・器の大きな上司になりたい。
・心が広いと何か意味あるの?
寛大で心が広い人間は人を惹きつけます。
器の大きな上司についていきたくなりますし、心の広い恋人といると落ち着きます。
一方で、他人のことを考えない器の小さな人もいます。
自分中心で考えてしまうのですね。
確かに自分中心で考える方が得する時はあります。
しかし、心理学的には得られるものは、短期的で小さなその場の恩恵のみです。
長期的で大きな恩恵を得るには寛大な心が必要です。
そこで今回は、心の広い人について心理学的に考察します。
寛大な心を持つ器の大きい人は、様々な恩恵が得られます。
社会的地位・幸せなどなど。
そして、人はどのような状況下で寛大にふるまうのかについてもご紹介します。
本記事を読んで寛大な人間になってみませんか?
本記事では以下のことが学べます。
2. 寛大な人間になるとどのような恩恵が得られるのか?
3. 寛大で器の大きな人になるにはどうしたらいいのか?
4. どのような状況だと人は寛大に行動するのか?
5. 寛大な心はいつ頃から芽生えるのか?
- 目次
- ①寛大で器の大きな大人は、会社での評価も高く、生産性も高い:寛大さの経営学
- ②人はどのような状況で寛大に行動するようになるのか?寛大さの心理学
- ③寛大で心が広い人が受ける恩恵の数々:寛大さの日常生活学
- ④まとめ
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①寛大で器の大きな大人は、会社での評価も高く、生産性も高い:寛大さの経営学
早速ですが、寛大な心とはなんでしょうか?
寛大な心・器の大きな人・心の広い人
実は心理学では、「良い物事を自由に豊富に与える人」のことを指します。
例えば、チームのために自分のお金を使ってお土産や差し入れを買ってきたり、部下のためにどーんとおごったりすることなどです。
心理学では、「施しができる」という意味合いが強いです。
では、そのような寛大な心の持ち主は社会でどう見られるのか?
Flynn (2003)はそれを突き止めました。
とある企業に質問紙調査を行い、どれくらい恩恵を与えているのかを特定して、その人の社会的地位や生産性の高さなど、会社の貢献に影響するのかを調べました。
すると結果が以下の図です。
この図は、寛大な心を持つ人ほど社会的地位が高いことを示しています。
■が寛大で器の大きい人人
♦が器の小さい人です。
縦軸は社会的地位の高さを示しています。
とりあえず、横軸は無視で結構です。
この図より、器の大きな大人の方が器が小さい大人よりも社会的地位が高く、会社での評価も良いことが分かります。
では、寛大な心と会社への貢献度についてはどうでしょうか?
それが以下の図です。
この図は、寛大な心と生産性との関係性を示しています。
マークは先ほどと同じ。
縦軸が生産性になっています。
横軸はそれほど重要ではないので無視で結構です。
すると、先ほどと同じように、寛大で器の大きい人の方が器の小さい人よりも生産性が高いことが分かります。
しかし、重要なのがグラフが曲線を描いていること。
これは、施しを与えすぎると逆に生産性が低くなることを示しています。
つまり、寛大である方がいいのですが、ほどほどにということです。
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②人はどのような状況で寛大に行動するようになるのか?寛大さの心理学
世の中には、自己中心的に行動する器の小さい方がいます。
でも、心理学はそのような方でも寛大にふるまうようになる状況を教えてくれます。
人の目があると人間は寛大にふるまう。
最初は物理的な問題です。
人の目があると人間は寛大な行動をしやすくなります。
Haley & Fessler (2005)は、人の目の形をしたマークをコンピューター画面に映して、人に施しを与えるゲームを行わせました。
すると結果が以下のようになりました。
縦軸が、施しをどのくらい与えるのかを示しています。
横軸が条件です。
EyespotsとSkewedと書かれたところが人の目のマークがある時の条件です。
Silentは無視してください。
すると、右の三つの条件では、他の条件と比べて多くの施しを与えています。
つまり、人の目(マークでもよい)があると人は寛大になるのです。
自己中な人には目を向けるといいかもしれません。
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モラルを考えると人間は寛大にふるまう。
次は、モラルや道徳など人に関係することを考えさせると寛大にふるまうようになります。
Hauge (2016)は、人に施しを与えるゲームを被験者にさせました。
その時、以下の教示を行いました。
a) 何かを与えることはモラル的に良いことだとあなたのパートナーは思っています(モラル条件)
b) 人は平均していくらか与えることをパートナーは思っています(コントロール条件)
このように実験参加者に言って、実験を行いました。
その結果が以下の図です。
この図は、どれくらいの割合の人がどれくらいの施しを与えたのかを示しています。
縦軸が割合。
横軸が、施すお金の金額です。
点線がモラル条件。
実践がコントロール条件です。
すると、コントロール条件では、施しを与える金額がバラバラです。
しかし、モラル条件では、施しを与えられる最高額が60のところの割合が多いです。
逆に、60以下の割合が約20%という低さ。
これはかなり寛大な行動だと思われます。
器の小さい方は、モラル的に考える視点がないのかもしれません。
ちなみに、他人に噂される状況だと寛大な行動を取るようになるという研究もあります(Wu et al., 2016)。
なので、いずれの研究でも、人の存在を感じたり人を慮れるかが寛大な心に繋がると思われます。
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③寛大で心が広い人が受ける恩恵の数々:寛大さの日常生活学
寛大な心は、社会的恩恵だけではなく、私的な恩恵にもつながります。
寛大で器の大きい人は結婚生活が上手く行きやすい
Dew &Wilcox (2013)は、寛大な心と結婚生活の質について調査しました。
すると以下のような結果になりました。
図の縦軸の上の欄が、パートナーが自分に対する寛大さ。
下の欄が、自分のパートナーに対する寛大さです。
横軸の欄は、左が、結婚生活の満足度。
真中が、結婚生活上のいざこざ。
左が、自分が思う離婚する確率です。
すると、自分もパートナーの寛大さも大体同じ傾向を示します。
