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日本の政府統計からみる雇用情勢について:正規非正規や失業・転職理由などの現在

・コロナ禍で雇用環境が大きく変化しているのか?

・非正規雇用の割合は増えているのか?

・転職者が最近では増えているのか?

最近、日本でも転職のハードルが下がりつつあります

なので、大学四年生や人事だけではなく、普通のサラリーマンも雇用情勢は気になるところです。

そんな矢先に新型コロナウイルスが日本を襲いました。

その影響でニュース等のメディアでは、雇用情勢の悪化が報道されています

では、現在の雇用情勢はどうなっているのでしょうか?

政府統計を見ると分かるのですが、なかなか時間がなく見ることができない方もいます。

また、いざ政府統計を見ても難しくて理解できないことも多々あります。

個々ばらばらの情報が羅列されており、全体を把握するのは時間と労力をかけないといけません。

なので、本記事では、総務省の「労働力調査」と厚生労働省の「雇用動向調査」を参照しつつ、現在の雇用情勢を紹介します。

本記事では以下のことが学べます。

1. 現在の日本の雇用情勢の真実

2. 男性ではなく、女性の動向こそ注意が必要

3. コロナ禍による転職・失業等の推移

4. なぜ転職をしようとするのか?

5. 日本以外の国との雇用情勢の比較

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①総務省の「労働力調査」からわかる雇用情勢の外観

本記事のデータを読み解く時の注意点!

まずお伝えしておくことは、調査の絶対数も重要ですが、もっと重要なのが、グラフのパターンだということです。

理由は、

1. 絶対数だと労働人口全体総数によって解釈が変わるから

2. 調査の種類や定義によって、絶対数が変化するから

の二つの理由からです。

グラフのパターンというのは、棒グラフの上下のような動きの傾向のことです。

例えば、上昇傾向や下降傾向、増加傾向や減少傾向などを指します。

そうではないと、雇用情勢全体は見えなくなります。

対局を掴むにはある程度、情報を捨象する必要があります。

注意点としては以上です。

では、これから雇用情勢についてお話します。

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労働力人口の推移から見る働ける人の動向

最初は、雇用情勢の一番の大枠からです。

labor power

この図は、労働力人口の推移を表しています。

労働力人口とは、「就業者」と「完全失業者」を合わせた指標です。

つまり、現在働いている人と現在働きたいけど仕事に就いていない人の合計のことなので、働ける人の数を示しています。

上図は男女合わせた働ける人の数です。

図より、ここ十年では働ける人が増えている傾向にあることがわかります。

2010年度の前年比がマイナスになっていますので、おそらくリーマンショック時よりも2011~2012年の方が少なくなっています。

そこから現在まで働ける人の人口は増加し続けています。

しかし、2020年のコロナで少し減っているのが今の状況です。

下図の左が男性で、右が女性の労働力人口を表しています。

性でも女性でも少し減って増加するというパターンを示していますが、男性の方がなだらかです。

なので、ここ十年では、男性は女性ほど労働力人口の変化は大きくないと言えます。

一方、女性では、ほぼずっと増加しています。

それも、2020年ではコロナで減ったとはいえ、ここ十年では一番多い状態です。

男性と女性の労働力人口のグラフから言えることは、以下2点です

1. 働ける人は年々増加傾向にある。

2. この増加傾向は女性の労働力人口の増加が大きく影響している可能性が高い。

最近の女性の労働市場の活性化と関係するかもしれません。

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就業者の推移から見る実際に働いている人の動向

次に、実際に働いている人はどうなのか?

それが以下の図です。

labor number

この図を見ていると、先ほどの労働力人口(働ける人)と同じ傾向であることがわかります。

コロナで若干減ったものの、減少幅はそれほど大きくなく、むしろ増加傾向です。

さらに、この図でも男性の就業者数はほぼ横ばいであることがわかります。

逆に、女性では増加傾向であり、全体的に女性の動向が大きく影響していることがわかります。

就業者数も労働力人口と同様だと思われます。

また、数ではなく、就業率を見てみると各年代との比較がしやすくなります。

labor rate

この図が就業率の推移で、男女合わせた黒の折れ線はほぼ横ばいです。

ほぼ横ばいながらも、若干増加傾向と言えると思います。

青の男性ではほぼ横ばいで、赤の女性では増加幅が大きいように見えます。

コロナで0.数%の減少は見られますが、2010年代よりも低いことはありません。

この図からも女性の社会進出の影響が大きく出ていると思われます。

それでも、女性の就業率は50%強なので女性の就労支援はまだまだ改善の余地がありそうです。

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完全失業者(率)の推移から見る、働けるけど働仕事に就いていない人の動向

次は、完全失業者の推移についてです。

コロナで失業者のニュースが多く出回っていましたが、実際はどのくらいの影響だったのでしょうか?

