・年を取るにつれて、認知症が怖くなる。
・高齢者でも幸せに生きる方法はあるの?
年を重ねるほど病気の話題が増えると、私の親戚が言っていました。
それほど、高齢期は若者や大人と比べると、病気になりやすくなります。
特に、高齢者になるほど認知症の危険性が高まり、頭や脳の健康が気になる方が多い印象を持ちます。
私の祖父も「認知症になりたくない!」と、将棋やウォーキングなどの軽い運動などを取り入れて様々な認知症予防を試みていました。
では、高齢者になっても頭も脳も健康で認知症にならずに、幸せにパートナーと暮らすにはどのような秘訣があるのでしょうか?
今回は、心理学の大規模調査から、高齢者が認知症にならずに元気よく幸せに生きられる秘訣を探ります。
本記事では以下のことが学べます。

2. 結婚生活が良いことが高齢者の認知症予防になる⁉
3. 高齢者夫婦が幸せに生きる方法とは?
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①高齢者が認知症にならずに済む秘訣は、結婚生活にあり⁉ 心理学のエビデンス
高齢になるほど悩むのが、認知症のリスクです。
しかし、心理学や精神医学の研究では、高齢者の認知症リスクを下げる研究が多くされています。
その中でも、8000人弱もの50歳を超えた高齢者を調査したLiuら(2021)の研究は、認知症リスクを下げる要因を調査した大々的な研究になります。
まず、認知症のリスクの測定には、記憶テストを高齢者に行いました。
例えば、適当な数字の羅列を相手が言った順番で答えたり、相手が言った順番の逆順で答えたりさせます。
この記憶テストをもとに、Liuら(2021)が注目したのが、結婚生活(夫婦生活)の良し悪しです。
現代では、二世帯住宅等が少なくなり、単身世帯で高齢者夫婦が住む割合が増えています。
すると、高齢者の結婚生活の良し悪しは、健康や心理・記憶などの認知機能に影響する可能性があります。
例えば、結婚生活が悪くストレスが多い日常を送ると、二人しかいないので、ストレスはたまりっぱなしになり、高齢者の様々な健康リスクになることはわかります。
では、8000人弱の高齢者の結婚生活の良し悪しと記憶テストによる認知症リスクとの関係はどうなったのでしょうか?
結果は、以下の通りにまとめられました。
・全体的に、結婚生活が良ければ良いほど記憶テストの成績が良く、認知症予防につながる。
・全体的に、結婚生活が悪ければ悪いほど記憶テストが成績が悪く、認知症につながりやすい。
・男女別で見ると、特に男性高齢者では結婚生活の良し悪しと記憶テストの成績の間に関係性が見れられ、女性高齢者では結婚生活と記憶テストの成績の間に関係性があるとは言えない。
結婚生活の良し悪しは記憶テストのような頭の認知機能に影響しますが、基本的に男性のみだとわかります。
男性は、夫婦生活が良ければ、認知症予防の恩恵を得られる可能性が高いと言えます。
女性は、結婚生活の他にも影響する要因がありそうですが、今回の研究では見つけられませんでした。
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②高齢者夫婦が幸せに生きるための秘訣も結婚生活にあり⁉
先ほどの研究は、記憶に関連した認知機能と結婚生活の話をしました。
では、こうした健康面ではなく、心理的な幸せを高齢者が感じるにはどうしたら良いのでしょうか?
それも結婚生活にあると心理学の研究では示されています。
Carrら(2014)は、60歳以上の400組の高齢者夫婦を対象に幸福度と結婚生活の良し悪しとの関係を調査しました。
先ほどの研究でも同様ですが、結婚生活の良し悪しはどうやって測るのか?
それは、「自分の心配事についてパートナーとオープンに話せるか?」「あなたのパートナーはあなたに感謝しているか?」などの質問項目に複数答えてもらうことで、測定しています。
では、このような結婚生活の良し悪しと幸福度の関係はどうなったのでしょうか?
結果は以下のようにまとめられます。
・男女とも、結婚生活が良いと思うほど、自分の人生全体の幸福度は高くなる傾向にある。
・男女とも、結婚生活が良いと思うほど、今の幸福度も高い傾向にある。
結構単純な結果ですが、基本的には、高齢者の結婚生活が良いと今感じる幸福度も人生を通しての幸福度も高い傾向にあります。
男女差は今回はあまり見られませんでした。
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③まとめ
以上より、高齢者が認知症にならずに幸せに生きる秘訣を心理学のエビデンスをもとに見てきました。
まとめると以下のようになります。
- 結婚生活が良いと、特に男性高齢者では記憶力が高くなり、認知症予防につながる。
- 結婚生活が良いと、高齢者は男女とも今感じる幸福度が高い傾向にある。
- 結婚生活が良いと、高齢者は男女とも人生全体の幸福度が高い傾向にある。
「おじいちゃん・おばあちゃんになっても手をつないで元気よく幸せに暮らしたい」
これは私の夢ですが、認知症にならずに健康的に長生きするには、結婚生活を見直すのが秘訣だと心理学は教えてくれます。
夫婦生活が険悪なままだと、やはり生きるのもつらいですよね。
まずは、夫婦がお互い話し合ってみるのが先決の気がします。
高齢者になっても幸せに生きるには、相当な気遣いは必要そうですね。
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参考文献
Carr, D., Freedman, V. A., Cornman, J. C., & Schwarz, N. (2014). Happy marriage, happy life? Marital quality and subjective well‐being in later life. Journal of Marriage and Family, 76(5), 930–948.
Liuら(2021). A national longitudinal study of marital quality and cognitive decline among older men and women. Social Science & Medicine, Volume 282, 114151.
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