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心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 記事/Article

2024/3/28

先生との仲の良さが生徒の学校の成績や生活態度に影響する!?

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不眠症の症状と特徴

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2024/3/7

あなたは何個当てはまる? 不眠症になりやすい人の心理学的特徴

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2024/2/11

仕事と家族: どっちを優先すれば幸福度が高いか?心理学のアドバイス

・仕事が第一優先だ! ・家族が最優先だ! ・仕事と家族のどっちが大切なの? 社会人は、仕事と家族の両立が求められます。 しかし、なかなか両立することは難しいです。 身近な例だと、家族を優先して育休を取得したのに、育休明けに左遷されたなんて話もあります。 では、仕事と家族のどちらを優先すれば幸福度や生活の質が高くなるのでしょうか? そんな衝撃的な心理学の研究を解説しています。 ぜひご覧いただいて、ご自身の参考にしてみてください! スポンサーリンク

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日本語 論文/Paper

「研究クラウド制度」の提唱

 

  1. 経済発展と研究開発(R&D)

研究開発は、持続的経済発展の要である。Solow(1959)の研究を皮切りに、研究開発がGDPや生産性などの経済成長に肯定的な影響を与えることは明らかにされている(Mankiw, 1995; 森川, 2013)。経済成長の研究を総括し考察した論文においては研究開発とGDP及び生産性との関係性は頑健な知見とまで主張されている(Barro and Sala-i-Martin, 1995; King, 2004; 森川, 2013)。そして、内的経済成長論の知見より、研究開発は政府が金融や財政や設備に投資するよりも経済成長に大きく影響することも指摘されている。

他方、教育などによる人的資本も経済成長に影響を与えることは数多く報告されており、研究開発と同様に重要な要因として見なされている(Lucus, 1988)。ただし、人的資本の増加のみではそれほど経済成長への影響は大きくなく、研究開発につながるインフラストラクチャーの設立などにより研究開発の結果が反映されやすい環境下で人的資本の効果も生じやすくなる(Hall and Jones, 1999;児玉, 2002)。

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  1. 日本の研究力の低下

しかし、近年において日本の研究力が著しく低下していることが指摘されている。昨年の2017年にNature誌で日本の研究力の低下問題が特集されるほど事態は深刻であると思われる(Fuyuno,2017)。

実際に、GDP比に対する科学研究費の割合は他国と比較して高いが(OECD, 2018)、Fuyuno(2017)によると、日本人研究者による論文数は過去と比べて減少しており、「量」的面において研究力が低下していることは明らかである。また、被引用論文のトップ10%論文やトップ1%論文で日本人論文が占める割合が低下してきており、さらに全体の日本人論文の被引用数自体も低下していることから、研究の「質」的面においても研究力の低下は指摘されている(Fuyuno, 2017; 科学技術・学術政策研究所, 2016)。

上記のように「量」と「質」の両方においても日本の研究力が低下している。このような状況下で、年々科学研究費を減額させている政府の方針は、研究力低下に拍車をかけていると思われる。この状況では、新製品の開発やイノベーションの促進を掲げている政府方針と矛盾しており、イノベーションを生み出すことを妨げている。

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  1. ポスドク問題と研究費の配分問題

さらに、日本の科学研究力の低下を巡る問題は、研究力低下それ自体だけではない。以下では、深刻であるが、解決できれば大きな経済的恩恵が得られる「ポスドク問題」と「科学研究費の配分問題」の二つの問題について概観する。

Ⅰ) ポスドク問題

科学技術・学術政策研究所(2018)の調査によると、博士号取得者のおよそ7割以上が任期付きの雇用形態であり、将来が不安定な状態で研究活動を行っている。昨年Nature誌の発表により、博士号取得者の将来不安は日本だけではなく世界的に生じている問題であることが示唆された(Woolston, 2017)。博士号取得者の先行き不安の問題を以下では「ポスドク問題」とする。

科学技術・学術政策研究所(2018)の調査によると、任期期限の多くが三年である。さらに、科学技術・学術政策研究所(2016)から、短期的で成果が確実に出る研究が重視されるようになり、探索的な研究や開拓的な研究を行えない状況下であり、短期的に成果の出る研究を余儀なくされ、自分のやりたい研究ができないと不満を抱えている研究者が多いことが推測されている。そのため、研究者は、革新的で独創的なイノベーションにつながるような研究が行いにくい環境下にあるといえる。

この問題を解決するために、各大学で様々取り組みが行われているが、問題解消の目処は全くたっておらず、任期期限を気にせずに研究ができる新たな抜本的な環境や制度の必要性が高まっている。