それを示すのが、以下の図です。

hired number

上の図が男女両方を合わせた完全失業者数の図です。

2010年からずっと減少傾向ですが、コロナである2020年に上がっています

しかし、完全失業者数もリーマンショックほど大きかったとは言えないと思われます。

また、完全失業者数だけでは、むしろちょっと上がっただけで比較的平時と比べても変わらないくらいの失業者数だと思われます。

下の図の男女別で見ると、男性は女性の約1.5倍の数の完全失業者数がいますので、男性の影響が大きくなりますが、男女とも同じような減少傾向を示しています。

では、完全失業率はどうか?

それが以下の図です。

hired rate

完全失業率は、世界的にかなり低い水準ですが、それでも現在になるにつれて減ってきている状態です。

男女とも同様の傾向を示します。

コロナの2020年では確かに上がっていますが、それでも2017年と同水準です。

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日本と海外の労働力人口と失業率の国際比較

では、他の先進国と比べてどうなのか?

まずは労働力人口率の推移についてです。

world labor rate

少し見えにくいですが、日本の労働力人口比率を見ると、諸外国と比べて遜色ない程度だと思われます。

日本は、リーマンショックの2008~2015年くらいまでは59%代ですが、それ以外は60%を超えています

コロナでは、アメリカ・カナダ・フランス・韓国がガタッと落ちていますが、日本ではあまり落ちていないことがわかります。

日本にはコロナの影響は諸外国と比べて低いと思われます。

では、失業率についてはどうか?

それが以下の図です。

world hired rate

諸外国の折れ線グラフが、2008年から増加し、コロナまで下がり、コロナで上がるというパターンを示します

しかし、日本では同じようなパターンは示しますが、他国と比べて変化は激しくなく、5%以下で安定しているように思えます。

コロナで少し上がっていますが、他国ほどではありません。

また、他国でもリーマンショックと比べるとコロナの影響は薄いと思われます。

イタリアとアメリカは例外かもしれません。

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②総務省の「労働力調査」と厚生労働省の「雇用動向調査」から分かる雇用動向の詳細

次に、厚生労働省の「雇用動向調査」も加えて、正規・非正規雇用の推移や転職関係について見ていきます。

なお、厚生労働省の「雇用動向調査」については、最新版ではなく、2019年度(令和元年度)版を参照します。

最新版は、数値の誤表記がいくつか発覚しており、今後修正される可能性が高いからです。

正規・非正規雇用の動向

日本では正規雇用率が下がり、非正規雇用者数が増加していることが指摘されていますが、実際はどうなのでしょうか?

男女合わせた正規雇用者数非正規雇用者数の推移を示したのが以下の図です。

labor type

左の図が正規雇用者数で、右の図が非正規雇用者数です。

すると、正規雇用者数はほぼ横ばいですが、2014年から増加傾向にあることがわかります。

2020年のコロナの影響下でも正規雇用は増加しています。

一方、非正規雇用も増加傾向にあります

2020年のコロナによる影響により、ガクッと減少しましたが、それでも2016年などコロナ前の状態とそれほど数値的には変わっていません。

なお、男性と女性で分けた時に、

1. 男性は女性に比べて正規雇用数が約2倍

2. 女性は男性に比べて非正規雇用者数が約2倍

という違いはあります。

傾向としては、男性は正規非正規でもほぼ横ばいに対して、女性はどちらも増加傾向であり、やはり、女性の雇用者動向の影響が大きいと思われます。

次の図は、年齢階級別の非正規雇用率を示しています。

labor type rate year

図より、非正規雇用率はだいたい40%弱(総数)で少し増加傾向にあります。

年齢階級別にみると、65歳以上の非正規雇用率が約7割~7割5分ほどで増加傾向を示しています。

その他は、ほぼ横ばいですが、25歳~34歳と55歳~64歳では非正規雇用率が減少傾向にあります

逆に、15歳~24歳までの若者世代では増加傾向が続き、2017年では一気に非正規雇用率が増加しました。

コロナの影響で、どの年代でも減少していますが、それほど大きな減少幅ではなさそうです。

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転職の動向

最後に転職率や転職理由などの動向を見ていきます。

近年では社会流動性の観点から転職者が増えていると言われていますが、実際はどうなのでしょうか?

