スキンシップの心理学と母親のメリット

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2024/5/3

「スキンシップが母親の心を安定させ、子育てスイッチを入れる」(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第一回目)

・赤ちゃんとスキンシップをするだけで心が落ち着く。 ・スキンシップをすると母親の子育てスイッチが入る!? ・スキンシップだけで赤ちゃんとの意思疎通も取れて育児が楽になるかも。 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「スキンシップの心理学」 スキンシップの心理学シリーズの第一弾として「スキンシップの母親のメリット」を心理学のエビデンスをもとにゆう ...

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スポーツ心理学「朝練は必要なのか」

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2024/4/27

「睡眠を削ってまで朝練がそんなに大事なのか?」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第四回目)

・朝練はある程度は効果はありそうだけど睡眠を削ってまでするべきか? ・早すぎる朝練は意味あるの? ・朝練の時間に合わせて睡眠リズムを整えられるか? 朝練をするには早起きをしないといけません。 貴重な睡眠時間を削ってまで朝練に行く学生やスポーツ選手も多いのではないでしょうか? では果たして、睡眠を削ってまで朝練をする意味はあるのでしょうか? 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回も、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学につい ...

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スポーツ心理学「朝練は必要なのか」

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2024/4/19

「朝練でやるべきこととは?」(Youtube専門家対談企画スポーツ心理学与太話の第三回目)

・パワー系のスポーツで試合前にやると効果的なトレーニングとは? ・本番で最高のパフォーマンスを発揮するためには何時に起きればいいの? ・プロとセミプロの違いとは? 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYoutube専門家対談企画。 今回は、パーソナルトレーナーでスポーツ選手も指導される前田さんとスポーツ心理学についてお話します。 本対談は、先日行われたセミナー「現場を科学するスポーツ心理学夜話」のスピンオフ企画です! セミナーにご興味のある方はぜひ下記のリンクから見逃し配信動画をお申込みく ...

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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

ブレインストーミングの注意点と正しいやり方:案だしとアイデアの心理学

・なかなかアイデアが思い浮かばない

・ブレインストーミングをしても良い案が出ない

・ブレインストーミングのコツを知りたい

今やビジネスシーンで案だしに欠かせないのがブレインストーミングです。

10~15分くらいの間に、頭に思いついたことをみんなでシェアして答える。

ビジネスの場だとチームで行うことが多い。

しかし、そのやり方は心理学的に問題があります

チームで行う方法では、ブレインストーミングは失敗しやすいのです。

そこで今回は、ブレインストーミングの時に気をつけるべきこととブレインストーミングでやるべきことを心理学的に解説します。

これらの点を踏まえれば、イノベーションが生まれるかもしれません。

本記事では以下のことが学べます。

・従来のブレインストーミングが失敗しやすい理由

・ブレインストーミングの一般的な問題点

・ブレインストーミングで気をつけるべきこと

・正しいブレインストーミングのやり方。

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①チームや集団でのブレインストーミングは失敗する!?一人の方が多くのアイデアが生まれるというパラドクス

まず最初に頭に入れておきたいことは、チームや集団でブレインストーミングすることは効率が悪いことです(Bouchard & Hare, 1970)。

brainstorming nominal real

縦軸がアイデアの数

横軸がチームの人数です。

Nominal Groupは、一人一人ばらばらでブレインストーミングをして、最後に各アイデアを足し合わせたグループ。

Real Groupは、みんなで話し合ってブレインストーミングをしてアイデアを出したグループです。

すると、Real Groupの方が圧倒的にアイデアの数が少なく、人数が増えてもあまりアイデア数は増えません

しかも、Nominal Groupは、Real Groupの倍以上ものアイデアを出しています。

このことから、ブレインストーミングをするときは、みんなで集まって話し合うというやり方を避けるべきです。

個々ばらばらでブレインストーミングをしてアイデアを足し合わせた方が倍以上効率が良いのです。

 

