プロも陥るアンカリング効果とは

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2025/2/20

プロも陥る心理学のアンカリング効果とは?

・プロとアマチュアの違いとは? ・プロでもアマチュア同様に、相手の提示金額に左右される⁉ ・心理学のアンカリング効果とは? 普段の生活で買い物をするとき、我々は何か値段の基準を頭に思い描いて、それをもとに高いか安いか判断します。 お店の店員さんに「本当は2万円ですが、おまけして1万5000円です」と言われ、嬉しくなって買ってしまう。 しかし、後日、全く同じ商品がネットで1万円で売っていて損した経験はあると思います。 このように値段の判断は、実は、心理学のアンカリング効果によって歪められている ...

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心理学で簡単に夜泣きを減らす方法のサムネ画像

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2025/2/17

赤ちゃんが夜泣きをしても一人でもう一度眠れるようになるには?(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第三十八回目)

・心理学では、赤ちゃんの夜泣き対策として放っておくことが意外に有効! ・赤ちゃんは、成長過程で、「一人で寝る勇気」を持つ必要がある! ・夜中に起きてしまっても、赤ちゃんが一人で眠れるようになるポイントは「ミラーリング」 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「心理学で簡単に赤ちゃんの夜泣きを減らす方法」です。 赤ちゃんの夜泣きと夜泣きする子の特 ...

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レジリエンスを身につける方法のサムネ画像

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2025/2/13

レジリエンスが高まり続ける方法!毎日10秒からでいいから始めてみる(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第四十三回目)

・マインドフルネスは呼吸や散歩だけではなく、あらゆることにも応用できる。 ・何かやりたいことがあれば、10秒やってみる。10秒できたら20秒やってみる...の繰り返しでできるようになる。 ・身近なことを続けられると、レジリエンスも自然と高まる。 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 今回のトピックは、「レジリエンスを身につける方法」 普段よく耳にする「レジリエン ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

ドメスティック・バイオレンス(DV)は目撃するだけで脳に悪影響

ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)は深刻な問題です。

近年、ドメスティック・バイオレンスによって幼い命が失われる事件がしばしば報道されました。

私たちの記憶にも新しいでしょう。

そのような子供を一人でも減らすためには、ドメスティック・バイオレンスについて偏見やイメージではなく正確な知識が必要です。

以前の記事「心理学が解明したドメスティック・バイオレンスの子供への影響」では、ドメスティック・バイオレンスが子供の将来にどのような悪影響を及ぼすのかを解説しました。

今回は、ドメスティック・バイオレンスの被害にあわなくとも、例えば母親がドメスティック・バイオレンスの被害を受けているところを見るだけでも子供の脳に悪影響が及ぶことを解説します。

つまり、実際に被害にあわなくても子供の成長に悪い影響がでるということです。

最新の神経科学(脳科学)の知見がそれを教えてくれます。

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①ドメスティック・バイオレンスを目撃するだけで脳の表面部分が委縮する

ドメスティック・バイオレンスと脳の関係を調べた研究は、2000年代初期の頃からありました。

しかし、その当時は脳科学も発展しておらず、研究結果が芳しくありませんでした。

そのような状況が続いていましたが、2010年代にようやくドメスティック・バイオレンスの脳への影響を示した研究が出てくるようになりました。

Tomoda et al. (2012)は、子供時代にドメスティック・バイオレンスの被害にあったのではなく、目撃者であった人(目撃群)全く何もなかった人(ノーマル群)とを集めて、脳構造の違いを比較しました。

すると以下の図のように、赤く光っている部分が目撃群とノーマル群とで違いがあるという結果になりました。

witness domestic violence and cerebral cortex

この部位は、視覚に関係する領域です。

目撃群はノーマル群に比べて、脳の視覚領域の表面部分が委縮しているのです。

そして、特に目撃場面別にみた場合に、言葉の暴力がふるわれているところを目撃した場合にこの脳領域の構造の委縮がひどいという報告もされています。(下図の右から二つ目verbalの棒グラフ)

