営業の心理学

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2025/3/10

質重視の営業法は「戦略を立てて量で検証する」(YouTube専門家対談企画営業の心理学の第六回目)

・営業の行動量を求める風潮は、営業成績も経営も行き詰まる可能性が高い。 ・質を重視する営業法は、「戦略を立てて量で検証する」で共通している! ・営業はある意味結果主義の世界だから、自由度が高い職種でもある。 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、営業歴20年で合同会社トースティー代表の伊藤さんと営業の心理学についてお話します。 今回のトピックは、「営業の『質か量か問題』答えは質かもね!」 普段のビジネスでもよく議題にあがる「質か量か問題」。 育成にもか ...

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what is attachment disorder ?

心理学・脳科学/Psychology・Neuroscience 精神医学/Psychiatry 記事/Article

2025/2/28

愛着障害とは?心理学と脳科学で解説

・愛着障害は聞いたことはあるけれどよく知らない。 ・愛着障害と言われた。 ・愛着障害のになぜなるの?脳のメカニズムを教えて! 最近、子どもだけではなく、大人に対しても「それは愛着障害ですね」と聞くことが増えました。 特に、子どもを預かる保育士さんや幼稚園教諭の方がよく言う印象があります。 親としても聞いたことがあるけれど、実はよく知らないという人は多いのではないでしょうか? あるいは、愛着という言葉で何となくニュアンスを理解するくらいの人も多い気がします。 そんな方々のために、今回は愛着障害の基本について ...

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心理学で簡単に夜泣きを減らす方法のサムネ画像

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2025/2/25

五感とルーティンで赤ちゃんが安心して眠れる環境を整える方法(Youtube専門家対談企画子育ての心理学の第三十九回目)

・心理学では、親の香りがついた布を赤ちゃんの近くに置き、安心して眠れるかを見た実験がある。 ・体の反応を考えたルーティンで赤ちゃんが安心して眠れるようになる!? ・睡眠にも五感が大事で、特に赤ちゃんが安心するアイテムは○○! 現場に携わる専門家をお招きして、専門家同士が対談するYouTube専門家対談企画。 今回は、保育歴7年で「親子の愛情構築専門家」保育士ライターのゆうさんと子育ての心理学についてお話します。 トピックは、「心理学で簡単に赤ちゃんの夜泣きを減らす方法」です。 赤ちゃんの夜泣きと夜泣きする ...

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本・解説/Book・Review 科学/science

【行動経済学とは】心理学でノーベル賞を受賞した行動経済学の基本とおすすめ本

・行動経済学とは何なのか?

・行動経済学と普通の経済学ってどう違うの?

・行動経済学って日常生活に役に立つの?

ご存知の方も多いかもしれませんが、Richard Thaler(リチャード・セイラー)さんという方をご紹介します。

ノーベル経済学賞授賞理由

「人間の特性が合理的市場にどのように影響するかを示した。経済と個人の意思決定という心理的分析の架け橋を築き、経済をより人間的なものにした」”for his contributions to behavioral economics”

Richard H. Thaler has incorporated psychology realistic assumptions into analyses of economic decision-making. By exploring the consequences of limited rationality, social preference, and lack of self-control, he shown how these human traits systematically affected individual decisions as well as market outcomes.

https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/economic-sciences/laureates/2017/press.html (ノーベル賞のホームページ参照)

経済学と言ってもこの方の専門は「行動経済学」です。

よく聞くけど、「行動経済学」とはなんでしょうか?

今回は、皆が知っているけれど、行動経済学がどのような学問なのかをご紹介します。

本記事では以下のことが学べます。

1. 行動経済学の歴史について

2. 行動経済学の代表的な理論と実験について

3. 現代の行動経済学の実態について

4. 初学者でも理解できるお勧めの本

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行動経済学とは?

行動経済学ってどんな学問?

行動経済学を知るには、歴史をおさらいした方がよくわかりますので、少し過去に戻ってみましょう。

なお、ここからは、(Scientific Background on the Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 2017 RICHARD H. THALER: INTEGRATING ECONOMICS WITH PSYCHOLOGY The Committee for the Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel THE)を参考に話を進めます。

ざっくりした行動経済学の歴史

1940年代まで、経済学は「人間は合理的に行動する生き物」という前提で研究が進んでいました。

合理的な人間はどのような人なのでしょうか?

どんな時でも利益を最大にできる超合理的なロボットのような人間です。

しかし、1950年代Allais「合理的人間」を想定した経済理論に合わない行動がいくつか生じることを指摘しました

人間は、人生全体を見て利益が最大になるような行動をとらず、むしろ刹那的な選択ばかりする

そのような報告がだんだん出てくるようになりました。

そんな流れで、1979年に、KahnemanとTverskyがProspect Theory(プロスぺクト理論)を提唱しました。

この理論は以下の4つの特徴を持っています。

1)人間は、利益を、富のレベルではなく、ある参照点と比較して利益が増大するか減少するかで決めている

ある基準点があって、その基準点からお金が増えるか減るかで利益を考えています。

例えば、お店でに先に「3万円で売ります」と言われると、3万円が基準になって人間は考えてしまいます。
その3万円を基準にするため、「2万5000円までまけてあげるよ」と言われると嬉しくなって、買ってしまいます。
しかし、後々2万円で同じ商品がネットで売っていたのを発見して、「しまった」と思うのです。

なので、人間は何かの3万円のような参照点と比較して損か得かを考えるのです。

2)人間は、利得よりも損失の方により敏感である

得することよりも損することの方により人間の注意が向きます。
例えば、「50%の確率で成功する」と言われた時と「50%の確率で失敗する」と言われた時、どちらを選ぶでしょうか?
おそらく、前者だと思います。