Ⅱ) 科学研究費の配分問題

他方、GDP比に対して研究費がOECD諸国の中で比較的上位に位置するほどであるのに、日本の研究成果が伴わない理由の一つとして、科学研究費の配分問題が背景にあると考えられる。古くは1960年代末の報告で、研究費の偏りと浪費が以前から指摘されていた(谷川, 1969)。そして、科学技術振興機構研究開発研究センター(2014)の調査により、研究費の配分が有力な国立大学に大きく偏在していることを統計調査で示された。また、同報告書の中で、莫大な研究費を配当されているのに対して研究成果が配当分ほど伴っていないことが示唆されている。その原因としては、多額の研究費を取得したものの、報告書の作成等に追われて研究に時間が割けていないことが挙げられている(科学技術振興機構研究開発研究センター, 2014)。実際に、研究費が多い研究者だけではなく、日本では全体的に研究者が研究に割り当てる時間の配分が近年で減少していることが報告されている(科学技術・学術政策研究所, 2016)。そのため、研究費を有効に活用できていないことが、研究費の多さに対して研究成果が伴わない原因の一つと考えられる。

日本では、有力な国立大学以外の研究費の割合が極端に少なく、研究だけではなく大学教育自体にも影響が及んでいる大学も存在しているほどである(科学技術振興機構研究開発戦略センター, 2014)。

そのため、研究費の偏りを無くし研究に割り当てる時間の確保ができるように、研究費の再配分を行えるようにするか共同研究などの方法で他の研究者に研究費を分散させることで過剰分の研究費を配分できるような新制度の確立が求められる。

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  1. 共同研究という解決方法

日本は諸外国に比較して特に海外との共同研究数が少ないことが指摘されている(科学技術・学術政策研究所, 2016)。Becker and Dietz(2004)によると共同研究は質の高い研究成果を生み出しやすく、他分野との共同により新しい研究も生まれる。共同研究の成果は学術的にも影響力が強く、またイノベーションや経済成長につながりやすい発見や発明が生まれるということも報告されている(Becker and Dietz, 2004)。

このことを考慮すると、前章で述べた研究費の再配分を行うよりも、共同研究という形で多額の科学研究費をポストドクターや研究資金の足りない有望な研究をしている研究者に分散する方が現実的である。また指摘されていた報告書の作成なども共同研究では共同研究者の数により分散させることも可能である。そのため、資金提供者の書類作成の負担軽減にもつながり、研究への割り当て時間を増やすことができる。

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  1. 議論のまとめと問題点

以上からこれまでの議論を以下の五点にまとめることができる。

  • 将来の日本経済の持続的発展とイノベーションの促進の為には、研究開発に力を入れるべきである。しかし、研究費は減少傾向である。
  • 現状では、日本の研究力は量・質ともに低下しており、さらに短期的で成果の出やすい研究が増えている。この問題点に対する有効な解決策は未だに方針すら立っていない状態である。
  • ポスドク問題のように、博士号を取得した高度な教育を受けた価値の高い人的資本を生かせず、将来の不安の為に博士号取得者は満足に研究ができていない状況である。この博士号取得者という高い人的資本を生かし、さらに博士号取得者が研究に集中できるような環境や制度が必要とされる。
  • GDP比において諸外国より多額の研究費を投じているにも関わらず、研究成果が伴わない点である。原因としては、研究費の偏在と研究へ割り当てられる時間の減少が指摘される。
  • 研究者が上記の問題から、自分の思い通りの研究ができない。そのため、研究者が新しい研究に挑戦したり、革新的研究に取り組むことが困難な状況であることが考えられる。

これまでの議論を考慮すると、「日本の研究力向上の一手段として共同研究を促進する制度の構築」「配分に偏りのある多額の研究費を共同研究の形で分散できる制度」「期限を気にせずに研究に集中できる研究環境や研究制度の樹立」の三点を満たすシステムの構築が必要となる。そこで、本論文では、この三点を満たすシステムの一案として「研究クラウド制度」を提唱する。

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  1. 研究クラウド制度

Ⅰ) 概要

本論文で提唱する制度は、クラウドファンディングのシステムを学術的な研究開発に応用し、共同研究の促進、研究費の個人的獲得、そして研究者間ネットワークの拡大を目指す制度である。これらのことが達成されると、5章で提示した問題を解消できると考えられる。