寛大な心があれば、結婚生活の満足度も高く、いざこざが少なく、離婚確立も低いのです。
結婚は忍耐ではなく、寛大さかもしれません。
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寛大で心が広い人は幸せをより感じる。
結婚生活の満足度もそうですが、寛大さは幸せにつながります。
Park et al. (2017)は、実験参加者に施しの経験をさせて、寛大さと幸せの関係性を調べました。
具体的には、二つの条件を設けています。
a) 100フラン与えて自分のために使う条件(コントロール条件)
b) 100フラン与えて他人のために使う条件(実験条件)
その後、相手に施しを与えるゲームを行わせました。
実験結果は以下のようになりました。
まず、bの図は、どれくらいのお金を施すのかを示しています。
縦軸が、施した割合。
青がコントロール条件
赤が実験条件です。
すると、実験条件の方がよりたくさんのお金を相手に与えています。
次に、cの図は、幸福度を測る質問紙の結果です。
縦軸が幸福度です。
すると、コントロール条件ではマイナスになっているのに、実験条件では幸福度がプラスになっています。
つまり、他人のためにお金を使った人は幸福度が高いのです。
実はその時の脳活動も計測しています。
図の赤いところが活性化した脳領域で、側頭頭頂葉結合領域(TPJ)と呼ばれる部位です。
右側のグラフは、脳活動の活動量を示しています。
幸福度と似たグラフになっていますね。
もちろん実験群の方が活動が高くなっています。
しかし、このことが何を表すのかは、まだわかりません。
今後の研究しだいになります。
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寛大な心の発達過程
最後に、寛大な器の大きい心はいつ芽生えて大きくなるのでしょうか?
実は、この研究はかなり古くからあります私が探したので1975年の研究がありました(Rushton et al., 1975)。
しかし、比較的最近の研究で分かりやすいのが、Cowell et al.(2016)の研究です。
彼らは世界五か国、5~12歳の子供を対象に、寛大さを測る施しゲームをしました。
その結果が以下の図です。
縦軸が施しをどれくらい与えるかという寛大さの指標。
横軸が年齢を表しています。
線グラフの色が各国ごとの違いです。
全体的に見ると、年齢とともに寛大さが大きくなることがわかります。
さらに文化差もありますが、あまり重要ではありません。
つまり、子供の発達研究から、寛大な心は5歳からあり、成長するにつれてその心が芽生えてくると考えられます。
他人の意図や考えを予測する「心の理論」という能力の発達が大体5歳くらいからと言われています。
なので、上記の研究と照らし合わせると、他人のことを考えることが寛大な行動につながると言えます。
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④まとめ
以上より、寛大で器の大きいことについて見てきました。
まとめると以下のようになります。
- 寛大な心を持つ人は、社会的地位と生産性が高い
- 他人の目があると寛大な行動をしやすい。
- モラルを想定すると寛大な行動をしやすい。
- 寛大な人は結婚生活が上手く行きやすい。
- 寛大な人は幸せを感じやすい。
- 寛大な心は5歳ころからだんだん発達する。
結局、全ての研究を考慮すると、他人を慮ることが寛大な行動につながるのかなと思います。
利己的ではなく、利他の精神がどれだけ強いかとも言い換えられるかもしれません。
寛大であれば、様々な恩恵が得られます。
幸せになるためにも、他人に何かを与える精神を持っていたいものです。
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参考文献
Cowell et al. (2016).The development of generosity and moral cognition across five cultures. Developmental Science, 1-12.
Dew & Wilcox (2013). Generosity and the Maintenance of Marital Quality. Journal of Marriage and Family, 75, 1218-1228.
Flynn (2003). HOW MUCH SHOULD I GIVE AND HOW OFTEN? THE EFFECTS OF GENEROSITY AND FREQUENCY OF FAVOR EXCHANGE ON SOCIAL STATUS AND PRODUCTIVITY. Academy of Management Journal, 46(5), 539-553.
Haley & Fessler (2005). Nobody's watching? Subtle cues affect generosity in an anonymous economic game. Evolution and Human Behavior, 26, 245-256.
Hauge (2016). Generosity and guilt: The role of beliefs and moral standards of others. journal of economic psychology, 54, 35-43.
Park et al. (2017). A neural link between generosity and happiness. Nature Communications, 8:15964.
Rushton (1975). Generosity in Children: Immediate and Long-Term Effects of Modeling, Preaching, and Moral Judgement. Journal of Personality and Social Psychology, 31(3), 459-466.
Wu et al. (2016). Reputation management: Why and how gossip enhances generosity. Evolution and Human Behavior, 37, 193-201.
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