このように、言い方を得する(成功する)と損する(失敗する)と変えるだけでも、確率は全く同じなのに損を避けようとするのです。

3)人間は、鋭敏性の低下(diminishing sensitivity)を利得と損得の両方で示す

例えば、100円が200円になる方が、一万100円が一万200円になる場合よりも得したと感じます。
むしろ、同じ100円アップなのに、後者は「たった100円しか変わっていないな」とも思うほどです。

このように、値段が変わっても、値段の桁や状況によって、お金の敏感さが変わるのです。
これは、得する場合も損する場合も同様に働くことを示しています。

4)この理論には、確率的重みづけ(probability weighting)が組み込まれてある(なお、確率の重みづけの仕方は、主観的で変化しうる)。

例えば、自分が所有する物は、全く同じ物でも大事で価値の高いものだと思い込みます。
心理学では、所有効果と呼ばれるものですが、このように自分の物に価値の重みづけをしているのです。
全く同じ物なので、もちろんその重みづけのレベルはその人の主観的です。

このように、人間は、自分の好みや評価によって全く同じ物でも主観的な価値の重みづけを行っています

これら4つの結論から言えば、「人間はそんな合理的な生き物ではない」ことを公的に主張しているのです

このプロスペクト理論を経済学に応用して研究した人物がセイラー博士です。

その功績が認められてノーベル経済学賞を取ることになりました。

ちなみに、心理学で唯一ノーベル賞を受賞した研究が、このプロスペクト理論です。

2002年にカーネマン博士が経済学賞を受賞しました

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結局、行動経済学とは何か?

人間に対する考え方を変えただけではありません。

計算や統計だけを使ったり、シミュレーションしたりするのではなく、被験者を呼んで、実験をして人間の経済行動を研究するブームを経済学で作りました。

それが「行動経済学」です。

例えば、どんな実験をしているのか実際に体験してみましょう。

行動経済学でおそらく最も有名な「最後通牒ゲーム(Ultimatum Game)」をご紹介いたします(下図参照)。

  • 登場人物は2人。白がA君。黒がB君です。
  • まず、一人(A君)に一定額のお金が支給されます(2000円)。
  • 次に、A君はB君に自分がもらったお金をいくらか決めて渡します(図の場合は1000円です)。

なお、B君はA君がいくらもらったかを知っています。

  • そして、B君は、A君が提示した金額を「受け取るか」「拒否するか」を選べます。
    重要なのは、B君が拒否した場合、A君に支給されたお金はすべて没収されます

逆に、B君がA君の金額を「受け取る」という選択をした場合、B君はA君から金額を受け取り、残りのお金をA君が懐に収めます。

その最後通牒ゲームをした時の典型的な結果が下記の図です(Sanfrey et al. 2003)

右図の黒い棒グラフに注目してください。

図は受け手側がOKをする割合を示しています。

実験参加者は受け手側です

図からA君が8ドルを手元に残して、B君が2ドルを提示された場合に、B君がOKする確率が5割くらいまで落ちます。
どんな金額でもB君がNOと言えば、A君のお金も没収されます。
なので、本来人間が合理的であれば、B君はどんな金額を提示されてもYESを言います
どんな金額でも、NOを言って没収されるよりかはマシだからです

この最後通牒ゲーム一つをとっても、人間は合理的に行動するとは限らないことを意味します。

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行動経済学の現在

神経科学的(脳科学的)アプローチが最近かなり流行っています(Knoch et al. 2006, Gabay et al. 2014)。

Neuroeconomics」という言葉も存在するくらいです。

もっと進んで、経営学に応用した「Neuromarketing」もあります。

このような基礎的な研究だけではなく、日常生活を舞台にした研究もかなりあります

もしかしたら、そちらの方が面白いかもしれませんね。

人間の感情と意思決定の関係が理解されつつあります。

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ここでお勧めの本を二冊ご紹介します。

友野典男(2006)『行動経済学―経済は「感情」で動いている』光文社新書

この書籍では、行動経済学の基礎的な実験を紹介しています。

教科書の簡単バージョンのようなものです。

プロスペクト理論の詳細も記述されていますので、行動経済学の基礎はこの一冊でばっちりです!

もっと学びたい方は、参考文献欄に記載されている論文や書籍に当たるのがよいと思われます。

ただ、古い書籍ですので、最新の研究を知りたい方は、それこそセイラー博士の書籍を読んでみてはいかがでしょうか。

ダン・アリエリー(2013)『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』早川書房

この書籍は、身近な例から行動経済学の知見を紹介してくれています

こちらは、応用に近いかもしれません。

そういう研究もされているのかと感心するような一冊です

参考文献もちゃんと載せてありますので、興味が出て原著に当たることもできます。

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参考文献

Scientific Background on the Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 2017 RICHARD H. THALER: INTEGRATING ECONOMICS WITH PSYCHOLOGY The Committee for the Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel THE. https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/economic-sciences/laureates/2017/advanced.html

Gabay et al. (2014) The Ultimatum Game and the brain: A meta-analysis of neuroimaging studies, Neuroscience and Behavioral Reviews, 47, 549-558

Knoch et al. (2006) Diminishing Reciprocal Fairness by Disrupting the Right prefrontal Cortex, Science, Vol. 314, 829-832

Sanfrey et al. (2003) The Neural Basis of Economic Decision-Making in the Ultimatum Game, Science, Vol. 300, 1755-1758

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