つまり、ドメスティック・バイオレンスでも、悪口・罵声を浴びせられている場面をよく目撃しているほど脳の視覚に関連する領域が悪くなるのです。

この視覚領域の脳の萎縮でどのようなことが起こるかというと、物事の視覚的認識が鈍くなることは明確ですが、中には睡眠障害に関連しうるという報告もあります。

それくらい、ドメスティック・バイオレンスを目撃することは、将来の日常生活に影響します。

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②ドメスティック・バイオレンスは脳のつながりを悪くする

次にご紹介する研究は、脳のつながりに関する話題です。

脳は様々な領域が繋がっていて、情報をやりとりしています。

なので、脳領域のつながりが悪ければ、情報伝達も上手く行かず、脳があまり機能しなくなります。

Choi et al. (2012)は、先ほどの研究と同じように、ドメスティック・バイオレンス目撃群とノーマル群との脳構造を比較しました。

すると、図の黄色で光っている部分の構造が目撃群では悪いことを示しました。

緑で描かれているのが、脳構造のつながりです。

脳の後ろの方から前に情報を伝達する経路が描かれています。

この経路の黄色い部分のつながりが、目撃群では悪いのです。

さらに、驚くべきことに、この部分のつながりは、殴ったり引っかいたりする物理的なDVではなく、悪口・罵倒などのように言葉によるDVを目撃したと報告している人ほど悪くなっているというのです(下図の一番右側verbal>physicalの棒グラフが最も低くなっています。これが脳構造のつながりぐあいの悪さを示しています)。

先ほどの研究ととても似ていますが、今回の研究では、繋がりがキーポイントです。

この領域のつながりが悪いと、言葉の理解言葉を発することがうまくできなくなる可能性が出てきます。

言語領域に特に関わる領域であり、言葉のDVでさらにこの領域のつながりが悪くなるということは整合性がある結果だと思われます。

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③まとめ

以上が、神経科学(脳科学)が解明したドメスティック・バイオレンスの目撃による脳への影響です。

実際に被害にあうだけではなく、DV場面を目撃するだけで脳構造に悪影響がでることは衝撃的です

児童虐待の疑いがある家庭だけではなく、ドメスティック・バイオレンス自体が疑われる家庭にいる子どもも保護の対象とするべきです。

それが、実際に被害にあっていなくともです。

家族のためであり、子供のためでもあります。

ただし、一つ注意が必要なのが、子供と母親の間ではドメスティック・バイオレンスの被害報告に差が出ることです(Kitzmann et al., 2003)。

Kitzmann et al. (2003)は、特に母親の方が、より被害をより大きく報告する傾向があると言います。

つまり、逆に言えば、子供は母親よりもDV被害を過小評価して報告するということです。

子供が、少しでもドメスティック・バイオレンスの話をすれば、実際の被害はもっとひどい可能性があるということです。

児童相談所をはじめとする相談窓口で、母親の報告に偏りがあると思われても、その報告は重く受け止めて一刻も早く対処するべきでしょう。

というのも、実際に子供は被害にあってなくても目撃するだけで脳の発達に悪影響がでるからです。

実際に対処して、DVがなかったらいいですが、対処せずにDVがあった場合が一番悲惨です。

一人でも多くの命を救うため、また一人でも多くの子供の幸せのために。

まずは正しい知識から。

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参考文献

Choi et al. (2012). Reduced Fractional Anisotropy in the Visual Limbic Pathway of Young Adults Witnessing Domestic Violence in Childhood. Neuroimage, 59(2), 1071-1079.

Kitzmann et al. (2003). Child Witness to Domestic Violence: A Meta-Analytic Review. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 71(2), 339-352.

Tomoda et al. (2012). Reduced Visual Cortex Gray Matter Volume and Thickness in Young Adults Who Witnessed Domestic Violence during Childhood. Plos One, 17(12), e52528.

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