・レビュー情報をもとにして買い物してます。
・ネットショッピングのレビューってそんなに大事なの?
インターネットの登場によりネットショッピングや通販が飛躍的に延びています。
ネットショッピングサイトのサービスが充実し、実店舗よりもネットショッピングを利用するという方も多いのではないでしょうか?
実店舗でほしい商品を見て、ネットで購入するという方もいるとか・・・。
ネットショッピングサイトで私たちが気にするのが、実際に商品を買った人の声です。
つまり、レビュー情報。
ほしい商品や似た商品で迷っている時に、レビュー情報を参考にして買う方も多いはずです。
しかし、最近ニュースになっているように、レビュー情報は偽造されていることもあります。
中には、企業からお金を貰ってレビューを書くバイトもあるとか。
そこまでしてレビューを書かせるということは、レビュー情報は商品の売り上げにつながるということなのでしょうか?
そして、もし売り上げにつながっているのなら、どのような要因が作用して購入に関係しているのでしょうか?
本記事ではネットショッピングや通販でよく目にするレビュー情報について経営学の知見を参考にして考えます。
スポンサーリンク
①ネットショッピングを選ぶ理由
そもそも僕らが実店舗よりもネットで商品を購入するのはなぜでしょうか?
この疑問に真正面から取り組んだのがReibstein(2002)です。
Reibstein(2002)は、ネットショッピングで商品を購入した人に、なぜネットショッピングを利用したのかをランキング形式で理由を尋ねました。
その結果が、下の図です。
図のように、圧倒的に一位を獲得している理由は、「Product Price」、つまり値段や価格。
ネットショッピングの方が実店舗よりも安ければネットを選ぶというごく当たり前な結果です。
しかし、ここで重要なのは、ネットショッピングを同じサイトで行うのかという点です。
つまり、あるネットショッピングサイトや通販サイトで商品を購入した後に、またそのサイトを使う人にも理由を尋ねています。
それが下図です。
この図のように、一見さんではなく何度も同じサイトで商品を購入するリピーターは、サポート体制と配達時間を気にしていることがわかります。
ズバリ、リピーターが同じサイトを利用する理由の一位と二位は圧倒的に、そのサイトのサポートが充実しているかという点と、時間通りに配達してくれるかという点なのです。
この結果は、商品情報の提示の仕方やオーダーのしやすさを抜いてダントツです。
しかも、価格・値段であるPriceが最下位にランクインしています。
一見さんとリピーターではオンラインショッピングの戦略が異なるということです。
オンラインショッピングを選ぶ理由としては、値段が最優先ですが、リピーターを増やすにはそのサイトのサポート体制と配達時間が重要になるのです。
スポンサーリンク
②ネットショッピングサイトのレビュー情報
では、本題であるレビュー情報を消費者はどれくらい重要視しているのでしょうか?
まずは、Huang & Chen (2006)の研究を見てみましょう。
彼らはオンラインショッピング時の消費者の購買行動を集団という視点から研究しています。
たとえば、下の図のように、より多く購入されている商品を消費者は選ぶ傾向がある。
この図は、数字が購入量を表しており、二つの商品のどちらを購入したいのかを実験参加者に選ばせた結果です。
Meanの欄の数字が低くなると左側の商品を、数字が高くなると右側の商品を購入するという傾向を示しています。
この図から、5000と5000の同じ購入量の時よりも、8000と2000の時の方がより購入量の多い商品をネットショッピングの消費者は選ぶ傾向があることがわかります。
この研究を応用して、Huang & Chen (2006)は肯定的なレビューと否定的なレビューの多さを操作して、レビュー情報が商品購入にどういう影響を与えるのかを調べました。
その結果が下図です。
図の見方は同様。
すなわち、肯定的な(positive)なレビューが多い方が否定的な(negative)なレビューが多い方よりもより商品を購入するという傾向が見られます。
レビュー情報の肯否が半々の時よりも、肯定的なレビュー情報が多い商品が選ばれます。
つまり、レビュー情報は、ネットショッピング利用者にとってかなり商品の購入に影響していると言えます。
彼らの研究は、これだけではない。
さらに、このレビュー情報が専門家の意見かそれとも消費者の意見かで商品の購入に影響が見られるかということも実験しています。
その結果が下図です。
この図のように、専門家(Expert)よりも消費者(Consumer)のレビュー情報の方が、より選ばれるという結果がでています。
つまり、専門家の意見ではなく消費者の意見の方がより重視されるということです。
理由は、信頼性(Trustworthiness)が専門家よりも高く、実際に商品を購入した人の意見の方が重宝されるということです。
スポンサーリンク
③どのような商品でもレビュー情報は効果的なのか?
最後に、なんでもかんでもレビュー情報が消費者の商品購入に影響を与えるのかかを調べた研究を紹介します。
それが、Zhu & Zhang (2010)の研究です。
彼らは、プレイステーション2とXboxのゲーム購入履歴とレビュー情報を分析しました。
すると、レビュー数が商品の購入に関係していることを発見しました。
この結果は、実際の購入量とレビュー数が関係していることを考慮すると②で紹介した研究と整合的です。
多くの人が購入している商品は、人気があり、より消費者もその商品を購入するようになるということです。
しかし、重要なのはここからで、ゲームのタイプで人気のものとあまり人気のないものとで分けて分析したところ、結果が少し異なるというのです。
それが、下図です。
この図は、アスタリスクがついていると関係性があるということを示しています。
人気のある商品(Popular)は、レビュー数のみが関係していますが、あまり人気のない商品(Less Popular)は、レビュー数以外の情報とも関係していることが読みとれます。
例えば、値段(Price)など。
つまり、一般的にネットショッピングで商品を購入するときは、レビューの評価値ではなくレビュー数が重要なのですが、あまり人気がない商品はレビュー数以外の情報も重要になってくるということ。
この結果は、企業戦略にもかかわってくるかもしれません。
スポンサーリンク
④まとめ
以上より、ネットショッピングサイトや通販サイトでのレビュー情報は、大いに我々の消費行動に影響を与えると言えます。
特に、③の結果は、商品の特性によってレビュー情報の扱われ方が異なることを示しており、興味深いと思います。
消費者としては、やはりレビュー情報はありがたいものです。
これは、サイト運営者や出店企業さんにもありがたい情報です。
レビュー情報の偽造は、消費者と企業さんのwin-winな関係を壊す、絶対によくない行動だと思われます。
心理学・神経科学(脳科学)・精神医学の発展のために寄付をお願いいたします。
Please donate for the development of Psychology, Neuroscience, and Psychiatry
参考文献
Huang & Chen (2006).Herding in Online Product Choice. Psychology & Marketing, 23(5), 413-428.
Reibstein (2002). What Attracts Customers to Online Stores, and What Keeps Them Coming Back? Journal of the Academy of Marketing Science, 30(4), 465-473.
Zhu & Zhang (2010). Impact of Online Consumer Reviews on Sales: The Moderating Role of Product and Consumer Characteristics. Journal of Marketing, 74,133-148.
スポンサーリンク