経済学・経営学/Economics・Marketing 記事/Article

やる気やモチベーションは仕事のパフォーマンスを上げるのか?動機づけの科学

・やる気だけある人いるけど、仕事ができるかはわからない

・モチベーションよりも目標が仕事のパフォーマンスには大事

・賃金を上げれば自然とモチベーションが上がり、仕事のパフォーマンスも上がるでしょ

日々の仕事にやる気を持って取り組みたい人は多いはず。

仕事へのモチベーションを維持しつつ、会社組織に貢献したい。

社員もそうだし、経営者にとってもありがたい。

けれども、空元気と言う言葉があるように、果たしてやる気やモチベーションを上げると仕事の成果に繋がるのだろうか?

単なる熱意だけある人では意味ないし、賃金を上げて強制的にやる気を上げるのも効果的なのかわからない。

そこで今回は、この疑問に心理学と経営学が答えます。

モチベーションと仕事のパフォーマンスの関係性だけではなく、やる気の上げ方も解説します。

本記事では以下のことが学べます。

1. モチベーションややる気の種類

2. モチベーションややる気の仕事への影響

3. モチベーションややる気を上げる方法

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①モチベーションややる気とはそもそも何か?外発的動機づけと内発的動機づけ

やる気と仕事との関係性の前に、そもそも普段何気なく使用する「やる気」や「モチベーション」とは何なのだろうか?

心理学で「やる気」や「モチベーション」のことを「動機付け(motivation)」と言います。

心理学辞典によりますと、「動機づけ」とは

行動の理由を考える時に用いられる大概念であり、行動を一定の方向に向けて生起させ、持続させる過程や機能の全般をさす

とあります。

つまり、「自分の行動をある方向に向けようとしてその行動を維持すること」とも言い換えられる。

その自分の行動をある方向に向け維持する行為全般の理由としても使われます。

そして、大事なのが、「動機づけ」には、大きく分けて二種類のものがあるということです。

一つ目が、「外発的動機づけ(extrinsic motivation)」です。

外発的動機づけとは、何か外の刺激や物によって行動が誘発されることです。

例えば、お金が挙げられます。

「1000円あげるから、この作業をしておいて」という状況が最も分かりやすいと思います。

「外の刺激=お金」を受けて「作業をする=行動を誘発する」のです。

二つ目が、「内発的動機づけ(intrinsic motivation)」です。

内発的動機づけとは、自分の中から湧き出るものによって行動が誘発されることです。

例えば、知的好奇心が挙げられます。

何かによって物事を調べたりするのではなく、自分の中の「興味」によって知るという行動を誘発します。

仕事では、「仕事自体が楽しい」とか「仕事にやりがいがある」という状況です。

今回は、両方の動機づけを扱いますが、主に内発的動機づけに焦点を当てます。

というのも、外発的動機づけでは、嫌々でも仕事をやっている可能性があり、普段想定される「やる気」や「モチベーション」とはちょっと異なるからです。

どうせなら、仕事自体を楽しく感じる「やる気」や「モチベーション」について知る方が有益だと思われます。

仕事をする本人にとっても経営者にとってもwin-winなのが内発的動機づけです。

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②内発的動機づけは仕事のパフォーマンスを上げるのか?

本題のやる気とモチベーションと仕事の成果との関係性に話を移します。

内発的動機づけと仕事のパフォーマンスとの関係性

内発的動機づけと仕事のパフォーマンスとの関係性を調べた研究は結構古くからあります。

例えば、Chang & Lorenzi (1983)は、仕事が単調な作業の仕事ではなく、クリエイティブな面白い仕事の場合、内発的動機づけが上がると報告しています。

つまり、クリエイティブな仕事ほどやること自体が楽しく、よりその仕事に時間を費やすようになるのです。

そして、内発的動機づけと仕事との関係をダイレクトに示したのがEisenberger et al. (1999)です。

彼らは、実際に企業で働いている方に質問紙調査を行うことで、内発的動機づけと仕事との関係性を示しました。

それが下図になります。

intrinsic motivation work interest

この図は、上の欄の指標と横軸の指標との関係性を示しています。

*がついているのが、統計的に有意味な関係性があるものです。

すると、横軸のStep 3の欄のPerformance-reward expectancyをご覧ください。

この指標は内発的動機づけの指標です。

この指標とwork activity interestとの間に*がついています。

つまり、内発的動機づけが上がると仕事への興味が上がります

そして、パフォーマンスの向上に繋がるのです。

これらの研究から、内発的動機づけは仕事のパフォーマンスを上げるだろうと予測できます。

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内発的動機づけは仕事の様々なパフォーマンスを上げる

単に仕事のパフォーマンスといってもその中身はいろいろあります。

Grant (2008)は、内発的動機づけと仕事の様々な指標との関係性を示しました。

intrinsic motivation persistence

この図の縦軸は仕事をやり続ける能力を表しています。

あまり印象は良くありませんが、具体的には、残業をしてでも仕事をする姿勢です。

■が内発的動機づけが高い人

▲が内発的動機づけが低い人です。

横軸は、社会に役に立っているという自覚が高いか低いかを示しています。

すると、仕事を通して社会の役に立っていると思っている人ほど、内発的動機づけが強ければ、仕事を持続することが分かります。

intrinsic motivation performance

同じように、今回の図は縦軸が仕事のパフォーマンスです。

実際には、テレアポの電話回数を示しています。

すると、先ほどと同じで、仕事を通して社会の役に立っていると思っている人ほど、内発的動機づけが強ければ、仕事のパフォーマンスが高いことが分かります。

intrinsic motivation productivity

同じように、今回の図は縦軸が、生産性です。

実際には、テレアポで得た利益を指します。

すると、先ほどと同じで、仕事を通して社会の役に立っていると思っている人ほど、内発的動機づけが強ければ、仕事の生産性が高いことが分かります。

この研究により、仕事のパフォーマンスの中でも、仕事をやり続ける姿勢や仕事の生産性などは内発的動機づけに左右されることがわかります。

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内発的動機づけと外発的動機づけの使い分けが必要

仕事のパフォーマンスで重要なのが、仕事の質が高いか量をこなせたかです。

内発的動機づけと外発的動機づけはそれぞれ質か量どちらを上げるのでしょうか?