クラウドファンディングとは、Schwienbacher and Larralde(2010)の定義から導出されたMollick(2014)の定義によると「企業家個人やグループが、金融仲介業者を介さずに、インターネットを使用して比較的多数の人々から比較的少数の金額を拠り所として、ベンチャーを立ち上げる資金を調達する方法(筆者訳)」である。この定義の「企業家個人やグループ」を研究者に代え、資金提供者に研究者を加えた形が「研究クラウド制度」である。

研究クラウド制度を定義すると、「政府や国の科学研究費以外の方法で、インターネット等を介して、不特定多数の個人や企業・法人から研究資金を調達する方法や制度」となる。図1に研究クラウド制度の概要図を示している。現在日本では、研究開発に特化したクラウドファンディングは、筆者の知る限りでは柴藤(2015)の報告による「academist」のみだと思われる。

図1を元に研究クラウド制度の説明を行う。まず、研究者に対して三つのタイプの資金提供者が存在する。第一は、他の研究者であり、自身の研究費を共同研究という形で共有し、支援を受ける研究者の研究を補助あるいは共同研究として支援を行う。第二は、企業・法人であり、共同研究により産官学連携の新たな形が生まれる。最後は、不特定多数の支援者であり、従来のクラウドファンディングと同様に個人から資金提供を受けることである。

 

Ⅱ) 方法

詳細な方法としては、まず研究資金を必要とする研究者が自分の名前と研究計画の概要をクラウドファンディングサイトに載せることで始まる。受け取り資金には、共同研究者用(研究者のみ使用可能)と個人用(企業・法人格および不特定多数の出資者が使用可能)の二つの欄が設けられる。もし、ある研究者Aが研究資金を必要としている研究者Bが記載した研究計画に興味を持ち、研究者Aが研究者Bにサイトを通してコンタクトをとる。当人の話し合いにより共同研究が成立した場合は、個人用の資金欄の金額に関わらず優先して研究者Aの研究費を共有することになる。他方、共同研究が成立するよりも前に、個人用資金欄が研究者が提示する目標金額に到達した場合は、その金額を元手にして研究者が研究活動を行うことができる。

個人用資金欄には「寄付型」と「報酬型」の二つの方法がある。両方とも、資金提供を受けた研究者は、研究終了時に残余金額を返済する義務は生じないが、その金額を個人として使用することはできないとする。基本的に残余金額は、それを元に新たに自分の他の研究に割り当てるか他の研究者との共同研究のために使用できる。その方法以外では、出資者に出資金額割合に応じて残余金を返金できるものとする。

寄付型と報酬型は基本的には同じであるが、報酬型の出資者には、研究終了後に研究成果という「知識」あるいは研究開発した製品や商品などを報酬として受け取ることができる。

以上から、資金提供を必要とする研究者が行う一連の流れとしては、「①研究概要の記載②共同研究者を待つかあるいは出資金額が目標金額に到達するまで待機する③研究活動を行う(④成果報告)」という三段階になる。なお、「④成果報告」は報酬型の出資者がいた場合に行わなければならない。共同研究以外では、基本的に報告書作成の義務はなく、研究に時間を割り当てやすくなる。他方、共同研究という形で、競争的科学研究資金が得られず、従来なら研究できない研究者が研究の機会を得ることができる。また、個人欄の出資金を利用すれば、自分の思い通りの研究や挑戦的な研究も行いやすくなる。そのため、研究者は研究失敗によるリスクが比較的少なく、革新的な研究を行いやすくなると考えられる。

以上が研究クラウド制度の基本システムである。基本的には従来のクラウドファンディングを踏襲する形になる。本制度により、共同研究の促進、偏りのある研究費を共同研究の形で分散、期限を気にせずに研究に集中できる研究環境や研究制度の樹立の三つをある程度実現することができる。

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  1. 本制度の有用性と問題点

Ⅰ) 有用性

有用性の第一の点は、共同研究の促進が挙げられる。学問上の異分野間の統合を行うことができ、これまでにない新たな研究や革新的な研究が生まれやすくなる。そのため、新製品の開発や病因解明のみならず、本制度の導入によりイノベーションの促進にも大きく貢献しうる。また、研究の質の向上も期待することもできる。

第二点目は、有力な国立大学に偏在していた研究費を共同研究という形で他の研究者に分散することができる。研究費の分散により、研究者は報告書の作成などの研究活動以外に時間を割く割合が少なくなり、研究活動に集中しやすくなる。他方、研究資金が不足している研究者にも共同研究という形で研究の継続を可能にする。その結果、日本全体の研究数の増加も見込め、研究費をより有効に活用できるようになる。

