gene and expertise and effort

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2022/1/7

努力は才能なのか?練習ができるのは遺伝によるのか?行動の遺伝学と心理学

・努力ができることも才能! ・努力は後天的にできるようになるのか? ・努力や練習は遺伝と関係あるのか? 自分のなりたい姿や実現したい目標のために人は努力します。 しかし、努力は辛い側面もあり、長続きせず、挫折することもしばしばです。 その時思うのが、目標に向かって日々行う努力や練習ができるのも、その人の才能ではないのかということです。 果たして、努力や練習は、その人が持って生まれた先天的なものなのでしょうか? それとも生まれた後の環境要因によって努力や練習ができるようになるのでしょうか? 今回は、遺伝学と ...

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stress and cognition eye

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2021/12/16

ストレスが認知機能に影響する?!記憶への悪影響と習慣化した行動への固執

・ストレスで何も手に着かない。 ・ストレスで何も頭に入ってこない。 ・ストレスは脳にどんな影響があるの? 現代人のお悩みベスト3に入ってくるくらいストレスはやっかいなものです。 ストレスが溜まると、何も手に就かず、勉強も仕事も進みません。 そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか? では、ストレスは私たちの行動や認知機能にどのように影響するのでしょうか? 今回は、ストレスのメカニズムではなく、ストレスによって生じる影響に焦点を当てます。 なお、ストレスの脳内メカニズムに関しては前回の記事にありますので ...

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stress and reward brain

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2021/11/11

脳科学的にストレスは報酬への喜びややる気を下げる!前頭葉と報酬系の低下

・ストレスはどのように脳に影響するのか? ・ストレスでやる気が出ない… ・どんなストレスが特に悪いのか? 多くの現代人を悩ませるのが「ストレス」です。 仕事のストレスや家庭でのストレス、友人などとの人間関係のストレスなど様々なものがあります。 電車の隣の席に着くおじさんのマナーにストレスを感じる短期的なものもあれば、何か月も何年もイライラする慢性的なストレスもあります。 ストレスは心理的にだけではなく、脳科学的にも大きな影響を及ぼします。 ストレスは、特に、誰かから贈り物をもらった時の喜びの感情や仕事・勉 ...

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本・解説/Book・Review 科学/science

脳科学が解明した!人間が物真似する時の脳内メカニズム

・よく他人の真似しているけどどうやったらできるの?

・赤ちゃんでも他人の真似するよね?

・物真似ってすごいなぁ

テレビでよく物真似を見かけます。

芸と呼ばれるほど洗練された物真似には驚きます。

他にも、赤ちゃんや子供は物真似の達人です。

言葉をすぐに覚えてしまいますし、しょっちゅうAKBのダンスを真似しています。

学ぶことは「真似ぶ(まねぶ)」ことが起源だと言われています。

私たちの日常は、模倣からできている

では、他人の真似や模倣はどうやってできるのか?

この謎に科学的に取り組んだのが、リゾラッティ&シニガリア『ミラーニューロン』です。

ミラーニューロン」は、一時流行って聞いたことあるという方がいるかもしれません。

しかし、「ミラーニューロンとは何か?」と聞かれると答えに窮するのではないでしょうか?

リゾラッティ&シニガリア『ミラーニューロン』は、模倣の脳内メカニズムを解説しています。

ミラーニューロンとは、正確には、「自分の運動だけではなく、他人の運動を見ている時にも反応する神経細胞群」のことを指します。

では、この「ミラーニューロン」がどのように発見されたのか?

「ミラーニューロン」の研究はどこまで進んでいるのか?

模倣とどう関係するのか?

『ミラーニューロン』を参考に、少しプラスアルファして解説します。

本記事では以下のことが学べます。

1. リゾラッティ&シニガリア『ミラーニューロン』の概要

2. ミラーニューロンとは何か?

3. ミラーニューロン発見物語

4. ミラーニューロンと模倣との関係

5. ミラーニューロンの現在と応用例


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①ミラーニューロン発見物語

本書の著者は、サルを使って運動をしている時の脳の電気的活動を記録していました。

これまで、運動に関する脳部位は運動をする時だけ活動すると考えられていました。

しかし、単なる絵などの視覚刺激でも脳の運動領域の活動がみられるという報告が結構ありました。

決定的なのが、自分が運動しているのではなく、他者が運動しているのを見ている時にも運動に関わる脳部位が活動することが報告(発見)されたのです。

この図は、サルの運動に関わる脳領域の活動を記録した図です。

右側の黒くて細い棒が脳の活動を表しています。

Aは、他人がモノを掴んだところを見ている時の脳活動。

Bは、自分がモノを掴む時の脳活動です。

AとBを見比べるととても似ていることがわかります。

このように、自分の運動ではなく他者の運動を観察している時に活動する神経細胞が、後に「ミラーニューロン」と呼ばれるようになりました(Rizzolatti et al., 1996a)。

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②ミラーニューロンの現在と応用:模倣との関連から

現在の研究では、「ミラーニューロン」は様々な認知機能に関連することが知られています。

例えば、本書『ミラーニューロン』では、行為の結果の理解や行為の意図の理解に関わっていることを示しています。

簡単に言うと、他人の行動がどういう結果になるのか、あるいはどういう意図で他人がその行動をしたのかを理解するのに「ミラーニューロン」が不可欠なのです。

優先座席に座っていた人が急に立ち上がったという行為を、「お年寄りの方が近くにいるからだな」と理解したりするのに役立つのです。

そして、ミラーニューロンは模倣に関わります(Molenberghs et al., 2009)。

ミラーニューロン発見物語で述べたように他者の行動を見て学習し、物真似につなげる役割を果たします。

さらに、自閉症の研究にも、ミラーニューロンは関連しています。

自閉症の方は、模倣をあまりしないという特徴がありますので、ミラーニューロンの機能不全などが可能性として挙がっています。

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③まとめ

以上が、本書『ミラーニューロン』の簡単な概要と、「ミラーニューロン」の現状についてです。

まとめると以下のようになります。

  • 自分の運動だけではなく、他人の運動を見ているときにも活動する神経細胞がミラーニューロン
  • ミラーニューロンがあるおかげで、他人の行為の意図や意味を理解できる。
  • ミラーニューロンは、物真似に不可欠
  • 自閉症などのミラーニューロン不全の研究に役立つ

本書『ミラーニューロン』は、このような知見が余すところなく盛り込まれていて、素人でも十分理解できるように分かりやすく書かれています。

何より、「ミラーニューロン」研究の第一人者による著書は、脳に関心のある方なら必見です。

是非、買って手に取って読んでいただきたい書籍です。

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参考文献

di Pellegrino et al. (1992). Understanding motor events: a neurophysiological study. Experimental Brain Research, 91, 176-180.

Molenberghs et al. (2009). Is the mirror neuron system involved in imitation? A short review and meta-analysis. Neuroscience and Biobehavioral Reviews, 33, 975-980.

Rizzolatti et al. (1996a). Premotor cortex and the recognition of motor actions. Cognitive Brain Research, 3, 131-141.

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