Cerasoli et al. (2014)は、この疑問にメタ分析という手法を使って答えました。

メタ分析とは、同じような研究を集めて分析し直し、一定の結論を出す研究手法です。

詳しくは「メタ分析とは何か?心理学論文から見るメタ分析の方法と限界」に記載しております。

合わせて読んでいただければ幸いです。

intrinsic motivation quality

この図は概略図ですが、縦軸がパフォーマンスで横軸が内発的動機づけの強さです。

図を見るとQuality(質)とQuantity(量)とがあります。

内発的動機づけが上がると質は量よりも上がり具合が高いです。

つまり、内発的動機づけは、仕事の質を上げることを示しています。

intrinsic motivation quantity

この図は、動機づけの違いが質と量のどちらにより効果的なのかを示しています。

数字が高いほど、影響力があることを示しています。

Intrinsic motivation(内発的動機づけ)は、Quantity(量)よりも、Quality(質)の数値の方が高いです。

つまり、先ほどのことを示しています。

一方、Extrinsic incentive(外発的動機づけのこと)は、質の数字がほとんど0に近く、逆に量は内発的動機づけよりも高い数値を示しています

つまり、外発的動機づけは、仕事のこなす量を上げることが分かります。

この研究より。内発的動機づけは質を、外発的動機づけは量を上げることが示されました。

仕事によって動機づけの違いを利用すれば、より効果的になります。

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③どのようにして仕事へのモチベーションややる気を上げるか?

最後に、どのようにすれば仕事への内発的動機づけを強めることができるのかです。

はっきりとこれといった方法は実はありませんが、間接的に内発的動機づけを上げる方法があります。

それが、「自己効力感」を上げることです。

自己効力感とは何か?

心理学辞典によりますと、

自分が行為の主体であると確信していること、自分の行為がについて自分がきちんと統制しているという信念、自分が外部からの要請にきちんと対応しているという確信

つまり、「この仕事は自分で調整できる」という「他の誰かではなく自分がやってやった」という確信のことです。

自分の責任の下にやり切った感覚とでも言い換えられます。

この自己効力感と内発的動機づけと仕事のパフォーマンスとの関係を示したのがCetin & Askun (2017)です。

彼らが示したのは、簡単に言うと、自己効力感が高い人は仕事のパフォーマンスが高いということです。

しかし、より詳細に分析すると、自己効力感と仕事のパフォーマンスの間には、内発的動機づけが関係していることが分かりました。

つまり、

自己効力感が上がる→内発的動機づけが上がる→仕事のパフォーマンスが上がる

という関係性です。

このことから、自己効力感を上げることが内発的動機づけを上げることに繋がります。

具体的には、例えば、上から仕事を押し付けるのではなく、仕事の裁量権を部下に与えたりして、自分で仕事をコントロールできる感覚(自己効力感)を上げると、仕事自体にやりがいや楽しみを見出し、仕事のパフォーマンス向上へとつながるのです。

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④まとめ

以上がモチベーションとやる気と仕事のパフォーマンスの関係性についてです。

まとめると以下のようになります。

  • モチベーションややる気は、正確には動機づけという。
  • 動機づけには、お金など何かの報酬をもらって行動を起す外発的動機づけと知的好奇心のように自らそれ自体を求めて行動を起す内発的動機づけとがある。
  • 内発的動機づけは、仕事のパフォーマンスを上げる。
  • 内発的動機づけは、仕事の持続性や生産性を上げる。
  • 内発的動機づけは、仕事の質を上げるが、外発的動機づけは、仕事の量を多くこなすことに繋がる。
  • 内発的動機づけを上げるには、自分で仕事をコントロールできるという自己効力感を上げることが必要

モチベーションややる気が仕事の成果向上に一定の効果があることがわかりました。

重要なのは、内発的動機づけと外発的動機づけを使い分けることです。

上手く、モチベーションややる気を高めて、仕事の価値を上げ、誰もが「仕事が楽しい」と思える状態こそが理想です。

その理想は、仕事のパフォーマンス向上だけではなく、働く人自身にも恩恵が得られるwin-winな理想だと思います。

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参考文献

Cerasoli et al. (2014). Intrinsic Motivation and Extrinsic Incentives Jointly Predict Performance: A 40- Year Meta-Analysis. Psychological Bulletin, 1-29.

Cetin & Askun (2017). The effect of occupational self-efficacy on work performance through intrinsic work motivation. Management Research Review.

Chang & Lorenzi (1983). The Effects of Participative Versus Assigned Goal Setting on Intrinsic Motivation. Journal of Management, 9(1), 55-64.

Eisenberger et al. (1999). Does Pay for Performance Increase or Decrease Perceived Self-Determination and Intrinsic Motivation ? Journal of Personality and Social Psychology, 77(5), 1026-1040.

Grant (2008). Does Intrinsic Motivation Fuel the Prosocial Fire? Motivational Synergy in Predicting Persistence, Performance, Productivity. Jornal of Applied Psychology, 93(1), 48-58.

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