さらに、無理やりブレインストーミングをやるのもよくありません(Bouchard, 1972)。

brainstorming motivation

縦軸は、アイデアの数。

横軸はトレーニング前と後ですが、無視しても構いません。

○と□がモチベーションが高い群。

●と■がモチベーションが低い群です。

図のように、○と□がモチベーションが低い群よりもアイデア数が多いです。

ブレインストーミングにもモチベーションが関係します。

ブレインストーミングへのモチベーションもないのにとりあえずやるというのは疲れるだけで良くありません。

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②なぜチームや集団でのブレインストーミングは失敗するのか

先ほど、チームで話し合うよりも一人一人別々にブレインストーミングをした方が効果的であることを述べました。

では、なぜチームや集団でのブレインストーミングは効率が悪いのでしょうか?

A) 一般的なブレインストーミングの阻害要因

まずは、チームや集団一般に関係する要因です。

実は、他人の存在自体がブレインストーミングの阻害要因となってしまうのです。

Diehl & Stroebe (1987)は、みんなで話し合ってブレインストーミングをする群(Real Group)と一人一人別々にブレインストーミングする群(Nominal Group)とに分けました。

ブレインストーミングの前に、そこで出た案を個人の誰かが審査する(Personal)か、それとも集団で審査する(Collective)かを伝えました。

つまり、他者に見られている状態でブレインストーミングを行うのです。

すると結果は以下のようになりました。

brainstorming others

縦軸は、Real GroupでPersonalかCollectiveの条件の時とNominal GroupでのPersonalかCollectiveの条件の時をそれぞれ示しています。

数字は、ブレインストーミングの成績です。

左二つが重要で、アイデアの数と良いアイデアの数をそれぞれ示しています。

まず、Nominal Groupの方がReal Groupよりもアイデアの数も良いアイデアの数も多いです(四つの欄の内の左の二つの欄)。

そして重要なのは、両群とも、PersonalよりもCollectiveの方がアイデア数も良いアイデアの数も少なくなっています

つまり、他人に見られているということがブレインストーミングの効率を下げます。

 

次に、他人に評価されるという雰囲気もブレインストーミングの案だしを阻害します

brainstorming evaluation

図の縦軸はブレインストーミングの議題ですので無視しても構いません。

重要なのが、Low-evaluation apprehensionとHigh-evaluation apprehensionとの違いです。

前者は、特に監視や評価するようなものを置かずにブレインストーミングを行った場合。

後者のPeersが監視カメラ前でブレインストーミングを行った場合。

Judgesが、鏡を置いて実験者が見張っている状態でブレインストーミングを行った場合です。

数字は、アイデア数です。

すると、High-evaluation apprehensionよりもLow-evaluation apprehensionの方が明らかにアイデア数が多いです。

このことより、他人に評価されると感じるだけで、ブレインストーミングの効率は下がります

 