第三点目は、ポスドク問題解消の一案に本制度はなりうることである。たとえ任期雇用であっても、本制度で研究資金を集めることができれば、短期的で結果がすぐに出る研究ではなく、長期的で挑戦的な研究を行うことが可能になる。また、競争的研究資金以外の方法で研究ができるということ自体が重要な点である。というのも、国の科学研究費に研究が採択されなくても、別の方法で研究ができるという手段の増加により、研究者の不安が軽減されるからである。本制度を利用した国の科学研究費以外での研究により、業績を積むことが可能となり、より安定した研究職に就職する可能性が高まる。ポスドク問題の根本的な解決には至らないが、本制度の導入により、将来不安はある程度解消することができると考えられる。

第四点目は、失敗も想定されるような挑戦的な研究ができるという点である。研究資金の関係で本来望んでいた研究ができないと不満を漏らす研究者は数多くいる。本制度は基本的には見返りを求めない寄付型や報酬型の研究開発に特化したクラウドファンディングであり、集めた資金を研究者のやりたい研究や失敗の可能性もある挑戦的な研究や革新的な研究に費やすことができる。その結果、新製品や新技術の開発を促進し、イノベーションの創出にもつながる。

第五点目は、研究者間ネットワークの拡大を促進する効果が期待される。研究者は自分の専門分野以外では、他にどのような研究があるかも知らない状態である。また、同じような専門分野の研究者と知り合う機会も、基本的には学会やシンポジウムなど限定的である。そのため、本制度は、研究者が現在どのような研究分野があるのかを知る一つの手段として使用することも可能であり、共同研究に至らなくても個人的にコンタクトがとりやすくなる。結果として研究者間コミュニティの新たな創出が可能であり、研究者同士の意見交換が活発化すれば、新たな研究領域の開拓にもつながる。

 

Ⅱ) 問題点

以上のように本制度の有用性は高いが、依然として問題点がいくつか考えられる。税所(2016)がクラウドソーシングで生じうる問題点を挙げており、本制度も同様の問題が生じると考えられる。そのため、税所(2016)に則して問題点の考察を行う。

まず一点目は、情報セキュリティの問題である。税所(2016)によると、ノウハウなどの知り得た情報や個人情報の取り扱いについての問題点である。本制度でも同様に、研究計画あるいは研究が盗用される可能性が生じる。しかし、この問題は本制度に限らず、競争的研究資金の場合でも起こりえる問題である。競争的研究資金の場合は日本学術振興会等が研究計画を公開していることを考慮すると、従来と同様にそれほど憂慮する問題ではないと考えられる。また、研究計画の記載日等を明記していれば、たとえ研究の盗用が発覚した場合でも、十分対処することは可能である。

次に、研究者が本制度で研究資金を得た後に、研究が速やかに遂行されるかどうかという問題がある。この問題に関しても以下の二点の理由からそれほど大きな問題ではないと考えられる。一つ目の理由として、科学や研究開発の世界では、研究者に先主権があるため、研究者はできるだけ早く研究をし、成果を残そうとするのが基本である。開発の場合においても同様に、特許取得のために、速やかに開発が行われると予想される。そして二つ目の理由として、本制度を利用する場合は、有用性のところでも指摘した通り、自分の希望する研究のために資金を利用したり、競争的科学研究資金では行いにくい革新的で挑戦的な研究を行う為に集めた資金を利用する場合が多いため、研究者本人のモチベーションも高く維持されると考えられる。この二点より、大半の研究は速やかに遂行されると予想される。もし研究が行われなかった場合、本制度では名前の記載を義務づけているため、名声のためにも研究を遂行せざるを得ない状況であるとも解釈できる。実際に、柴藤(2015)の報告では、研究開発に特化したクラウドファンディングによる成功例を複数挙げている。そのため、実際に、研究の失敗というリスクはあるものの、研究が実施されずに滞る可能性は低い。

以上より主に二点の問題点が挙げられるが、解消できる可能性は高い。さらに、問題点を考慮しても本制度の有用性の方が高いと考えられるので、研究クラウド制度は導入すべきである。

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  1. 結び

以上より本論文では「研究クラウド制度」の提唱を行った。量・質ともに研究力が下がっている日本において、本制度は研究力向上に貢献することができる。また本制度は、ポスドク問題や研究費の偏りなどの問題解決の糸口にもなる。そして、本制度の導入により、共同研究や日本全体の研究が活発化すれば、イノベーションを引き起こすような研究開発につながり、日本の持続的な経済発展にも貢献しうる。本論文が「科学大国日本」の地位を押し上げる契機になれば幸いである。

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参考文献

 

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Fuyuno Ichiko, 2017, What price will science pay for austerity?, Nature, 543, S10–S15.

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