に感じる「心の痛み(社会的痛み)」(Social Pain)について考えます。

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①仲間外れにされるサイバーボール・ゲームの実験

では、我々が他の人間集団から仲間外れにされるときの「心の痛み」とはどのようなものか?

心の痛み」とは、単純に言葉の比喩の問題なのだろうか?

この難題に科学的に挑んだのがEisenberger et al. (2003)です。

彼らは、仲間外れを引き起こす「サイバーボール・ゲーム」という実験課題を開発しました。

fMRIで実験参加者にこのゲームを行ってもらい、仲間外れにされる時の「心の痛み」の脳画像を撮影することに成功しました。

サイバーボール・ゲームとは、上図のように、三人でキャッチボールをする単純な課題です。

図の左側は、自分にもボールが来るようになっており、三人仲良くキャッチボールができる様子を表している(コントロール条件)。

他方、図の右側は、三人なのに、自分以外の二人でばかりキャッチボールをする様子を描いています(仲間外れ条件)。

まさに、仲間外れにされる状態です。

実際に実験参加者は、コントロール条件と仲間外れ条件の二つの条件を体験する。

その後、実験者は、二つの条件の差分を取って、仲間外れの時の脳活動を研究しました。

仲間外れ条件の時の実験結果は、上図の通り。

脳の真ん中より少し前方の部分が活動しているのがわかります。

この脳部位は、ACC(anterior cingulate cortex:前帯状回)と呼ばれる脳部位で、心理的な葛藤状態や痛みに関連するときなどに活動します

つまり、この研究から、仲間外れの時に感じる「心の痛み」は、比喩ではなく、文字通り「痛み」の一種であることが示唆されます。

この痛みは後に、Social Pain(社会的痛み)として研究が進められることになります。

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②「心の痛み」は物理的に感じる「痛み」と同じ?

Eiseberger et al. (2003)の研究から、仲間外れにされる「心の痛み」は一種の「痛み」であることが示唆されました。

では、この「痛み」とはどのような痛みなのだろうか?

この問題に取り組んだのが、Kross et al. (2011)である。

彼らの研究では、別の実験課題を使用しているが、仲間を喪失した時の「痛み」熱い温度で感じる物理的な「痛み」とをfMRIを用いて比較しました。

すると、上図のように、なんと仲間外れにされる「痛み」と物理的な「痛み」とで活動する脳部位がかなり重なっていました

他の脳部位の活動も関連するものの、彼らは、仲間外れにされるときの「心の痛み」と物理的な「痛み」とは同様のものであると考えました。

心の痛みは、殴られたり蹴られたりした時の痛みと同じくらいのインパクトがあるのです。

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③しかし、「心の痛み」と物理的な「痛み」とは同じではない。

近年の研究で、Kross et al. (2011)に反論する研究が行われました。

それが、Woo et al. (2014)の研究です。

彼らは、「同じ脳部位でも違うことをすると活動することもある」という過去の知見から、Kross et al. (2011)と全く同様の課題を行い、脳部位の特定を行いました。

すると、上図のように、詳しく脳画像を分析すると実は仲間外れにされる「痛み」と物理的な「痛み」とで脳の活動パターンが異なることを示しました(右側の図: 上が物理的痛みの時の脳活動で下が仲間外れにされた時の脳活動)。

Woo et al. (2014)は他にも専門的な分析を行っていますが、研究結果に変更はありませんでした。

結局、仲間外れにされる「心の痛み」は物理的な「痛み」と同じなのだろうか?

それとも全く異なる現象なのだろうか?

明確なことはまだわからず、将来に期待するしかない。

しかし、私の個人的な見解では、同じ「痛み」ではあるが、性質は異なるだろうという意見です

理由は簡単で、Woo et al. (2014)の前提と同様に、他の行動を行っても「痛み」に関する脳部位の活動は見られる。

例えば、ACC(前帯状回)は確かに痛みに関連する脳部位ですが、「葛藤状態」など他の要因によっても活動が見られます。

仲間外れにされるという状況と自分の願望との葛藤が反映されている可能性が高く、Woo et al. (2014)はそのことを研究で示しています。

それでも、「痛み」であることには違いない

心理的な「痛み」の研究は、トラウマなどの精神疾患の研究に役立ちます。

また、人間の心の仕組みの解明にも直接つながる面白い研究だと思います。

あえて今回は教訓めいたことは避けますが、この社会的痛み(Social Pain)の研究はいろいろと示唆的であと思います。

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参考文献

Eisenberger et al. (2003). Does Rejection Hurt ? An fMRI Study of Social Exclusion. Science, 302, 290-292.

Kross et al. (2011). Social rejection shares somatosensory representations with physical pain. PNAS, Vol. 108, No. 5, 6270-6275.

Woo et al. (2014). Separate neural representations for physical pain and social rejection. Nature Communications.

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