まず、転職者数の推移を示したのが以下の図です。

labor translation number

この図を見ると確かに、転職者数は増加傾向にあります。

2019年がピークです。

2020年のコロナの影響で転職者数は一気に減りましたが、それでも、2017年のコロナ前の転職者数と同じくらいです。

では、転職率については以下の表が分かりやすいです。

labor move rate

この表は、男女合わせた転職率の推移です。

一番上が、2010年で一年ごとの全体の転職率の推移を示しています。

-0.4の上の4.8が2020年の転職率です。

すると、転職率はほぼ横ばいなのですが、微増傾向にあります。

2019年にピークを迎えますが、それでも5%くらいの人しか転職しません

20人に一人くらいの転職率なので、多いかどうかは微妙なラインです。

なお、アジア諸国とアメリカを含めた転職の研究調査を行った荻原(2013)によると、日本では、20代の転職盛りで全く転職したことのない人の割合が70%を越えているのに対し、他のアジア諸国では例外を除いて多くて57%くらいです。

一方、30代になると他のアジア諸国と転職回数は同程度になります。

直接比較はできませんが、日本は若いうちの転職には消極的だと言えます。

Asia labor move number

この研究を考慮すると、日本の転職率は低いかもしれないと予想されます。

では、次になぜ転職するのか?

その理由を調べているのが厚生労働省の「雇用動向調査」です。

labor translate reason

この表は令和元年の調査ですが、どの年代でも多い理由は、「職場の人間関係が好ましくなかった」と「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の二つです。

後者は労働条件であり、転職する理由はわかりますが、人間関係という労働環境が転職に影響するのは興味深いです

なお、先ほどご紹介しましたアジア諸国とアメリカを含めた転職の調査を行った荻原(2013)の研究によると、初職からの転職理由は以下のようになりました。

Asia labor translate reason

色が示されているのが、選択率の多い回答です。

日本が他の諸国と違うのが、「賃金への不満」で転職することが少ないことです。

また、色付きではありませんが、「人間関係への不満」でも他の国と比べて日本はダントツに高いです。

なので、日本の転職理由はアジア諸国やアメリカと比べて少し特殊な気がします。

この調査からいろいろな推測ができますが、それは個人の解釈にお任せします。

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③まとめ

以上より、総務省「労働力調査」と厚生労働省「雇用動向調査」の概要とまとめをしました。

すると以下のことが分かりました。

  • 労働力人口(働ける人の数)は増加傾向。
  • しかし、男性よりも女性の社会進出の影響が大きい。
  • 就業者(実際に働いている人)の動向も増加傾向であり、女性の影響が大きい。
  • 完全失業率は世界的にかなり低く、減少傾向にある。
  • 先進主要国と比べると、日本は世界と比べて遜色ない程度。
  • いずれもコロナの影響はそれほど大きくない。
  • 正規雇用数と率は、ほぼ横ばいか増加傾向。
  • 非正規雇用数と率は、増加傾向。
  • こちらも女性の影響が大きい。
  • 転職者数は年々増加傾向である。
  • 転職者率はほぼ横ばいか微増。
  • 他のアジア諸国とアメリカでは「賃金への不満」と労働条件が主な転職理由だが、日本では労働条件と人間関係などの労働環境が転職に影響する。

なお、コロナの影響はあまりないと言及しましたが、2020年の推移のみであり、これから影響が大きく出だす頃だと思います。

政府統計は日本の流れを知るのにも必読資料です。

せめて傾向だけでも把握して、今後の動向に注意したいです。

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参考文献

厚生労働省「2019年度(令和元年)雇用動向調査」

荻原(2013). 彼らは本当に転職を繰り返すのか―アジアの転職実態、転職要因・効果の実証分析―. Works Review, 8, 8-21.

総務省「労働力調査」

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