教育や医療のニュースでよく聞く「発達障害」。
特に「自閉症」は、最近では「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)」と呼ばれるようになりました。
以前は、同じ自閉症でも、「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」という三つの区別がありました。
現在ではこれら三つを一括して「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder, ASD)」という名称になりました。
しかし、三つとも名前を聞いたことはあるけど、どう違うのかよくわからないという方が多いと思います。
そこで本記事では、この三つの違いを簡単に説明しようと思います。
なぜ、これらの違いを知る必要があるか?
三つの概念は確かにASDと一つにまとめられている概念ではありますが、この三区分は症状として明確に異なるからです。
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区別のポイントは「知能(IQ)が低いのか」と「言葉の発達に遅れがあるのか」の二点です。
あえて記述しませんが、三つともASDの診断基準(社会的コミュニケーションの障害と限局的な興味・関心)を満たしていることが前提です。
診断基準を満たした上で、「IQ」と「言葉の発達」で明確に分かれるということです。
まずは言葉の意味を簡単に確認します。
「知能」やIQは、世界的に認められている検査で知能(IQ)を測定します。
通常、IQは、大体70~120の間に入ります。
しかし、「知能が低い」というのは精神医学では、IQ70以下のことを意味します。
IQが70以下の中でも様々な違いはありますが、一般的に「IQが低い」というのは知能検査をした結果、IQが70以下のことを指します。
次に、「言葉の発達の遅れ」ですが。
一言で言えば、「初語や二語文がなかなか出てこない」ことです。
赤ちゃんは産まれて一年で初語が出て、二歳くらいで二語文を話すようになります。
「言葉の発達の遅れ」は、初語が二歳やそれ以降にやっとでてきたりすることです。
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これで、言葉の意味は大体確認できました。
ようやく「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」の違いについて簡単に述べます。
「自閉症」は、「IQが低い」と「言葉の発達の遅れ」の両方が症状として現れます。
そのため、三つの中では最も社会生活を営むのが難しいのです。
次に、自閉症に似た「高機能自閉症」は「言葉の発達の遅れ」はありますが、「IQの低さ」はありません。
つまり、IQが70以上で言葉が遅れて出てくるのが「高機能自閉症」です。
「高機能」というのは「知能に問題がない」ということを表しています。
最後に、「アスペルがー症候群」ですが、「IQの低さ」も「言葉の発達の遅れ」も両方ありません。
つまり、ASDの診断基準のみを満たした状態です。
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以上が、三つの概念の違いです。
この三つはASDと一括りにされていますが、実は全然違うのです。
そのため、ASDの方々が社会で暮らしやすくなるためにも違いを把握し対応の仕方を考えないといけません。
特に、ASDを支援する方、教育関係者、雇用者の方は要注意です。
ASDの方々が環境に上手く適応できるためにも、正確な知識を得ることが第一歩だと私は思います。
ASDとそうでない人が幸せに暮らせることを願って。
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