さらに、他者とコミュニケーションがとれることもブレインストーミングに影響します

brainstorming communication

数字はアイデア数を示します。

図の縦軸のそれぞれが条件を表しています。

Condition 1 が、他者とコミュニケーションが取れる条件

Condition 2が、他者と交互にコミュニケーションが取れる条件。

Condition 3が、他者の声は聞こえるがコミュニケーションが取れない条件。

Individual Controlがそれぞれ一人でブレインストーミングを行った条件です。

すると、Condition 1と2は、明らかに他の条件よりもアイデア数が少ないです。

つまり、限定的であっても他人とコミュニケーションがとれること自体がブレインストーミングの効率を下げます

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B) ブレインストーミングを阻害する個人的要因

この章の最後に、ブレインストーミングを阻害する個人的要因を見ます。

Camacho & Paulus (1995)は、個人の社会に対する不安がブレインストーミングの成績に影響することを示しました。

brainstorming anxious

図の縦軸が、アイデアの数。

横軸の左が、不安が低い条件、真中が不安が高い条件、右側が普通条件です。

黒の棒グラフが個人個人でブレインストーミングを行った条件(Nominal)。

ねずみ色の棒グラフが、集団でブレインストーミングを行った条件(interactive)です。

この図より、明らかに、社会不安が高い人の方が低い人よりも、ブレインストーミングの成績が低いです

特に、集団で行った場合、社会不安の高低により倍くらいの違いがでます

やはり、個人個人でブレインストーミングは行った方がいいかもしれません。

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③ブレインストーミングを促す心理学的方法

最後に、ブレインストーミングの効率を上げる方法をご紹介します。

Dugosh et al. (2000)は、最初にブレインストーミングをさせて(Session1)、その後にアイデアがちりばめられたテープを聞かせます。

そして、もう一度ブレインストーミングをさせる(Session 2)ことで、アイデアに触れることの効果を確かめました。

すると以下のような結果になりました。

brainstorming ideas

縦軸は、アイデアの質を表します。

Uniqueだと独創的なアイデア数です。

この指標のみに注目していただくだけで十分です。

Low number of ideaとHigh number of ideaは、前者が30個のアイデアをテープで聞かせた場合。

後者が、60個のアイデアをテープで聞かせた場合です。

Controlは、テープを聞かせずにブレインストーミングを行った場合です。

すると、Session 2のMの欄を見ると、多くのアイデアに触れた群の方がより多くの独創的なアイデアを生み出しています

つまり、アイデアを多く思いつくには、普段からたくさんのアイデアに触れている必要があるのです。

 

最後に、テープを聞かせてその内容を覚える群を作った時の結果もあります。

brainstorming memory

Memoryがそうです。

Nominalが個人個人でブレインストーミングを行った場合。

Interactiveが集団でブレインストーミングを行った場合です。

すると、Session 2の欄で、Memory群の方が圧倒的にアイデア数が多いです。

単にアイデアに触れるだけではなく、アイデアを記憶することも必要です。

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④まとめ

以上より、ブレインストーミングの注意点と促進要因について見てきました。

まとめると以下のようになります。

  • ブレインストーミングは集団やチームでやるより、個人個人でやった方が効率がいい。
  • ブレインストーミングには、モチベーションしだいでアイデア数が異なる。
  • ブレインストーミングは、他者の存在や他者に評価されると思い込むだけで効率が下がる。
  • ブレインストーミングは、他者とコミュニケーションをとる状況でも効率が下がる。
  • ブレインストーミングは、社会不安が高い個人には向かない。
  • ブレインストーミングで多くの案が出せるようになるには、普段からたくさんのアイデアに触れ、記憶しておくこと。

これらの研究結果は、一般的なブレインストーミングのほとんどが失敗していることを示唆します。

では、上記を踏まえて最も効率的なブレインストーミングのやり方は何か?

以下のようになります。

チームでまずばらばらになり、

①個人個人で何も余計なことを考えずにブレインストーミングする。

②個人個人のブレインストーミングで出たアイデアをチームで足し合わせる。

③被ったアイデアを捨てて、みんなで評価する。

注意点は、①の時に誰ともコミュニケーションを取らないことです。

そして、よりブレインストーミングで良い案を出すには、普段から勉強したり、展示会に出かけたりして、様々なアイデアに触れ、記憶することです

イノベーションのきっかけになれば幸いです。

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参考文献

Bouchard (1972). TRAINING, MOTIVATION, AND PERSONALITY AS DETERMINANTS OF THE EFFECTIVENESS OF BRAINSTORMING GROUPS AND INDIVIDUALS. Journal Applied Psychology, 56(4), 324-331.

Bouchard & Hare (1970). SIZE, PERFORMANCE, AND POTENTIAL IN BRAINSTORMING GROUP. Journal of Applied Psychology, 54(1), 51-55.

Camacho & Paulus (1995). The Role of Social Anxiousness in Group Brainstorming. Journal of Personality and Social Psychology,68(6), 1071-1080.

Diehl & Stroebe (1987). productivity Loss in Brainstorming Groups: Toward the Solution of a Riddle. Journal of Personality and Social Psychology, 53(3), 497-509.

Dugosh et al. (2000). Cognitive Stimulation in Brainstorming.  Journal of Personality and Social Psychology,79(5), 722-735.

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