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少子化問題は経済にどのように影響するのか?

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・少子化に歯止めがかかりません。

・少子化ってそんなに問題なの?

・少子化の影響ってどんなものなのか?

過去の記事で、ブライダル総研の調査を紹介しました。

男女とも恋人がいない割合が6~7割という衝撃的な調査結果でした。

前回の記事(論文)では、恋愛論について語りましたが、この調査は少子化にもつながります。

恋愛結婚が主流の現在において、恋愛しなくなるということは、結婚にも結びつきにくく、子供も増えなくなります。

現に国勢調査では、「結婚する人の減少」が見られ、2015年の調査では、未婚率が男性47%女性34%と高止まりしていることが明らかになっています。

では、このように、少子化に拍車をかける要因とは何か?

今回は、過去文献を基に少子化の経済について考えます。

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①少子化の世界的分析

まず最初に、世界的に少子化を促す要因について見ていきます。

近年では、ヨーロッパを含む先進国でも少子化は進んでおり、日本だけの問題ではなくなりつつあります

世界192カ国にわたって少子化の社会経済的要因を探った、鈴木&田辺(2016)の研究によると、下図の8つの要因が少子化に関連しているようです。

彼らの研究では、アフリカの国の影響が強く出ています。

たとえば、乳児死亡率、初婚年齢(女)、避妊普及率、経度、貧困率などは、アフリカ諸国の出生率の高さで説明できると論文では述べられています。

しかし、識字率に代表される教育の向上やGpC(一人当たりのGDP)などの経済的要因は、日本でもアフリカ以外の各国にも当てはまる要因ではないでしょうか?

つまり、識字率やGDPが高ければ高いほど、少子化が進むということが強く示されたといえるでしょう。

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②日本の少子化の経済的要因

次に、日本の少子化に影響を与える社会経済的要因について飯島&横山(2018)の研究を参考に見ていきます。

まず、少子化につながる最も大きな要因として、「お金がない」ことが挙げられます。

上図は妻の年齢別にみた、理想の子供数をもたない理由が挙げられています。

ダントツで多いのが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由でした。

なんと全体総数の56%を占めます。

次の理由は、「高齢で生むのはイヤだから」「欲しいけれどもできないから」のように出産身体的理由が来ています。

このことを考慮すると、お金という経済的問題が出産を躊躇させるということがわかります。

さらに、そのことに追い打ちをかけるのが、結婚の障害となっている要因です。

その一位が、「結婚資金の不足」であり、男性43%女性42%が挙げています。

このことは、非正規労働などと関連しそうですね。

ますます、未婚化と晩婚化が進むことになるでしょう。

そのことをまとめたのが下の図になります。

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③少子化の経済への影響

最後に、では、少子化の何が問題なのかについて軽く触れてこの記事を締めます。

少子化による人手不足の加速など様々なことが言われています。

他にも、たとえばデービッド・アトキンソンさんのように少子化をとても懸念されている方もいらっしゃいます。

個人的には、彼のインタビュー記事を見ているととても勉強になりますので、そちらを参照していただきたいぐらいです。

ですが、一応この記事でも述べます。

特に問題となるのが、少子化による産業構造の変化です。

たとえば、吉川&安藤(2019)は、少子化により産業構造の変化を統計的に示した上で(上図)、以下のことを述べています。

人口減少下でのマクロ経済が成長を持続するためには、生産性の向上自体は好ましいことであるが、製造業においては、かつて高成長の時代には多く見られていたような、新しいモノ/サービスが創出され、需要拡大を牽引して雇用も増加する好循環の復活が望まれる。日本経済の持続発展に向けては、製造業が復権するかが鍵になるであろう。非製造業については生産性の改善がほとんど見られないが、雇用面の貢献は大きく、その背景には各自体に必要なモノ/サービスが新たに創出され、需要が伸びてきたことが示唆されている。

彼らは、ここ最近の生産性の議論から、第三次産業であるサービス業ではなく、第一次産業である製造業こそが生産性の向上に貢献してきたと述べています。

もちろん背景には、「人口/労働人口の減少が経済成長にマイナスの影響を与えることは言うまでもない」と述べているように、人口減少が経済に大きな影響を与えることを認めています。

しかし、根本的な問題は一人当たりのGDPの向上、特に製造業の復権であると述べています。

つまり、少子化は労働の担い手がいなくなるため深刻な問題であることには間違いないですが、少子化の影響を考慮して、現在の日本の労働・経済的要因を考える必要があるのです。

実際に、シミュレーション研究で、少子化の影響が数年単位で比較的すぐには出ないことが示唆されています。

なので、少子化よりも実は生産性の向上や産業構造を考えないといけないのです

生産性が向上し、給料の増加や雇用環境の向上が実現すれば、「お金がない」という要因は改善され、結婚も増えるでしょう。

また、経済的に余裕が生まれ、結婚も増えれば、子供を作るようになります。

少子化問題とは、子供の数の減少ではなく、経済全体の生産性を考える問題であると改めて言うことができると思われます。

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参考文献

飯島&横山. (2018). 日本における少子化の社会経済的要因と政策. 日衛誌, 73, 305-312.

鈴木&田辺. (2016). 世界各国の出生率の社会経済要因の分析. 現代社会研究, 14, 11-17.

吉川&安藤(2019). 人口減少、産業構造の変化と経済成長. RIETI Discussion Paper Series 19-J-033.

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