・嫌な記憶はすぐ忘れたい
・そもそも嫌な記憶をしなくてすむ方法はないのか?
日常生活やビジネスをすると、嫌な物を目にする機会があります。
嫌いな虫を目にしたり、嫌な上司の顔を見たり。
それが寝る前に思い出されて眠れないという悩みも出てきます。
このように嫌な記憶や嫌いなことを見て困ることは多いです。
しかし、心理学では、その嫌な記憶をそもそも記憶に残さずに済んだり、嫌な記憶を忘れたりする簡単な方法が提唱されています。
今回は、目を利用した忘却法を心理学のエビデンスをもとにご紹介します。
本記事では以下のことが学べます。

2. 目を動かすだけで記憶が残りにくくなる⁉
3. 目を使った忘却法はタイミングが大事!
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①対象から目をそらすと記憶に残りにくくなる⁉ 目をそらす忘却法
心理学では古くから記憶と目の研究が盛んに行われています。
前回の記事では、目を上手く動かすと記憶を思い出しやすくなることをお話しました。
今回は逆に、目を対象からそらすことにより、記憶を忘れる効果があることを示した研究を紹介します。
その一つが、Petersonら(2019)の研究です。

彼らは、図のように目を真ん中に固定させる中心条件と目をそらす条件の二つに分けて、対象物の記憶力をテストしました。
すると、結果は以下の図のようになりました。

縦軸が、対象物を正確に覚えているかの正答率。
横軸が、条件で、左が中心条件、右が目をそらす条件です。
白丸〇のみ注目してください。
すると、明らかに目をそらす条件の方が中心条件よりも記憶成績が下がっています。
なので、嫌なものを見る時は、左右どちらでもいいので目をそらしてみると忘れやすくなります。
これは、目の中心ほど見えやすく、目の周辺ほどぼやけて見える人間の目のメカニズムを応用した研究です。
このように身近に簡単に記憶力が変わるのは面白いですね!
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②嫌な記憶を覚える時に目を左右に動かすと忘れやすくなる⁉ EMDRを応用したエビデンス
精神医学の領域ではEMDRという記憶消去法が昔から使われています。
主流になっているかはわかりませんが、このEMDRを応用して嫌な記憶を忘れさせるエビデンスがJellestadら(2021)によって示されています。
彼らはクモの恐怖が高い人を集めて、嫌な記憶としてクモの画像を見せます。
その後、次の別の日にクモの画像を見せながら、目を左右にゆっくり動かせます。
その後に、クモへの反応を見る実験の流れです。
すると、クモへの反応の結果は以下のようになりました。

この図で大事なのが二点あります。
一点目は、赤がクモの画像を見てすぐに目を左右に動かした条件で、青がクモの画像を見て10分間を置いて目を左右に動かした条件です。
二点目は、上に書いてある三つ目の「Renewal」の欄です。
これは、別日にクモの画像を見せて反応を伺った時です。
すると、クモの画像を見て、10分間時間を空けて目を左右に動かした方が、縦棒が低いのがわかります。
これは、クモの反応が低くなっていることを示します。
そのため、嫌なものを見た後、10分後くらいに目を左右に動かすと、嫌なものを見た時の反応が和らぐ可能性があります。
これは精神医学で昔から効果があると言われていたEMDRのエビデンスの一つです。
簡単に嫌な記憶への反応が下がるのでおススメです。
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③まとめ
以上より、目をそらして記憶力を下げる心理学の方法を紹介しました。
まとめると以下のようになります。
- 対象物から目を少しそらせて、目の端っこの方で見ると忘れやすくなる。
- 嫌なものを見たら、10分ほど時間を空けた後に、目を左右に動かすと嫌なものへの反応が和らぐ可能性がある。
- なお、目を立てに動かすのは効果があるかどうかわからない。
日々の生活では嫌なことに遭遇することがあります。
事故現場などを見てしまった時に、忘れられずしばらく苦しむ方もいらっしゃいます。
そんな方のために、今回のように目をそらしたり、目を左右に動かしたりする簡単で身近にできる心理学の方法は良いと思います。
ぜひ実践してみてください!
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④参考文献
Jellestadら(2021). Interfering with fear memories by eye movement desensitization and reprocessing. International Journal of Psychophysiology, 166, 9-18.
Perersonら(2019).Saccadic eye movements smear spatial working memory. journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance. 45(2), 255-263.
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